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偽精霊の裁き《side ladies》

遅くなりました!

☆★☆side ベアトリス☆★☆


「ふぅん、あれだけの兵力で私に楯突こうってのねぇ…?」


ウォール・ジャルネの上の見晴台。

私はそこに仁王立ちしつつ、少し遠くの森の中を眺めていた。

数として、100人いるかどうか。

普通の肉眼じゃわからないでしょうけど、魔力を目に付与すれば、千里眼みたいな事が可能になるのよね。

まぁあんまりやった事はなかったけども。

王妃になってからは、特に魔法は使ったりはしなかった。

だっていつもいつも周りに侍女や兵士が付き纏うのよ?

王国で1番強いとか言うんだったら護衛なんかは付けないでほしいわ!

そしたらフラフラ出歩けたのに!

…でもそんな事言えるはずないのよね。

国内だけならまだしも、王妃は他国との付き合いもある。

うちの国だけの常識でいるわけにはいかない。

あのバカ男と結婚するって決めた時には、まさかここまで息苦しい立場だとは思わなかった。

貴族の記憶もない、平民感覚の私が王妃になるのは苦難の連続だった。

いくら愛し子だからと多少は甘くして貰っていても、辛いもんは辛い。

こんなんだったら結婚しなかったのに。

絆された私も愚かねぇ…

…まぁ、どうかしらね?あのバカなら婿入りするとか言って王位蹴ってそうだわ。

それでマリエールちゃんにパスしそう…

でもマリエールちゃんもあの笑顔で『こんなものいらないですわ、お兄様』なーんて言いながら打ち返してきそうよね、何倍にもして。

そうしたらロイかユージェが今頃王様やってたのかしら?

想像が付かないわね…


「ベティさん、どうするんですか?」


付き添いとしてついてきてくれた華ちゃんが後ろから首を傾げつつ質問する。

虎徹さんはお城から動けないし、神楽ちゃんは暴れたがる東雲くんを拘束するためにお留守番。

ユージェは私の命令でとっくに出発していた。


「勿論、駆逐してやるわ」

「じゃあ着替えます?一応兵団の服持ってきてますけど」

「あら、用意がいいのね。でもいいわ」


華ちゃんの誘いを断って、私は指を鳴らす。

そして次の瞬間には、変装していた状態からいつもの王妃スタイルに変化させていた。



「わぁ!凄い、王妃様って感じです!超綺麗!」

「ふふ、ありがと」

「でもなんでその格好に?目立ち過ぎません?」

「いいのよ、目立ってナンボだわ。この容姿なら、この国の人達とイコールにはならないでしょう?作戦にはちょうどいいの。ねぇ、華ちゃん、お聞きしたいのだけれども、彼らもこの世界の人間なら、精霊信仰がある…違う?」

「えぇ、なんならその辺の国よりも精霊信仰強いんじゃないかな?彼らは魔法が殆ど使えないから、少しでも色々使える人は精霊の加護を受けてるって認識みたいです。んで、その人達を中心に日々森の中で祈りを捧げている…だから自分達はあの森で暮らす事が出来ているんだって考えてるみたい。でも近隣諸国がバカスカ簡単に魔法使ってるのを見て妬んでたりするんですよ」

「…その時点で自分達に精霊の加護が全くないとか考えたりしないのかしら?私ならそう考えて、寧ろ精霊を恨みそうよ」

「どちらかというと、自分達が必死に信仰してるからお前らは魔法が使えるんだぞ、感謝しろ!みたいな謎解釈ですかねぇ」

「全く持って意味がわからないわね。近隣諸国と交流がなさ過ぎて正しい情報が出回ってないのかしら?それはおかしいって言い出す人いないの?」

「もう根付いちゃって変えられないって事じゃないですか?近隣諸国は『ガジャーノはガジャーノという種別で我々とは別物だ。関わる事なかれ』みたいな認識です。昔スラース公国の人が認識を正そうとして交流を持ってみたけど、すぐに諦めたそうですから。あ、ちなみにその時の交流でガジャーノについてそれなりに生態を知ったようです。で、スラース公国から近隣諸国へ情報が回って今に至ります。私は殿から聞きました。殿は子供の頃に聞いたそうです」


成る程、最早人種ではなく種別か。

言葉は話せても会話が成立しないんじゃしょうがないわよね。

ならやっぱり、実力行使の方が良さそうだわ。

別に私、荒事が好きなわけじゃないのよ?

