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仕事が出来る男

男だけど姦しくなったお茶会を経て、今度は元々の予定だった魔法師団室にやってきた。

軽くノックをしてドアを開けると、僕に気付いた兄様が満面の笑みで手を振ってくれていた。


「兄様!」

「ユージェ!」


小走りで駆け寄って、そのまま兄様の胸へダイブ。

勿論兄様も鍛えてるから、しっかり受け止めてくれました。

うへへ、兄様良い匂い。


「兄様、さっきはお手数おかけしてごめんね?」

「いいのいいの、アレくらい簡単に処理出来るからさ」

「…ちょっと待て、ロイヴィス、お前何したんだ…?さっきまでエドワーズ様のところにいたんだろう…?」


奥の方から書類を抱えた父様がやってきた。

どうやら兄様は報告してないらしい。

僕の頭を撫でつつ少し考えた後、その手を止めずににっこり笑って父様に向き直った。


「…害虫駆除してただけですよ?」

「ちょっと待てぇ!何したんだ?!」

「未来の懸念事項を潰しておいただけだから、お気になさらず」

「そんないい笑顔で物騒な事を言うんじゃない!!」


父様ったら、叫び過ぎて喉痛めちゃうよ?

とりあえずアイテムボックスから蜂蜜レモンの飴を大袋で取り出す。

勿論僕が作った特別製です!

1個舐めれば痛みなんてすーぐ消えます!


「父様、これどーぞ」

「…これ、は…飴か?」

「叫び過ぎると喉痛くなっちゃうよ?師長が詠唱出来なくなったら困るじゃない」

「…誰のせいだと…あぁ、うん、ありがとうな…」


ちょっと疲れたように笑ってから受け取ってくれた。

まぁ僕のせいなのは重々承知の上ですよぅ。


「それで父様、アレックス様は?」

「そろそろ戻ってくると…」

「あ、坊ちゃん!お疲れ様です!」


噂をすれば、勢いよく扉を開けたアレックス様が笑顔で大きく手を振りながら挨拶してくれた。

おーおー、清々しいねぇ。


「こんにちは、アレックス様。昨日の帰りに今日来て欲しいと言われてたのでお伺いしました」

「すみません、ご足労いただいて。例の糞爺…失礼、マイカ伯爵の件がとりあえず片付いたんで、ご報告したくて」

「…早いですね?」

「…アレックスは仕事出来る人間なんだよ…偏りはあるけどな…後は何故かウィンザーからの情報提供が早かった…絶対最初から調べ上げてただろ…」


あ、父様が頭抱えてる。

そしてマックリー義兄さん達、本当に手伝ってくれたのか。

あの人達も身内に甘いタイプだな。

そして僕はアレックス様に促されて、兄様の腕の中からソファへと移動した。

兄様や父様は仕事があるみたいで同席しないみたい。

多分同じ部屋にいるから聞こえてるだろうけど。


「結論から言うと、タンジット=マイカは横領の罪で拘束、並びに失脚と更迭っすね」

「まぁ、お早い結論で」

「一応今回の件に坊ちゃんは関係してない事にしてありますから。近隣領地からのタレコミで調査が入った事にしてあります。こんだけ早いのはウィンザー家が手伝ってくれたからっすね。税金とか色々横領して、その金を自領の軍事費に当ててました。なので国家転覆罪に当て嵌る可能性もあるので余罪は随時調査中です」

「あぁ、過剰な軍事力は反旗を翻す可能性に直結しますもんね…」


多分そこまで考えてなさそうだけど。


「んで、後継者についてですけど、ご子息は他国に出奔して行方不明なんで、坊ちゃんご推薦の衛兵ヴォルト君をと思ったんですが…」

「…が?」

「断られました☆」

「でしょうね☆」

「まぁそこは予測してたんで、とりあえず代行を続けて貰って…かな。領地経営は伯爵領にいた文官が殆ど取り仕切ってたみたいなんで、暫くは大丈夫そうです。養子の孫娘は元の家庭に戻る事になりました、半ば無理矢理養子にさせられてたみたいなんで」

「なんだそりゃ、どうしようもないな」

「軍事部門自体、今の世に必要ないので解体。国境周りの報告や配置なんかは新部門設立してそこからの報告にします。まぁ実際は新部門というか騎士団にそういう管轄の部署を作るって感じですね。騎士団長のご夫君であるリュシエル=カラフスタ殿が責任者になる予定です。そこから派生して、将来的には騎士団長の子供のどっちかにマイカ伯爵領を統治してもらおうかなって話も出てます。まぁ早くても15年は先になりそうですが」

「…ん?どっちか?」

「あ、まだ聞いてなかったっすか?騎士団長、双子をご懐妊ですよ」

「マジで?!?!」

「マジマジ。まだ初期なんですけど、最近悪阻が酷くなってきたみたいで暫く領地で療養してます。騎士団は右翼と左翼が仕切ってますけど、特に問題もないっすね」

「マジかぁー…領地案内してもらった時は、そんな事言ってなかったのに…そういえばあれ以来会ってないけど」

「多分その後ですよ、発覚したの。体調が安定しないみたいなんで、連絡入れられてなかったんすね。まだ魔法師団や騎士団なんかの関係者しか知らない事なんで、とりあえず秘密にしといて下さい」

「わかりました、とりあえずお伺い立てて今度会いに行ってみます」

「そうしてあげて下さい」


そっかぁ、アイカット様、お母さんになるのかぁ…

まさか出発前に話してた事が現実になるとは。

出発早々、バークレー公爵領に行った時には普通に案内してもらって、普通に別れたんだよな。

出来るだけ人通りの少ないルートを選んでくれてたからか、領民に騒がれる事もなくさらっと終わったんだった。

リリーの時は悪阻が全くなくって元気だったけど、悪阻ってのは人によって程度が違うらしい。

病気じゃないから魔法でも治せないんだよね。

なのに病気並みに辛いって。

前世でも今世でもそれを経験する事はないから、わかってあげられないのが悔やまれる。

何か良い方法はあるだろうか…

食欲あるのに食べれないとかマジで拷問でしょ。

いや、食欲もなくなるのか?

うーん…


「…坊ちゃん、話聞いてます?」

「あ、ごめんなさい、聞いてなかった」

「だと思った。まぁ必要だったらこの書類見といて下さいよ、大体纏めてあるんで」

「はーい、ありがとうございまーす」

「いいえー、こちらこそありがとうございましたー!引き続きよろしくお願いしまーす!」


…この人、また僕に古狸狩りさせようとしてる。

まぁいいんだけどね、エドワーズ様の治世に邪魔になるものは排除しときたいし。

え?エドワーズ様のためかって?

どちらかと言えば同時期に師長に就任するであろう兄様の為です♡

兄様に苦労なんてさせない。

後は…まぁ、ルーファスの為でもあるかな?

なんてったって僕の中で、

兄様>=ルーファス>エドワーズ様

なんだよなぁ…

てへ(*´∇`*)

不敬になるから言いませんけど(*´∇`*)

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