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従兄弟の一目惚れ

体調崩して月曜日更新出来ませんでした…

すみませんm(_ _)m

「ユージェリス様!」

「アイカット様、ご無沙汰してます」


扉を開けると、嬉しそうな表情のアイカット様が正面の席に座っていた。

どうやらお1人のようだ。


「こちらこそご足労ありがとうございます。師長からここへいらっしゃるとお聞きして、驚きました。そちらは噂の従者殿ですか?」

「直接お祝いしたくて。そうです、ジーンと申します。もしかしたら僕のお使いや何かでお世話になるかもしれませんので、よろしくお願い致します」

「ジーンと申します。至らぬ点もあるかとは思いますが、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い致します」


僕の言葉に反応して、頭を下げるジーン。

アイカット様も会釈してくれた。

そのままソファへ移動する。

僕とアイカット様は対面で座って、ジーンが僕の後ろに立つ形となった。


「この度はご婚約おめでとうございます。聞きましたよ、アレックス様から」

「あの方は本当に…!!」


顔が真っ赤になるアイカット様。

どうやら本当に恥ずかしかったようだ。

今度『メモリー』で見せてもらおうか。

とりあえず、本題のプレゼントをジーンから受け取り、机の上に置いた。


「細やかながら、お祝いをお持ちしました。よろしければお使い下さい」

「そんな!!お気を使っていただいて、申し訳ありません…!!」

「大したものではないので、お気になさらず」

「…いや、かなり大したものだと…」


ぽそり、とジーンが呟く。

それにすぐにアイカット様が反応し、顔色を青く変えた。


「…そ、そんなに…?」

「…結果によれば、世のご婦人達から詰め寄られるのでは、と…」

「そんなに凄いものかなぁ…とりあえず開けてみて下さい」

「し、失礼します…」


少し震える手で包装紙を開ける。

そんな恐る恐る開けなくても…


「…水、と、丸?」


中身を見て首を傾げるアイカット様。

やっぱ説明しなきゃダメだね。

顔に塗ってコロコロするのだと簡単に説明すると、目をキラキラさせながらアイカット様は熱心に聴いてくれた。

やっぱり美容用品に興味はあるみたい、女の子だねぇ。


「是非結婚式の前週くらいから使ってみて下さい、旦那さんも惚れ直す事間違いなしですよ!」

「あ、ありがとうございます…」


あらら、顔真っ赤。

幸せそうで何よりです。

あんまり長居しても仕事の邪魔になりそうなので、そのままさっさと退散。

予定も空いちゃったし、久々にこの格好(正装)のまま領地遊びに行こうかな。

最近は何回か行ってるからか、領民達も会話してくれるようになったんだよね。

まぁヴァイリー王国みたいに、向こうから呼び込みとかはしてこないけど…

ちなみにその件についてはサルバト様に連絡しておいた。

前陛下にはしなかったけど、慕ってくれているからかサルバト様にも同じ態度らしい。

国民への連絡と、一応諸外国へも自国民の特性として連絡を入れると言っていた。

まぁ無駄に喧嘩したりしないといいよね。


「ユージェ!」「ユージェリス!」


聞き慣れた声に振り向くと、メグ様とエドワーズ様がいらっしゃった。

珍しい、このお2人が一緒だなんて。


「ご機嫌よう、エドワーズ様、メグ様」

「久しいのぅ、ユージェ!なんじゃ?妾に会いに来てくれたのか?」

「いいえ、騎士団長様の結婚祝いをお届けに」

「…そんな速攻で否定せんでも…にしてもあれじゃな、恋敵が1人減るのは良い事じゃな!」

「まずお前はユージェリスの候補にすら入ってないがな」

「なんじゃと?!兄上、なんて事を言うのじゃ!!そんな事はなかろう?妾を嫁にする計画もあるはずじゃ!!」

「すみません、ありません」

「ユージェが酷いのじゃぁ!!!!」


わんわんと嘘泣きで騒ぐメグ様。

どうしようもない茶番だなぁ。


「それで、お2人はどちらへ?」

「公務がひと段落ついたのでな、少し薔薇園で休憩しようと思ったのだ」

「妾は元々薔薇園でお茶にする予定でな。ちょうど兄上と会ったので、誘ってやったのだ。そうじゃ、ユージェも来ぬか?!ユージェがおるお茶会…最高じゃのぅ!!」

