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溺愛ユージェリス

遅くなりました…

金曜日の更新は昼頃までには頑張りたい…

「ユージェ君?さぁ、色々と説明して下さいな?」


おかしいな、最愛の婚約者殿の背後から鬼みたいなのが見える。

笑顔なのに目が笑ってないし。

あ、どうも、不用意な発言をしてしまって、ナタリーの屋敷に着いたところで自主的に正座をしているユージェリスです。

事の発端は半刻程前。

ナタリーを僕の前に乗せたまま、街を練り歩いていました。

相変わらずナタリーの顔は真っ赤です。


「ユージェ様、嬉しそうですねぇ」

「めちゃくちゃ嬉しい、うへへ」

「ニヤついてますよ?」

「それはしょうがない、うはは」

「ユージェ君…慣れ過ぎなんですよ…私が初めての彼女とか、絶対嘘です…」

「いやいや、初めてですから。女の子とお付き合い初めてですから。僕の日常知ってるでしょ?」

「旅の間ですとか、学院時代の日常とかは知らない事だらけですもの」

「どうして僕ってそんなに信用ないの?ねぇ、ジーン?」

「日頃の行いが悪いんじゃないですか?すぐに女の子に声かけるし、抱きついてきても逃げないし」

「待って、それは言い方が悪い」

「ユージェ君…?」

「違うからね?!理由があっての事だからね?!悪いやつに絡まれてる女の子がいたら声かけるでしょ?!」

「…抱き付く云々は?ジーンさん?」

「え?」

「チェルシー様に抱きつかれてましたよ?」

「ユージェ君?!」

「違くない?!あれはしょうがないでしょ?!」

「察知スキルや回避スキル系をお持ちなんですから、アレは避けられたでしょうに」

「待って、ジーン、なんか僕に恨みでもあるの?!なんでそういう告げ口するの?!」

「…ユージェ様…この前俺のとっておいた苺食ったから、つい…」

「食べ物の恨みは恐ろしいね?!」


マジかよ、この前一緒に食べてたフルーツ盛り合わせで最後の1個取ったの怒ってたの?!


「…ねぇ、ユージェ君…?」

「え、あ、うん?どうしたの?」

「…告げ口(・・・)って事は…悪い事だという自覚があるんですね…?」

「…あ、いや、その…」


サーっと、血の気が引く音がした、気がする、僕から。

悪い事…では、あるけど、不可抗力というか…

というわけでそこからナタリーは一言も話さず、僕が話しかけても黙ったまま。

すれ違う領民達はめっちゃヒソヒソしてた。

き、気まずい…


そして屋敷について、速攻正座しました。

するとまぁナタリーが僕の前に立って、にっこり笑ってさっきの一言を発したわけで。

とりあえず、カルデラ公爵領での出来事を最初から最後まで話す。

全てを聞き終わったナタリーは、苦虫を噛み潰したような表情で座り込み、僕と目線を合わせた。


「…それは、その…ユージェ君を責めづらいですね。私が同じ立場なら、泣き付きたくもなります」

「まぁ今思えば、最初に泣きながら抱きついてきた時は避ければ良かったかなと思うよ…」

「いえ、そこは避けなくて良かったです。不安定な心情の中、救いの手となるかもしれない人に拒否されれば、チェルシー様がその後どうなっていたかわかりませんから…」

「そっか…でも、ごめんね?ナタリー以外の女の人に近付き過ぎちゃって」

「…で、では…」

「ん?」

「…う、上書き、してあげます…」


…僕から目線を外して、真っ赤な顔でおずおずと両手を広げるナタリー。

超!かわ!いい!!!

