初めての朝
結論から言おう。
また熱出して寝込んだ。
まぁ情報過多だったよね、ちょっとした知恵熱デス。
ユージェリス君に感じては、まとめるとこんな感じ。
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・名前→ユージェリス=アイゼンファルド
・年齢→5歳(ただし来週6歳の誕生日らしい)
・身分→侯爵家次男
・怪我した理由→フローネちゃんが階段踏み外して、ユージェリス君が咄嗟に庇って落ちたから
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そこまで聞いたら、またフローネちゃんが泣き出して、みんなで慰める事態に発展。
そしたら私の熱が上がって、そのままぶっ倒れたって感じで第1回話し合いは終了した。
ちなみにぶっ倒れた事によって、フローネちゃんは号泣したらしい。
起きた時にリリーさんがちょっと泣きながら教えてくれた。
私の熱が下がったのは、それから2日後の夜だった。
そして翌朝起きると体のダルさもなく、スッキリしていた。
あー、若いってすごい。
「ユージェ、起きてる?」
扉の外から、ロイ兄様の声がする。
起きるの早いなぁ。
「うん、起きてるよ。どうかした?」
とりあえず、敬語はやめることにした。
だって家族だしねぇ。
あと、年齢的に普段は『僕』って言う事にしようと思う。
男の子なんだし…あー、男なんだよなぁ…
まだなんとなく、認めきれない。
そんな事を考えてたら、ロイ兄様が部屋に入ってきた。
「体は大丈夫?」
「うん、もう元気だよ。ロイ兄様、どうかした?」
「なら良かった。それならみんなで朝食にしない?ユージェの分はスープとか、負担の少ないもの用意してるんだけど…」
「ありがとう、もちろん行くよ!あ、僕、着替えてから行くね」
「じゃあリリー呼んでくるよ。どこに服があるかとかわかんないでしょ?」
「あー、確かに。お願いします」
ロイ兄様が部屋の外に出て、廊下にいるらしいリリーさんを呼んでくれた。
そのまま先に食堂に行ってるらしい。
リリーさんが部屋に入って、部屋の奥にある扉の前に立った。
「おはようございます、ユージェリス様。お着替えはこちらの部屋にありますので、よろしければご一緒にどうぞ」
「うん、ありがとう」
扉を開けると、結構な数の服がかかっていた。
うーん、さすが貴族。
その中からリリーさんが服を選ぶ。
さほど豪華ではなく、着やすそうな普段着を選んでくれた。
受け取るために、僕は手を差し出す。
「じゃあそれ着るよ」
「えっ…あの、お一人で着られるのですか?」
「え、うん、そうだけど」
「大丈夫ですか?」
「…え、前までどうしてたの?」
「私がお手伝いして…」
「…大丈夫、1人で出来るから。部屋の前で待っててくれる?」
「でも…はい、承知しました」
渋々、といった感じでリリーさんが部屋から出て行く。
きっと出来るとは思ってないんだろうな。
普通に着替えられるけど。
にしても…うわぁ、男の子の体だぁ…
そうだよね、こーゆーもんだよね。
…股間に違和感…
少し衝撃を受けつつ、さっさと着替えて鏡の前に立つ。
やっぱり整った顔だなぁ、将来有望。
銀髪も艶があるし、瞳は綺麗な空色だ。
母様譲りの髪と、父様より明るい色の瞳。
これは将来モッテモテでしょ、見た目だけなら。
…あれ?よくよく見ると、右側の耳の横ら辺に黒い髪がひと束…メッシュみたいになってる。
窓に映った自分を見た時は気付かなかったなぁ…
これ、生まれつきなんだろうか?
さっと櫛で髪をとかして、ヘアセットをする。
右側はメッシュの部分ごと耳にかけた。
3分くらいで全部の支度が終わったので、そのまま部屋を出る。
扉の横に立っていたリリーさんが、こちらを驚愕の表情で見ていた。
「えっ…ユージェリス様、本当に…?」
「だから言ったじゃないか、僕だってただの子供じゃないんだよ?」
実際中身は27歳だしな。
「…まさかここまでとは…失礼致しました。それでは食堂へご案内致します」
「うん、よろしくね」
リリーさんが申し訳なさそうに謝罪し、案内をしてくれる。
さすがは侯爵家、広い家だなぁ…
覚えるの大変そう。
大階段を降りて1階、奥に進むと食堂があった。
中に入ると、みんながすでに座っていた。
「やぁおはよう、ユージェリス。体調はどうだい?」
「おはよう、父様。もう大丈夫だよ」
「無理しちゃダメよ?気分が悪くなったらすぐに言いなさいね?」
「ありがとう、母様。それとおはよう」
「ユージェの席は僕とフローネの間だよ、こっちおいで」
「お兄様、おはようございます。あの、本当に大丈夫ですか…?」
「ロイ兄様、ありがとう。フローネもおはよう、大丈夫だから気にしないで?」
うーん、みんな優しい。
いい家族で安心した。
さて、なんだかんだこの世界での初めての食事だ、楽しみだなー!