ただいま!
帰ってきましたリリエンハイドぉ!!!
いやぁ、なんか色々あったなぁって感じ?
でももう帰ってきたからいいでしょ!
そして今回は正式に愛し子が帰ってきましたよって事で、国境越えた時から変装は解いてあります。
あ、ヴァイリー王国にも寄ってきたよ?
でもさぁ、勝手に入っていいって言われてたから勝手に庭園に『ワープ』したんだけど…
「…あれには驚いたよねぇ」
「何にですか?」
「女の子に押し倒されるサルバト様の事」
「あぁ、あれですか…」
「まさか例の伯爵令嬢に押し倒されて唇奪われてるところに遭遇するとは思わないじゃん…」
そう、なんと猛アタック中だと聞いていた14歳の伯爵令嬢に庭園の芝生の上で押し倒されて、ちゅーされてるところに遭遇しちゃったわけで。
めっちゃ気まずかったわ。
そんな僕達に最初に気がついたのはブルーノだった。
慌てたように伯爵令嬢をサルバト様から引っ剥がして、近くにいた固まってるメイドさんに押し付けて。
呆然としてるサルバト様を引き起こしてパタパタと身なりを整えてから僕達の方を向かせて。
ハッと意識を取り戻したサルバト様は、まぁ見事に慌てながら僕達に謎の弁解をした。
不慮の事故だったんだとか、私は幼児趣味じゃないだとか。
それを聞いた伯爵令嬢がショック受けて号泣しちゃって、余計に大混乱。
こりゃ拙いと思ってブルーノに謝りつつ、さっさと『ワープ』で退散してきました。
とりあえず僕達も混乱してたので一旦街でお茶をしていると、お忍びの格好をしたテリューシャ様とシャーナル様に遭遇。
さっきの内容を相談すると、テリューシャ様とシャーナル様はニヤリと悪者のような笑みを浮かべてから事の発端を教えてくれた。
なんと伯爵令嬢は王女三姉妹に相談したらしい、どうすればサルバト様が自分を意識してくれるのかと。
そしてテリューシャ様が転んだフリしてサルバト様に突っ込んでバランス崩させて、そのまま奪ってこい、と…
なんつー提案してんだ、この元王女様は。
「乙女心に全く気が付かないお兄様が悪いのです。少しは痛い目を見なくては」
「ユージェリス様もお気を付け下さいね?乙女心は繊細ですのよ?」
嘘つけ、そんな事出来る人が繊細なわけなかろう。
無駄に恋愛小説とかを読み込んでるからか、変な手はいっぱい思い付くんだから。
とりあえず、サルバト様にご機嫌いかが?と『レター』出しときました。
ちなみに未だに返事は来てません、大丈夫かな?
そんなちょっとした事件はあったけど、僕達はリリエンハイド王国の王都まで帰ってきました。
いつも通り恐縮しっぱなしの兵士達のところで申請して、ノワール達に乗ったまま屋敷に帰ります。
暫くノワール達は屋敷で飼う事になるからね。
いやぁ、目立つのなんのって。
道行く人がみーんなガン見。
「見られてるねぇ」
「まぁユージェ様ですからね」
「ジーンも見られてるんだよ?」
「ユージェ様のせいですね」
「ひでぇ」
ジーンが最近前にも増して扱いが雑です、グスン。
でもその方が気楽だから好き、えへ。
屋敷に到着すると、うちの私兵であるライオットが僕達を見つけて驚愕の表情を浮かべた。
「れ、レリックさーん!!坊っちゃまとジーンが!!レリックさぁーん!!!!」
そんなに驚かなくても。
一応数日中には帰るって連絡入れたんだけどなぁ。
「ユージェリス様?!ジーン?!」
「あ、レリック、ただいまー」
「ただいま戻りました」
ライオットの悲鳴を聞きつけて飛び出てきたレリックに挨拶する。
僕達の顔を見て、なんだか安心したようにため息を吐き出していた。
「…お帰りなさいませ、ユージェリス様、ジーン。奥様方が首を長くしてお待ちですよ」
「いるのは母様だけじゃないの?」
「今日は学院もお休みですからフローネ様もいらっしゃいますし、リリーがラウレアとちょうど遊びに来ていますよ」
「ラウレアもいるの?よーし、会いに行こっと。ジーン、ノワールよろしく!」
「はいはい、承知しました」
ひらりとノワールから飛び降りて屋敷の中へ入る。
探知スキルで確認すると、みんな中庭にいるようだった。