間髪入れずに抱きしめました。


「…すみません、そろそろ俺らの事、思い出してもらっていいですか?」

「「あ」」


抱き合ったままジーンの方を向くと、屋敷の使用人達が勢揃いしていた。

真っ赤になってる人もいれば、驚愕の表情で固まる人も多数。

あ、セバスチャンもいた。

見られていた事を忘れていたらしいナタリーは、さっき以上に顔を真っ赤にさせて口をパクパクしている。


「いいとこだったのに」

「ナタリー様が可哀想でしょうが、こんな人前で」

「申し訳ありません、ユージェリス様。お邪魔をしてしまったようで…お嬢様のご婚約者様がいらっしゃると伝えておりましたので、使用人一同お出迎えをするつもりで…」

「あー、そっか、ごめんごめん。それは僕が悪かったね」


抱きしめているナタリーをそのまま横抱きにして、立ち上がる。

小さな悲鳴が聞こえたけど、そこは気にしません。


「改めまして、ナタリーに婚約者として選んでいただきました、ユージェリス=アイゼンファルドと申します。僕個人の爵位はありませんが、一応肩書きは愛し子です。ですがどうぞ気になさらず、お好きなように呼んで話しかけて下さい。ナタリーの事は全身全霊をかけて幸せにするつもりなので、どうぞよろしくお願いします」


にっこりと、いつもの王子様スマイルで挨拶をする。

すると何故か、何人かメイドさんが崩れ落ちた。

どういう事なの。


「あぁ、お見苦しいところを…」

「いや、僕なんか悪い事したかな…?」

「ユージェ様の無駄にキラキラした笑顔にやられちゃったようですね」

「ジーン、そんなに怒ってるの?今度苺で美味しいもの作ってあげるからそろそろ許してくれない?」

「…俺、苺のゼリー食べたいです。あのトロッとしゅわしゅわしてるやつ」

「わかった、好きなだけ作るから、辛辣なのやめて?」

「でもユージェ様、畏まった態度よりも、こっちの方が好きでしょう?」

「うん、バレた?」

「バレバレですね」


だってその方が気楽なんだもの。

でも僕にとって困る発言されたらと思うとドキドキするから、とりあえず怒るのはやめてほしいの。


「ユージェ君…」

「ん?なぁに、ナタリー」

「…私もそれ、食べたいです…」


どうやら諦めがついたようで、赤みの引いた顔のナタリーはため息をつきながらそう呟いた。


「勿論、美味しいの作るね。でもそれより先に、僕、食べたいものがあるんだけどなぁ?」

「ふぇ?」

「ね?ナタリーの…ちょうだい?」

「ふぇぇぇぇ?!?!?!」


またもや真っ赤になるナタリー。

え、何、どうしたの?

そしてさっきまで立ってた残りのメイドさん達が一斉に崩れ落ちた、声にならない悲鳴を上げながら。


「…ユージェ様、人前でなんて事を…」

「え?だってこれからお昼でしょ?早くご飯食べたいじゃん」

「「「え?」」」


ナタリー、ジーン、セバスチャンの声が重なる。

うん?なんなの?


「僕のゼリーはまぁまた今度作るとして、今はそれよりもナタリーお手製のお昼ご飯を食べないと!」

「あ…そういう…」

「…紛らわしいんですから…」

「…もう、降ろして下さいまし…限界です…」


両手を覆って顔を隠すナタリー。

なんだかよくわからないけど、とりあえず降ろしてあげた。

フラフラしつつ、ナタリーがどこかへ歩いて行く。


「…セバスチャン、ユージェ君とジーンさんを中庭へ。ハンス、セルラー、バレットは私と厨房へ。シャーノラ、カレン、ルルラは…復活したらお姉様を呼んできてちょうだいね。他の人達は復活次第仕事に戻ってちょうだい」

「「「承知しました」」」


おぉ…ナタリー、仕切ってる感ある。

僕は仕切るの苦手なんだよねぇ。

こう、人に任せるよりも自分がやった方が早いって気持ちが…

まぁそれだと周りが育たないから、ちゃんと頼るべきところは頼るべきだって父様やレリック達にも言われてて、とりあえずはジーンにお願い事したりして慣れるように頑張ってます。

…無駄にチート過ぎると、頼る事を忘れちゃうんだよなぁ…

気をつけよう。

そんな事を考えつつ、セバスチャンに中庭へ案内して貰った。

整えられた芝生の上にはレジャーシートらしき敷物があって、ピクニックって感じがする。

そういえば作ったものはサンドウィッチとかだって言ってたな…

ヤバイ、思い出すだけでワクワクしちゃう。

早くナタリー戻ってこないかなー?

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