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一方的な恨み

翌日。

国内巡りの再出発を始めようかと思ってたけど、昨日アイカット様のご懐妊を聞いたし、折角だからバークレー公爵領に行ってこよっかな?

色々悪阻でも食べやすい料理とか作ってさ。

前世の知識から考えると、出来るだけさっぱりしたものが食べやすいってあったな。

そうすると、あんまり噛まないで食べれるくらい柔らかいゼリーとかかな?

後は何故か某ハンバーガーショップのポテトか。

なんで揚げ物食べれるんだ?

普通に油っぽいものじゃ気持ち悪くなりそうだけども…

とりあえず作ってみるか、あれも一応野菜だし。

他は細かく刻んだ野菜スープとか、ポタージュとか…一応食べれるかもだし、お肉やお魚の料理も用意するかね。

そんな事を自室で本を読みながら考えてたわけだけど…

なんとなく、外が騒がしいような?

気のせいかな、うちの屋敷の入口の方が騒いでる声が聞こえるんだよなぁ…

ちょっと気になるからとりあえず覗いてみる?


「ユージェ様、今よろしいですか?」

「ん、いいよ。どうぞー」


失礼します、とノックした後に入ってきたジーン。

何故か少し困惑した表情だ。


「どしたの?なんか外も騒がしいみたいなんだけど」

「はぁ…それが、狩人風の服装の男女がユージェ様に会わせろと騒いでるみたいで…」

「ん?僕?」

「俺も少し覗いてきましたけど、見覚えはないですね」

「なんだろ…とりあえず僕も見に行こうか?あんまり騒ぎ過ぎると騎士団か魔法師団でも出てきちゃいそうだし。愛し子の家の前で騒ぐとは何事だ!ってさ」

「そうですね、お願いします」


誰だろ、旅の途中で会った人とか?

いや、それならジーンがわかるはずなんだよなぁ。

というか旅で出会った狩人とかは僕の状態知らないし。

とりあえず部屋から出て、屋敷の外へと向かう。

ちなみに今日は父様と兄様は仕事、フローネは学院、母様は領地に行ってるので誰もいまてん。


「…だから…!」

「…って…でしょ!」

「おやめ下さ…!!」


…今日の警備はライオットか。

見た目ひ弱そうだから舐められてんのかな?


「ライオット、どうかした?」

「あ、坊っちゃま!!この人達が…!!」

「お前がユージェリスか?!チンタラしてねぇでさっさと出てこいよ!!」

「あ?」

「こら!シノール!失礼でしょうが!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…!!」

「…うん?」


しのーる…シノール?

なんか聞いた事あるような…


『殿の趣味なの。この国の子供の名前は代表である殿が決めるのよ。ちなみに東雲と神楽は他所だと名前が目立つから、シノールとカランって名乗ってるわ』


…おぉ!


「もしかして…東雲と神楽?」

「名前にさん、くらい付けろ!てめぇ歳下だろうが!!」

「やめてよぉ!ほんっとーにごめんなさいぃ…!!」


東雲…さんは確かに某駆逐少年に見た目は似てるが、いかんせん口が悪い。

眉間に皺寄せたままだからか、めちゃくちゃ目つきも悪い。

どうみてもカタギの人じゃないわ、色付きのシャツはだけさせてスーツ着た地上げ屋とか似合いそう。

あ、ついでにサングラスかけてオールバックでお願いします。

一方の神楽さんは140センチくらいの身長で十六夜さんといい勝負しそうなバストの持ち主だ。

あれか、ロリ巨乳ってこういう事を言うのか…

あ、でも多分僕より歳上だから、合法…?

涙目で必死に謝ってるのとか、ヤバい思考の持ち主達の琴線に触れそうだな。

まぁ僕の趣味ではないが。


「…とりあえずそこじゃなんだし、僕の部屋にでもどうぞ?」

「お、なんだ、コイツと違って話わかるじゃねぇか。テメェを出せ、会わせろっつってんのにダメだの一点張りでよぉ…」

「あ、当たり前です!愛し子様である坊っちゃまに会うには紹介状があったって無理な場合もあるんですよ?!なのに関係性すら言わないで会わせろなんだのって…!!」

「あのね、ライオット。彼らは会うのは初めてなんだけど、僕が行ってたジャルネの人なんだ」

「え…?!そ、そうなんですか…?」

「うん、名前は聞いてたんだけどね。まさかここに来るとは思ってなくて、伝えてなかったんだ。ごめんね?」

「いえ!そんな!坊っちゃまが謝られる事ではありませんので!!」

「…なんでコイツ、アイツに謝られてキョーシュクしてんの?」

「…いくら歳上で同郷(・・)だからとは言え、この国では少しユージェ様への態度を改めた方がよろしいと思いますよ。この国でユージェ様の事を『お前』だの『アイツ』だのと呼び捨てて怒鳴り散らしてごらんなさい。この国で襲われても文句は言えないんですから」