「あー…どうしようかなぁ」


確かに王城の薔薇園は美しい。

色とりどりの薔薇が咲き誇り、かと言ってその色味は景観を損なわないように鮮やかにグラデーションを描くように配置されている。

過去にベティ様に招待されてお茶をいただいた事があったけど、あの時はちょっと乙女の気持ちに戻ってしまったほど。


「無理を言うな、メグ。ユージェリスも申請時間を過ぎるようならば申請をし直さねばならんだろう」


そういや、申請する時に退城予定時間は1刻後にしてたな。

すでに半刻は経ってるし…またの機会にしよう。


「そうですね、また後日お誘いいただけますか?確か薄い青と白のグラデーションが綺麗な薔薇はもうすぐ見頃でしたよね?私はあれが1番好きなんです、良ければその時にまた3人でお茶にしませんか?」

「おぉ、サレスの薔薇じゃな!あれはユージェによう似合う!わかった、見頃になる頃に招待状を送るとしよう!」

「花言葉は『自由』『移りゆく気持ち』『私を見て』…中々なものを選ぶな、ユージェリス」

「お詳しいですね。まぁ花言葉は気にしたつもりはありませんが、あの色合いが結構好きなんですよ。青空に薄く雲がかかったような晴れ間みたいな感じで」

「詩的だな、ではまたその時にゆっくり語り合おうか」

「はい、エドワーズ様。あ、でも1点だけこれを」


ふと思い出して、『ピクチャー』でヴァイリー王国のルーシャン様を映し出す。

訝しげに受け取ったエドワーズ様だったが、写真を見てから目を見開いて固まった。

流れる沈黙、約20秒ほど。


「…どちらのご令嬢だ?」

「どちら様だと思います?」

「…うちの国ではないな。見た事のない人だ。他国…ユージェリスの関係者ならば、もしやヴァイリー王国の方か?」

「さすがはエドワーズ様、当たりです。ヴァイリー王国第2王女のルーシャン様です。あの事件後の趣味は勉強とお料理で、儚げな印象ですが芯はしっかりされた方です」

「…ルーシャン、嬢…」


ポツリと呟き、再び訪れる沈黙。

僕とメグ様は目を合わせてニヤニヤと笑う。


「もしかして、気になっちゃう感じですかぁ?」

「まさか兄上、一目惚れではなるまいなぁ?」

「き、貴様ら!!」

「「うひょひょひょひょ!」」


激昂するエドワーズ様を揶揄う2人。

そう怒っても、別の意味で顔が赤いですよぉ?!


「じゃ、それ返して下さい」

「え」

「いやぁ、実はルーシャン様と姉君のシャーナル様がご婚約者をお探しという事だったので、歳の近いエドワーズ様の反応次第ではこちらの国の貴族を打診するのもありかなぁって。ほら、エドワーズ様がお認めなら貴族達もヴァイリー王国の方でも喜んで受け入れてくれそうですし!」

「え」

「というわけで」


手元の写真を取ろうとして、失敗する。

動かされた方向を追って取ろうとしても、失敗した。


「…エドワーズ様?お返し下さい?」

「…ルーシャン嬢は、まだ婚約者がいないのだな?」

「えぇ、あの前陛下のせいでちょっとした軟禁でしたからね」

「…以前、母上がヴァイリー王国の王女を娶るのはどうかと冗談めかして聞いてきた事がある」

「えぇ、あちらのサルバト陛下からお聞きしました。きっと冗談だろうとお思いですよ」


嘘、少し本気にされてた。


「…この写真は私が預かる。他の者には見せないように、特に男にはな」

「えぇー?ルーファスかレオ辺りに後で話すつもりなのにぃ」

「絶対!!見せるなよ!!」

「はーい、王太子命令に従いまーす!」


顔を真っ赤にさせながら懐に大事そうに写真をしまうエドワーズ様。

どうやら本当に一目惚れされたようだ。

まさかここまで上手くいくなんてな。


「…義姉上が増えるのも、時間の問題じゃな」

「えぇ、再従兄弟と従兄弟が結婚なんて、面白そうですよね」


ニヤニヤが止まらない僕らを睨みながらも、エドワーズ様は薔薇園に行かずにどこかへ行かれてしまった。

陛下とベティ様に直談判かな?


ま、後は野となれ山となれぇ〜!

ちなみにそんな薔薇はありません。

そしてちょいちょい存在を忘れがちなジーン君は王族兄妹が現れた時点で1歩後ろに下がってフレームアウトしてます。

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