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ほのぼのからの修羅場

遅くなりましたー!

「…よし、決めた。僕もう知らない」

「えっ…!」

「虎徹さんにぶん投げる」

「えっ…?」

「神楽さん、いつからジャルネに帰ってないです?」

「え?えっと、3…4年くらいになるかしら?頻繁に手紙は送ってるけども」

「1回帰りません?」

「それは構わないわ、別に確固たる目的があって旅してるわけでもないし。じゃあ今からジャルネに向かって…」

「いえ、僕の転移魔法で行きましょう。多分2人の力も借りれば2日とかで行けます」

「えぇ?!転移魔法出来るの?!流石ユージェリス君ね!」


神楽さんがキラキラとした目で拍手をしてくれる。


「あれ?神楽さんも出来るでしょ?」

「そこからそこまでとかの短距離なら出来るけど、見えないくらいの長距離は無理よ!私達は案外MP普通なんだから!」

「あぁ、そっか、僕がおかしいだけか。それならもう少し日数かかるかもな…まぁとにかく送ります。また焔んとこで調味料も仕入れたいし」

「でもいいの?今忙しいんじゃ?」

「まぁ急かされてる内容でもないから平気。あぁ、でも陛下達には連絡しなきゃいけないかな、国外に出るから。ちょっと午前中に王城行ってくるんで、また部屋で待ってて下さい」

「わかったわ!」

「…あと、アレは程々に」


チラリと白目を向いたままの東雲さんを見る。

そろそろ血が上りそうだしね。


「善処するわ!」

「それ、やらないやつ…まぁいいや、いってきます」

「いってらっしゃーい!」


あの2人のやり方ってのもあるんだろう、首は突っ込みません。

客室を出た僕はレリックに先触れの依頼をして、自室で支度をした。

連れてくのはいつも通りジーンだけでいいや。

あと今回のジャルネ移動はジーン置いていこう、出来るだけMPの節約したいし。

人が増えれば増えるだけ使うからなぁ…

そんなこんなで支度も終えて、ジーンと王城なう。

到着すると、出迎えてくれたのはアリス様だった。

ジーンは従者らしく、軽く会釈した後黙ってついて来てくれる。


「ユージェリス様、ご無沙汰しております」

「あ、アリス様。こちらこそご無沙汰してます、お元気でしたか?」

「えぇ、お陰様で。ユージェリス様も国内のご移動お疲れ様です」

「あはは。あれ?シンディとドロシーは?」

「今日は別の場所にいて…手が空いてましたのが私だけでしたの。それで、本日はどのようなご用件で?」

「ちょっと国外に1週間ほど出る予定が出来たので、陛下達にそのご報告ですよ」

「まぁ、本当にお忙しいのですね」

「そうでもないですよ。そういえば、マーロ先輩とはその後如何ですか?」

「あ、その…マーロさん、実は騎士爵をいただけるかもしれなくて、ですね…」

「えぇ!それは凄い!あの若さで早いですね!」

「先の魔物討伐の活躍と、今回新たに設立する事になった部署に移動が決まりまして」

「あぁ、リュシエル様が責任者の」

「はい。最近では騎士団の部隊長様方の覚えも良いらしく、可愛がっていただけてるとか…それで新設部署への推薦をいただけたそうなんです。それと、ユージェリス様、貴方様のお陰でもあるんですよ?」

「僕の?」

「詳しくは存じ上げませんけど、あの新設部署はユージェリス様に関係しているとか」

「…おかしいな、アレックス様は僕が関わってないって事にしてあるはずなのに…」

「ふふ、流石に王城勤めの者達は気付いておりますわ。何せ私もマイカ前伯爵の捕縛姿、遠くから拝見していましたし」

「…そうか、あの引き取り現場には僕普通にいたもんな」

「それでですね、ユージェリス様のご縁で出来た部署という事で、移動届の数が凄いそうですよ?愛し子様が創設された部署、なんてデマも流れてます」

「あ、デマだってアリス様はわかってくれてるんですね」

「ユージェリス様、あまり内政に興味はないでしょう?多分きっかけだったくらいで、こんな事になるとは思われてなかったかな、と」


いやん、よくお分かりで。

アリス様も付き合い長くなってきたから、僕への理解度が高いね!


「それで、まぁ、上層部もそんなに否定されていないようで。だからかとにかく人選だけはと、それなりの肩書を持った方の推薦がなければ選考会にも参加出来ないみたいです。で、受かれば働き次第で騎士爵をいただけるかもって」

「選考会まであるのか…」

「えぇ…で、部隊長数名の推薦を持って受けようと思った矢先、凄い推薦までいただいてしまって」

「凄い推薦?」

「ユージェリス様のお兄様であらせられる、ロイヴィス=アイゼンファルド様です」

「兄様が?」

「魔物討伐の時に共闘されて、興味が出たからとおっしゃられていたそうです」

「あー、結局その話聞いてないや。今度詳しく聞いておきますね」

「はい!」


嬉しそうだねぇ。

あんな狸親父狩りで、こんな結果を迎えられそうだとは。


「それでリュシエル様が、ロイヴィス様の推薦なんて断れるはずがないだろう?って笑って受理されたそうです。まぁマーロさん、元々リュシエル様にも可愛がられていたみたいですけど」

「兄様にそんな権限がもうあるの?」

「王城では王太子殿下の左腕、なんて言われてますからね」

「へぇ、じゃあ右がルーファスかな?んで背中がアイカット様か」

「そのようです」

「そうすると僕はエドワーズ様のどこだろう?」

「ユージェリス様は…周りの空間では?」

「空間?」

「空間というのは、暑くても寒くても、空気が薄すぎてもダメです。常に最適に調整しなくては。ユージェリス様は、あの方々を最高の状態にするのがお好きなのでは?」

「…ふふっ、そうですね、好きです。僕の領域では、他の人の好きにはさせませんから、正しい例えかもしれません」

「うふふ、私、ユージェリス様検定1級取れるかしら?」

「取れちゃいそうですねぇ。多分、友人はみーんな取れるでしょうけど」


王城の廊下で笑い合う。

後ろに控えていたジーンも少し笑っていた。

やっぱ話してると早いね、もう陛下の執務室に着いたわ。

アリス様はここでお別れ。

次に会う時には良い報告聞けるといいなぁ。

とりあえず扉をノックしてから開く。

本当は名前とか名乗る必要あるんだけど、陛下から僕はしなくていいって言われたんだよねぇ。

そして扉を開けてびっくりした。

なんでかって?だって…


「陛下のバカ!!もう知りません!!さよならっ!!」

「待ってくれ、ベティ!!俺が悪かったからぁ!!」

「知らないって言ってるでしょう?!もういい、出てく!!」

「ベティ?!」

「王妃様、落ち着いて下さいませ!!」

「「王妃様!!」」「母上!!」


…何これ、修羅場?

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