「はぁ?俺が襲われるだと?ふざっけんな、返り討ちにしてやんよ!!ぶっ殺してやる!!」

「…殺す?誰を?うちの国の人を?それを、僕がさせるとでも…?」

「「「「っ?!?!」」」」


いっけね、東雲さんの発言につい殺気全開で反応しちゃった☆

しかも多分僕の顔、見事なまでに瞳孔開きっぱなしで真顔だと思う☆

てへぺろ(*´∇`*)

心と顔が完全不一致でふ。


「ゆ…ユージェ様…」

「ごめんごめん、ジーンとライオットに向けなきゃ良かったね。咄嗟でつい…」


ジーンは少し顔色悪いくらいだけど、ライオットは完全に涙目で震えていた。

ぴるぴるしてる。

マジごめん。

んで、肝心の東雲さんと神楽さんだけど…


「…あっ…」

「「「…あ…」」」

「…《クリーン》…」


…うん、僕見てないよ?

別にカーキ色のズボンって水分含むと色変わり過ぎてモロバレだよねぇなんて、思ってないよ?

一方の神楽さんは意外と顔色以外は普通だなぁとかは思ってるけども。

…全員が、東雲さんのある一点を見つめてしまう。

僕の魔法で元の色になった、その場所を。


「…こちらへどうぞ」

「…お邪魔します」


僕の誘いに、少し迷った神楽さんが頭を下げつつ答えてくれた。

チラリと横目で東雲さんを見てみたけど、顔を真っ赤にさせて、涙目で、口をワナワナさせてからキュッと噤み、プルプルと震え始めていた。

…あれかな、羞恥心と戦ってるのかな。

羞恥心のメンバーにはヒーローもいるから多分勝てないよ。

ん?それとは別だって?

わかってますともー(棒)


「ライオット、とりあえず他言無用で。聞かれたら僕の客が来たとだけ伝えるように」

「は、はい!」


固まったままだったライオットに声をかけてから、屋敷の中へ向かう。

意外と大人しくついてくるな、顔は真っ赤で涙目のままだけど。

ジーンは途中で別れたので、多分お茶の用意してくれるんだろうな。

とりあえず自室に通して、対面のソファに座るように促す。

おずおずと座る神楽さんと、どかっと座る東雲さん。


「さて、改めまして、僕の名前はユージェリス=アイゼンファルド。ここ、リリエンハイド王国で『精霊の愛し子』の立場にある侯爵子息です」

「あ、えっと、神楽って言います!国外に出る時は『カラン』って名乗ってます!特殊能力は『怪力』です!」

「…チッ」

「東雲!!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!こっちは東雲、通称『シノール』、一緒に旅してるの!!特殊能力は『透過』よ!!」

「そっか、紹介ありがとう。それで、なんでここへ?」

「あ、えと、元々バラライアの方にいたんだけど、最近殿からお手紙が入って。隣の国だから会いに行ってみようってなったの」

「…おい、テメェ…」

「あ?」

「あ、いや、その…あ、貴方様の、事を、殿からの手紙で…知った、です…」


急にオドオドし始めたな。

そんなに怖かったか。

東雲さんに聞いても話が中々進まなそうなので、神楽さんに目で促す。


「あ…えっと、ね?気を悪くしないで欲しいんだけど…その、東雲が、ユージェリス君?様?を見定めたいって言い出して…」

「はぁ?なんで?あ、様じゃなくていいですよ」

「ありがとうっ!東雲、殿をすっごい慕ってるの。その殿がユージェリス君をベタ褒めしてて、一緒に他のみんなからの手紙も入ってたんだけど…十六夜がね」

「十六夜さんが?」

「これまたユージェリス君をベタ褒めしてて…東雲、ずぅっと十六夜が好きだったの」

「ばっ…!!おま…!!」

「へーぇ、あの十六夜さんを…」


あの焔狂いの十六夜さんを…?

きっと全く相手にされなかったんだろうな。


「焔にしか興味ない十六夜から、他国の男の子であるユージェリス君の名前が出て、尚且つ『乙女心をわかってる』だの、『素敵だった』だの、『優しくて彼のおかげで若返った』だの書いてあるから、頭が沸騰しちゃって…」


…それって物々交換で渡した美顔器の話じゃ…?


「だから実際に会ってボコボコにして十六夜に認めてもらうって息巻いて来ちゃったの…ごめんなさい…」

「いや、神楽さんが悪いわけじゃないので…」

「でも、ユージェリス君って凄いのね。私達もジャルネじゃそれなりに有名だし力を持ってるけど、あの人数だったからさ。なのにユージェリス君は国中が知ってるんだもの!」

「転生者である『精霊の愛し子』は国の平和の象徴として存在するからね。それなりに強いし、崇拝されたりしちゃうんですよ。個人的にはあんまり嬉しくないけども」

「お前、本当に強いのか?!」

「うぇ?ま、まぁ…」

「なら、俺と手合わせしろぉ!!」


…復活して叫び出したと思ったら、そんな発言。

神楽さんはアワアワしてた。

ちょうどお茶の準備をして戻ってきたジーンも目を丸くしてる。

そして叫んだ本人は…真っ赤で涙目で震えていた。

僕は一体どうしろと…?

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