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ローレンスという男

寝落ちしてました…

遅くなりましたがUPします!

「突然の訪問、申し訳ありません。私、アイゼンファルド侯爵家御子息、ユージェリス=アイゼンファルド様の従者のジーンと申します。失礼を承知でお尋ね致しますが、ウルファイス伯爵家の方はどなたかご在宅でしょうか?」


おぉ、ジーンがすげぇ執事感ある!

微笑がまた色気出してる!

じゃあ僕も合わせて美少年感全開で!


「突然済まない。通りかかったので、是非愛し子としてローレンス様の縁者の方とローレンス様についてのお話をお聞きしたかったんだ」


食らえ!!王子様キラキラスマイル!!!!

門番は男だが効果はバツグンだ!!

真っ赤な顔して屋敷の中へ走ってってくれた。

…『コール』すれば良かったんじゃ?

そして暫くして、さっきの門番と一緒に走って戻ってきたのは、白髪混じりの栗色の髪を振り乱した男性だった。

…30代後半くらいかな?

服装的には貴族ってか、商人みたいだけど…

つーかめっちゃ焦った顔してるんですけど、あの門番は何を言ったのかな?

僕の目の前に着く頃には、息も絶え絶えで汗だくだった。


「ひっ…ふっ…ふぅっ…!!」

「…大丈夫ですか?すみません、急かしたわけではなかったのですが…」

「や、いえ…お気に、なさらずっ…はっ、ほっ…ふぅー…」


暫く深呼吸を繰り返した後、出来る限り髪を手櫛で整えて、僕に向き直る男性。

…珍しい、左目が紫で右目が紺のオッドアイだ。

室内だとわかりづらいかもしれないけど、こうして陽の光の下ではよくわかる。


「オッドアイとは、珍しいですね。初めて見ました」

「…やはり、貴方様は愛し子様なのですね」

「え?」

「この目を『オッドアイ』と言っていたのは、私の父くらいです。色違いの瞳は『互い目』や『魅魔目(みまめ)』と言われ、差別の対象になったりしますから」


…そうか、『オッドアイ』って呼び方はこの世界にないんだ。

左右の瞳の色が違うのは何か欠陥があるからだという説を提唱した昔の学者のせいで、一部の国や地域では差別の対象になっていると学院の図書室の本で読んだ事がある。

まぁうちの国では差別の対象にはなっていないけど、不吉なものって扱いは多少されたりするらしい。


「…こんなに綺麗なのに」

「え?」

「竜胆のような紫に、瑠璃みたいな紺。素敵ですよね」

「…ふふ、まさか、そこまでとは…」


僕が褒めた瞳が涙で潤む。

な、なんか変な事言ったかな?


「…亡くなった父に、同じ例えを言われました。それを、思い出しまして…初対面でしたのに、申し訳ありません。私はローレンス=ウルファイスが次男、アレンタス=ウルファイスと申します。アレン、とお呼び下さい」

「改めまして、ユージェリス=アイゼンファルドと申します。私の事もユージェリスとお呼び下さい、アレン様」

「ありがとうございます、ユージェリス様。ですが『様』も不用意でございます、私は平民ですので。さぁ、よろしければお茶でも如何でしょうか?我が家というわけではありませんが、ご案内致します」

「ん?というと?」

「私は結婚を機に平民となり、今は商いを営んでおります。今日はたまたま仕事の都合で実家を訪れていまして…ウルファイス伯爵家は兄が当主ですから」

「あぁ、成る程」


そういやさっき次男って言ってたもんな。

そして勧められるがままに屋敷の中へ案内される僕達。

通されたのは品の良い応接室だった。


「さて…お噂は予々。確か国内を巡り、非常事態に備えていらっしゃるのだとか」

「えぇ、その通りです」

「国の為とはいえ、とても大変な事でしょう。貴方様方愛し子様といえば、ただ歓迎されるだけとは言い難いですから」

「…よくお分かりで」

「私は父と良く出かける事が多かったのですよ。とは言っても父は出不精で、王都とこの領地以外にはあまり顔を見せたりはしませんでしたが」

「アレン殿から見て、ローレンス様はどのようなお人でしたか?」

「子供に優しい、素晴らしい父親だったと思いますよ。母を気遣い、子供の話にも親身になり、相談をすれば答えではなく解決までの糸口をこそりと教えてくれる…出来た男でした。親となった今では、どれだけ凄い男だったのかを痛感するほどですよ。母からは1度も父の悪いところなど聞いた事もありませんでしたからね。妻が夫の悪口を言わない…これがどれほど凄い事か」


…僕と同じで元々女性だったローレンス様は、察する能力とかが凄かったんだろうな。

僕なんて男性思考が混ざっててたまにわからなくなるのに。


「私のこの瞳も、学友などに揶揄われて泣いていたら、先程のユージェリス様と同じように『こんなに綺麗な竜胆と瑠璃の色なのにねぇ?いっそ私の力でみーんなの瞳を同じ色にしてしまおうか?』なんて笑いながら言っていましたよ」


…それ、本気だったんじゃあるまいか。

過去に『貧弱』と言われてキレたと聞いた事あるし、見た目に出さないだけで結構短気だったんじゃ…?