基本的には事勿れ主義なんだから。

でも、何事にも触れてはいけない、越えてはいけない一線ってものがあるわよね?

それが私にとって『食事』だったのよ。

ユージェが現れるまでの十数年、あの料理を日本人だった私が耐えたのよ?!

不味くはない、不味くはないんだけども、よ?!

ユージェが来てくれて、ユージェやアイゼンファルド家には悪いけども凄い嬉しかったんだから!

そして恋焦がれた和食を食べるために大事な大事なジャルネに迷惑をかける、ですって?

しかもなんの罪もない、よくわかっていないであろう子供を犠牲にして?

本当、ふざけんじゃないわよ。

子持ちの母を怒らせたわね?

私はもう1度指を鳴らし、様々な魔法を自身に付与する。

純白の翼に、光のエフェクト。

顔には少しの認識阻害。

翼とは関係なく、浮遊の魔法。

仕上げはアンチエイジングでマイナス20歳…!!

あぁ、それと忘れちゃいけないのが『レター』ね。

届くかわからないけど、精霊リリエンハイドに送っておきましょう。

今からやる事や聞きたい事について、返事が来るといいんだけれども。


「…っうわぁ、女神様か天使様みたい…!!」

「ありがと♡目指したのは精霊だったんだけど…実際の精霊ってゴスロリ幼女なのよね。だから前世イメージの天使にしてみたわ」

「エルフイメージで妖精ってのもアリだったんじゃ?」

「あぁ、それでも良かったわねぇ」


魔法ってなんでもありよね、MP消費は凄いけど。

ユージェみたいに無尽蔵じゃないし、あんまり保ちそうにないわねぇ…


「それじゃ、行ってくるわ。そこで観覧しててちょうだいな?」

「はい!行ってらっしゃいませ!」


ベティ、行っきまぁーす!!





★☆★side 華★☆★


ガジャーノが森から出てくると同時に、壁の上から舞い降りるベティさん。

うっわぁ、やだ、お美しい…!!

少し若返った気がするから、美人度が増し増しよ!

まぁ元から美人さんだったけども!

そしてキラキラと羽のエフェクトがガジャーノに降り注ぎ、漸く彼らはベティさんの存在に気付いて騒然とし始めた。

あ、何人か見惚れてるわ。

ガジャーノでもあの麗しさは美しいと感じるのかしら?

美的感覚とか違いそうなのに。

うちやスラース公国、そのお隣のモルジュフト王国なんかは比較的アジア人顔なんだけども、ガジャーノって肌が少し赤茶色で顔の系統もなんか違うのよね。

髪色だって白っぽい灰色か黒みがかった灰色だし。

この前保護した少年は焔程度の色黒って感じの肌に黒みがかった灰色の髪だったから…長く森で生きた分、肌が赤茶色になるのかしら?

流石にそういう生態までは知らないからなぁ。

おっと、話を戻そう。

ガジャーノ達がなんだか喚いてるわ。


「ナんダ、貴様!お前ハ誰ダ?!」


初めて発言してるの聞いたけど、聞き取りづらぁ!!

頭の中覗く時は活字で見えるからわかんなかった!!

あれだ、パソコンに喋らしてるみたいな、抑揚が謎の感じ!!

イントネーションが死んでるか狂ってやがる!!

