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顔面に投げるもの

月曜日は更新出来なくてすみませんでした!

「帰ってきちゃったわねぇ」

「そりゃぁねぇ」


騒めく王都。

それもそのはず、人通りも多い水の入場門に突然ベティ様と僕がちゃんとした姿で現れたから。

アイカット様のお見舞いの後、ベティ様が突然閃いたとばかりに僕の腕を掴んだ。


「ねぇ、正装で帰りましょ?」

「はい?」

「どうせルートレールか誰かに私達の帰宅予定時間とか連絡してるんでしょう?それじゃつまらないわ、驚かせてやりたいの」

「…僕が怒られるんですけど?」

「ちゃんと庇ってあげるわよぉ」


ニヤニヤと笑うベティ様。

本当に庇う気あるのかしらん?

というわけで普通の格好に戻して水の入場門へ『ワープ』した。

あ、ちなみにマントはやめときました。


「目立つわなぁ…」

「さーて、堂々と正面から帰りましょう!」

「はいはい、仰せのままにぃ」


と言いつつ、ちゃんとベティ様の目を掻い潜って父様に『レター』してあるけどね。

大通りのど真ん中を優雅に歩くベティ様と、1歩下がって従者のように付き従う僕。

最早王都は混乱の渦ですよ。

『なんで愛し子様が2人も?!』『今日って何かあったか?!』『王妃様もアイゼンファルド侯爵子息様も素敵…』みたいな感じ。

素敵と言ってくれてありがとう。

ふと視線を感じたのでそっちに目をやると、メイーナとファンクラブのお姉様方がいた。

お姉様方、僕がそっちを向いたからかキャーキャー言ってるし。

とりあえず微笑んで手を振っておこう。

…あ、桃飴のお姉さんが倒れた。


「何してるの?ユージェ」

「知ってる人がいたので、少し挨拶を」

「その格好で大丈夫なの?」

「どっちの格好も知ってる人達だったんで。それよりほら、さっさと帰りますよー」

「んもう、少しくらい寄り道してもいいじゃない。それよりあの男になんか1発喰らわしたいんだけど、何かいい方法ないかしら?」

「…陛下の嫌いな食べ物でも顔面に叩きつけてやればいいんじゃないですか?」

「それいいわね!アイツ、実は生魚が苦手なの」

「へぇ、美味しいのに」

「火が通ってないと嫌なんですって。ちょっと鮮魚店寄っていきましょう?!」

「へいへーい」


ラッキーな事に、このまま大通りを進めば鮮魚店がある。

そこで寄り道して買おうかね。

でもまぁ、予想した通り、鮮魚店のオッチャンは僕達を見て目を回していた。


「オススメのお魚、生でいただけるかしら?」

「お、おしゅ、おしゅしゅめ…は…おしゅっ…」

「…とりあえずこれとこれと…あとこれをいただいて行きます。お金はこれで、お釣りは結構です。あとコレお借りします」


話にならなそうなので、勝手にお買い物しちゃいまふ。

そして近くにあった包丁を借りて、さっさと下ろして刺身にする。

見えないようにアイテムボックスから大皿を取り出して盛り付けた。


「ベティ様、これでいかがです?」

「十分よ、美味しそうだわ」

「店主、包丁ありがとうございました。それでは、失礼します」


『キープ』と『カバー』をかけて、とりあえず左手で運ぶ。

…あれ?今の僕って我儘お嬢様に振り回されつつ完璧にこなす有能執事みたい?!


「行くわよ、ユージェ」

「イエス、マイロード」

「…ユージェは悪魔っぽくはないわよね」


どうやらコンセプトはわかっていただけたようです、ムフフ。

…ちょっと思い出したけど、確かメグ様とお忍び王都した時も似たような立ち位置だったな。

やっぱベティ様とメグ様って親子だよなぁ…


「なぁに?」

「なんでもないですよ。ほら、早く帰りましょ?王城は目と鼻の先ですよ」

「ユージェ〜!!」

「「ん?」」


この少し甘いイケメンボイスは…!!


「兄様!!」

「ユージェ!!」


抱きぃ!!!!

ロイ兄様が王城の方から駆け寄ってきてくれた!!

しかも笑顔で!!


>どうする?

 ・抱き締める ◀︎

 ・抱き締める

 ・抱き締める

 ・抱き締める


抱き締める以外に選択肢がない!!

という事で再会の抱擁なう。

あぁ、大皿を持った左手で抱きしめ返せないのが恨めしい!!


「相変わらず仲が良いわねぇ」

「王妃様、お帰りをお待ちしておりました。ご無事で何よりです」

「ユージェが一緒なんだもの、無事に決まってるでしょう?」

「それもそうでした、流石僕の自慢の弟」

「兄しゃま…!!」


あぁん、抱いて!

あ、抱き締めて貰ってたわ。


「ここからは僕もご一緒致します。ゆっくり参りましょう」

「あら、急いでるんじゃなくて?」

「急がれてるのは約1名なので。他は意外と問題ありませんよ」

「父様とかジェイク様が胃を痛めてるかと思ってた」

「ふふ、実はね、王妃様がいなくなってから、陛下ってば無表情の仕事男になっちゃってね。この2週間弱、父様達は仕事が捗って仕方がなかったみたい。王妃様が帰ってこられたら2〜3日休みが取れそうだから、久々に領地に帰って家族みんなでのんびりしようかって良い笑顔で言ってたよ」


マジか、意外と怒ってなかったのね。

というか陛下…悲しみの感情を力に変えて、仕事を片付けてたのか。


「あら…前に家出した時は逆に仕事を全くしないで帰ってきた私にガチギレされてたのに…成長したのねぇ」

「その件ですが、ジェイク様が言うには…」


『その時の王妃様の怒りたるや、精霊様がこの地を消そうとなさっているのかと思うほどだった。そして最後に一言、「無能は嫌いよ、無能は消えろ」と呟いてから、その直後の陛下の仕事の処理能力は格段に上がったな』


「…と、遠い目で仰られておりました」

「うわぁ…」

「だって、私がいないくらいで仕事出来ない男なんていらないもの」


にーっこり、良い笑顔のベティ様。

うん、ベティ様はそういう方ですよね…

ストイックに鍛えてる人とか、そういうのが好きなタイプですものね…

向上心のある人って事かな…


「というわけで、父様とジェイク様から小金を渡されたので、買い食いしてから帰りませんか?もう少し時間の欲しい仕事が残ってるそうなんです」


つまり時間稼ぎなのね、兄様は。

しかも公認の。


「あら、素敵なお誘いね!ユージェ、その大皿しまっときなさい!まだ使わないから」

「はいはーい」

「王妃様、僕のオススメのジュース屋さんがあるのですが、寄っても?」

「勿論よ!私は桃にしようかしらねぇ」

「僕はりんごにします、ユージェは?」

「ブドウにしようかなぁ…そういえば、エドワーズ様やルーファスは?」

「あー…2人とも、ちょっと隣国に行ってるよ。まぁユージェが帰ってきたならもうすぐ帰ってくるから、心配しないで。ここで話す事でもないし、また後で詳しく話すね」

「はーい」


隣国って、ヴァイリーじゃないのか?


「ほら、早くぅ!」

「「はーい!」」


ま、後で聞きますか!

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