「その言葉に私も嬉しくなりましてね。揶揄ってきた学友に『父上も褒めてくれたこの綺麗な色に嫉妬してるんだろ!気に入ったなら変えてやろうか?!』なーんて豪語したりしてましたよ」

「え、まさか…」

「いえ、流石に父に頼んだりとかはしませんでしたよ?愛し子様の子供だと鼻を高くしていると父からへし折られますから。ですがその話をどこからか聞いた学友の親達がそれはもう慌てましてね。私よりも身分は上だったのですが、土下座の勢いで親達から謝られましたよ」

「…普通、愛し子の子供に喧嘩売るはずないですもんね、うちの国の人間なら…」

「子供の喧嘩に親が出てくるとは思ってなかったんでしょうね、学友達は」


はっはっは、と軽く笑うアレン殿。

この人も中々良い性格してそうだ。


「…父も私の為を思ってか、その後珍しく魔導具を作ってくれました。瞳がどちらも紺色になるペンダント…今の私の商売に欠かせないモノとなりましたよ。先程は実家に戻った気の緩みで外してしまっていましたがね」


懐から出したのは、瑠璃…いや、ラピスラズリの石が付いた小さくて簡素なペンダントだった。

…ローレンス様って、魔導具作り苦手だったのかな…

または工作系が苦手…?

でも、これからはとても良いオーラを感じる。

子を守る親の力…とでも言うのだろうか。


「よろしければ父の墓を見舞ってやってはいただけませんか?ここから少し離れた小さな森の中にありまして…」

「えぇ、是非。実は以前、お忍びで1度墓参りをさせていただきました。また帰りに寄らせていただきます」

「そうでしたか。あの…不躾ではありますが、墓石の文字を見たりなどは…」


僕の顔色を窺うように尋ねるアレン殿。

どうやらあの文字が読めるか気になってるんだろうな。

でも、奥さんへの謝罪文など、言えるはずもない。

あれはローレンス様が男の意地(・・・・)で生涯隠し通した秘密なのだから。


「さぁ、文字までは。あの時は婚約者とデート中でしたので」

「…そうですか」


疑っているようだが、深入りはしないか。

まぁ追及なんて出来ないよね。


「今日はお会い出来て良かったです。あと、こちらの領地の方々には僕を普通の貴族として扱っていただけて本当に助かります」

「それは父の教え…というか我儘のせいなのですよ」

「我儘?」

「祖父から聞いたのですが、若い頃、それこそ愛し子様となられたばかりの時の話だそうです。次期当主が愛し子様となり、領民がなんというか…父を崇拝してしまったそうで。父が広場の中央に立つと、一定の距離を空けられて膝をつかれて父は号泣。突然泣き出した愛し子様に慌てふためいた領民達は土下座。余計に泣き出した父は突然腰に差していた短剣を抜き、愛し子様の象徴である黒い髪を掴み、勢いよく根元からバッサリといってしまったと」

「…ひぇぇ…」

「丸いハゲになっているにも関わらず『こんな態度取られるなら愛し子なんかになりたくない!!愛し子辞める!!』と泣き叫んだそうです。いやぁ、壮絶ですよねぇ」


…思い切りがいいというか、なんというか。

確か今の僕と同じくらいの歳の時に愛し子になった…転生したんだよね。

大勢の人間から急に傅かれたら、性別も変わったばっかだし、そりゃあヒスも起こすか。

僕の場合はデビュー前だったし、人と会う事がなかったもんな。

あと体もお子ちゃまで拒否反応がそこまででもなかったというか。

女性だったのに、急に年頃の男の子の体になったら…うん、辛い。


「それ以降、領民達の中では『愛し子様を崇め称えてはいけない』が暗黙の了解となったようです。なので咄嗟に普通の貴族への対応をしたのでしょう。また目の前で泣かれるわけにはいきませんから」

「いや、泣きませんよ…流石に慣れてますし…愚痴は言いますけど…」

「父も愚痴だけなら良かったんでしょうけどねぇ」


ケラケラと笑うアレン殿。

なんだかローレンス様の人物像がよくわからなくなってきたな。

イメージとしては大人しい、知的で線の細い男性像だったんだけど…

リリエンハイドもローレンス様にアイアンクロー決められたとか言ってたな。

そして表に出さなかっただけで、結構短気。

…まぁ、急に男にされたらキレたり泣きたくもなるよね、皐月さん?

某零巻を手に入れました。

ラスト15分は劇場内で啜り泣く声が沢山聞こえました。

まぁ私もその中の1人ですが。

映画が終わった後、劇場内がしんみりした雰囲気になるのは初めての体験です。

…遊郭潜入編、アニメ2期かな、映画かな…

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