ベティさんも聞き取りづらかったのか、少し考えてから言葉を発した。


『…()は、数多の民を見守り、そして慈しむ者。日々の祈りを糧に、その想いに報い、応える者』

「なッ…?!ま、まサか貴女は我ラが精霊様なのカ…?!」


ガジャーノの問いに、曖昧に微笑むベティさん。

声にもマイクを通したような不思議な響きを魔法で付与したみたい。

それにしても…嘘ではないわよね。

数多の民(=王国民)を見守って慈しむ(王妃として)。

日々の祈り(=奏上や稟議書なんか)に報いて応える(やっぱり王妃として)。

但し、ベティさんが王妃と知らなければ精霊なんじゃないかとも匂わせる言葉遊び。

ベティさんって凄いわねぇ。


「ワ、我ラが精霊様よ!何故我ラの祈り二は応エて下さらナいノだ?!我ラは何故魔法ガまとモに使エぬ?!」

『…尊き命を粗末にする者。その者に加護などない。古い悪習を絶ち、新たなる視野を広げなくば、その者に先はない』

「尊キ命…?!な、なんノ事だ?!我ラは日々、命をカケて森デ生きテイる!粗末にナドしてイなイ!!」

『妾が何も知らぬと思うてか。尊き未来ある幼子になんたる仕打ち。その懐の悪意が導き出した忌むべき誇りよ』


そう言ってベティさんが両手を胸の前でパンッと合わせる。

仏様への合掌…いや、あれはどちらかというと錬金術師の方かしら…

軽やかな音が響いたと思ったら、ガジャーノ達の真上にいくつもの竹筒のようなものが現れた。

あれに例の植物の液体が入ってるのかしら…


「そ、ソれハ!!」

『忌むべきものは消滅あるのみ。正しく扱えぬ者に持たすものなし』


チラリ、とこちらを見られた気がした。

成る程、私の出番って事ね。


「《割れて、混ざれ》」


私の呟いた魔法に反応して、竹筒擬きがパキンと割れて、液体が混ざり合う。

ガジャーノ達の顔色は最高に悪かった。

そして空中で勢いよく爆発する直前。


「《止まれ、消えろ》」


爆発は止まり、そしてシュルシュルと小さくなっていき、キラキラエフェクトありで消えていった。

完全に開いた口が塞がらないガジャーノ達を横目に、ベティさんが私に向かってウィンクをしてくれた。

どうやら合格だったみたい、やったわ!


『其方らは2度とあの薬液を手にする事はない。これ以上妾を怒らせたくなくば、尊き命を無駄にするな!』

「「「「ひ、ひィ〜?!?!?!」」」」


ベティさんがもう1度合掌する。

するとガジャーノ達の足元が眩く光り、次の瞬間には姿を消していた。

私は魔眼を発動させて森の方を見つめる。

…どうやらそれなりの距離まで飛ばしたみたいね。

うわぁ、アイツらめちゃくちゃ焦ってるし、半分くらい泣いてるわ。

あらあら、森の奥に走って逃げてったよ…

まぁ、未知の力を目の当たりにしたらそうなるか。

魔法に詠唱は必要不可欠、それはガジャーノでも共通認識だ。

ベティさんは1度も詠唱していない。

まず人間だと思ってもいないんだろうな。

そこから導き出されるのは、精霊の怒りを買ったという事実(・・)

これでユージェがマギの木とマジュロンの木の無効化に成功してたら、余計に感じるんだろうね。


我々はとんでもない者を敵に回してしまったんだ、と。

個人的な話ですが、スマホで一族繁栄ゲームをしています。

まぁ育成ゲームなんですけど、子供が生まれるんです。

それで普通は課金のクリスタル使えば整形可なんですけど、今は3日間無料なんです。

そして私は考えました…『あれ?アニメキャラとか作れるんじゃね?』と。

ちまちま作りましたよ、鬼滅キャラとか。

ただパーツが足りなくて…無念。

タイミングよく子供がバカスカ生まれたので、ついうちのキャラも作ってみました。

名前もキャラ名にしときましたとも。

あと女の子2人生まれたらナタリーとニコラ作るんだぁ(*´∇`*)

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