そのまま中庭へ出れる扉まで駆け寄って、勢い良く開ける。
「ただいま!ユージェリス=アイゼンファルド、ただいま戻りました!!」
「っお兄様!!お帰りなさいませ!!」
最初に気付いてくれたフローネが駆け寄って抱きついてきてくれた。
「フローネ、背が伸びた?ますます母様に似て美人になったねぇ」
「お兄様も背が伸びて体付きも前よりしっかりしてます!それにやっぱりカッコいいです!」
「ふふ、ありがと」
「ユージェリスちゃん!お帰りなさい!」
「母様、ただいま!」
「ユージェリス様!お帰りなさいませ!」
「ゆーちゃん!おかいりー!」
「こら、ラウレア!『ユージェリス様、お帰りなさいませ』でしょ?!」
「えー?ゆーじぇりしゅっていいじゅらいんだもーん」
「こら!」
あー、ラウレアも大きくなってぇ。
4歳だもんね、可愛いなぁ。
というか、ちゃんと僕の事覚えててくれてるんだ、嬉しーい。
「いいよ、リリー。ラウレアはフローネと一緒で妹みたいなもんだからね。なんなら『ユージェ兄様』とかでもいいよ?」
「ゆーじぇにーしゃま!」
「はーい」
「ゆ、ユージェお兄様!」
「フローネ、対抗しなくても…可愛いなぁ」
よしよし、嫉妬しないのよー?
撫で撫でぎゅーしてあげるからねー?
折角の美人さんなのに、膨れっ面は似合わないぞー?
「ユージェリスちゃん、お城へ行くの?」
「少し休んだら着替えて行こうかな。レリック、先触れ出しといてくれる?リリー、僕の服選んでくれないかな?」
「承知致しました」
「勿論です!まずは軽く採寸させて下さい!それを元に探してきますね!」
「ありがとう、よろしくね」
「はい!すみません、フローネ様、ラウレアを少しお願い致します」
「えぇ、いいわよ。お兄様と一緒に待ってるわ」
「ママ、いってらーさい!」
パタパタと走って屋敷の中へ戻るリリー。
なんか久々にこうやって頼み事したからか、やけに嬉しそうだったな。
華美過ぎる服装にしなきゃいいけど。
すぐに戻ってきたリリーの手にはメジャーが握られていて、目にも止まらぬ速さで僕の体を測ったかと思うと、またもや走って屋敷の中へ戻っていった。
「リリー、はやぁい」
「お兄様と一緒に何かが出来て嬉しいんですよ」
「そうね、リリーはまだラウレアのお世話で仕事を休んだままだし、少し寂しかったのかもしれないわね」
「そっか」
「ゆーじぇにーしゃま、あそぼー?」
「いいよ、何しようかー?」
ラウレアとフローネとおままごとをしながら待つ事、半刻。
戻ってきたリリーは何も持ってなかった。
「リリー、服は?」
「ご用意は出来ました、でも先にお風呂に入って下さいませ!登城するには少し埃っぽいですよ!」
「…それもそうか。ジーンも連れてくから一緒にさっさと入ってくるよ」
「そうして下さいませ。ジーン君ならさっき馬の世話をしてましたよ」
「わかった、ありがとう。フローネ、また後で帰ってきたらお話しようね。ラウレアはまた今度」
「はい、いってらっしゃいませ、お兄様」
「えー?もうあそべないのー?しょーがないなぁ、またあそぼーね!」
「ふふ、そうだね、またね」
2人の頭を撫でて、母様には手を振ってその場を立ち去る。
すぐにジーンは見つかったので、説明してから一緒にお風呂に入りました。
旅の間も一緒に大浴場行ったりしてたから、今更きにしません。
お風呂から出ると脱衣所に登城用の服が置いてあったので着替える。
自室に戻ると、リリーがブラシと整髪料を握りしめていい笑顔で待っていた。
「…何してんの?」
「久々にユージェリス様のお支度をお手伝い出来ると思ったら、いてもたってもいられなくて!」
「…あ、そう」
「髪の長いのもお似合いです!貴公子風にしましょうか!少し大人っぽくなられましたし、色気のある髪型とか…!!」
「あー、うん、任せてます」
「はいっ!」
楽しそうだなぁ、あはは。
これにて毎日更新は終わりでございます。
まぁ連続出来てなかったけども(笑)
月水金更新に戻ります。
よろしくお願いします。




