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母の想い

ギリギリ金曜更新出来ました!

咳が止まらんのだよ…

なんか誰も喋んなくなっちゃったんだけど。

どうしようかなぁ…

とりあえず、後片付けだけしておこう。

大体綺麗にし終わったくらいで料理長が最初に我に返った。


「い、愛し子様!!片付けは我々がっ!!」

「もう終わったから大丈夫ですよ」

「も、申し訳ありません!!」

「構いませんよ、これくらい。ついでにお話しておきますと、サラダは酸味が少なくて食べやすいですが、薄切りのハムやコーンなどを混ぜると色味も綺麗ですし美味しいです。デザートはもう少し甘くてもいいかと。みかんやパインなどのフルーツを入れても美味しいと思いますよ」


僕の発言に意識を戻した料理人さん達がまたもやポカーンとする。

そんなに僕が料理するのが不思議かね?


「えーっと…そろそろお暇しようかな?ねぇ、学院長?」

「えぇ、そうですね。本当にユージェリス様はお料理がお上手で驚きましたわ。貴方達、上には上がいる事をよく考えて、日々精進するように。また今回の事は愛し子様からの謝罪の意を込めたアドバイスである事を忘れないように。言い触らしていいものではない事、理解出来ますね?」


学院長の言葉に、それぞれが理解したようで真剣な面持ちになる。

…えっと、もっと美味しいの食べたいなーと思って言っただけなんだけど…僕が料理を教えるってそんなに大事になるのか。


「我々リリエンハイド王立学院料理人一同、精霊様の名にかけましてお約束致します。必ずや、愛し子様のお口に合うようなレベルに達してみせると!」

「えぇ、聞き届けました」


なんかめっちゃ仰々しいな!!

逆に罪悪感に苛まれるわ…

深い感謝と尊敬の眼差しに囲まれたまま、僕は学院長室へと退散していった。


「…なんか、余計な事言いましたかね…?」

「大丈夫ですよ、ユージェリス様はお優しいですね」


それで片付くのか?


「それで、この後はどうされます?教室に戻られますか?」

「上手い事戻ってみます、授業が終われば話さないわけにはいきませんからね」

「そうですか。あ、そういえばユージェリス様、私事で恐縮なのですが、実は先日王妃様と王子様、王女様方とお茶をいただく機会を賜りましたの」

「そうですか!それは良かったですね!」

「えぇ…最初は少し緊張して空気が重かったのですが、マーガレット様が会話を繋いで下さって…来年からご入学されるお2方様ともお話が出来ましたの。本当に、楽しい時間でした。最後には私もあの子に自分の気持ちを伝える事が出来ましたわ」

「なんてお伝えされたんですか?」

「…『貴女が誰であろうとも(・・・・・・・)、私にとってはやっぱり大切な娘だと思ってしまうの』と」


…学院長の言葉が心に刺さる。

やっぱり、母親から見たらわかるよね…

自分の子なのに自分の子ではないという矛盾。


「そうしたら、あの子、凄く驚いた顔をして。それが何故だか亡くなった主人の滅多に見れなかった顔と重なりましたの。つい笑ってしまいましたわ。あぁ…やっぱり、娘である事に変わりない、と」

「学院長…」

「そんな私を見て、あの子も笑ってくれましたの。最後には王妃様としてでなく、私の娘としての言葉をくれましたわ」

「ベティ様が?」

「…『貴女があたし(・・・)のお母さんで良かったわ』と。それだけで、今まで抱えてた不安が消えていきました。この子の母でいていい…その事実が嬉しかった。だから、ユージェリス様も、お母様へ何か言いたい事があれば、キチンとお話する事をオススメ致しますわ」


学院長はそう締めくくって、僕を教室へと送り出してくれた。

姿を戻した僕は、教室に帰る途中で少し考え事をする。

母様に真実を話すべきか…

というか、何かを気付いてはいるんだろうけど。

愛し子の真実って、どこまで話していいものなんだろう。

精霊達に相談したいなぁ、なんか方法ないかなぁ。

また精霊界に行って、1年経ってましたとかシャレにならんがな…


あ、ちなみに結構簡単に影分身とすり替えに成功した。

今の僕の席は窓際1番後ろ。

隣は居眠りしていたローグナー、前はメイーナ、斜め前がなんとアッシュ君。

メイーナは授業中振り返ってこないし、アッシュ君は先生への点数稼ぎに必死で前しか見てない。

先生が板書しているタイミングで影分身を消し、『ワープ』で何食わぬ顔をしながら椅子に腰掛けるように転移した。

時間にして瞬き分ほど、まぁバレなかったよね。

そのまま普通に授業を受けて、お昼食べて、また授業受けて、普通に帰った。

授業抜け出すのって簡単ダネ!

…でも何やら父様達が最近『ワープ』でも通り抜けられない結界を考えているらしい。

万が一他国に時空間魔法使いがいたら困るからって。

…実はジャルネとかにいるもんね、転生者。

だからまぁ、ないとは言い切れなかったので黙っておいた。

沈黙は肯定ってね。

だからか余計にやる気を出して研究中だそう。

でもそれよりエリア石の代わりの魔導具研究が先だって陛下も言ってたし、まだ暫く先かなー?




そして次の週末、僕とジーンは正装でヴァイリー王国に遊びに来ていた。

一応この前の国境門へ転移してから王城入りしましたとも!

無断侵入ではありません!

本当は1人で来るつもりだったけど、ジーンにせがまれて連れてきました…

今度は負けたよ、あの目線に…

なんか、某CMを思い出すね…うるうるした目で訴えかけるのって…


「ユージェリス様!!ご無沙汰しております!!」

「兵士長殿、ご無沙汰してます。お元気でしたか?」

「勿論でございます!貴方様のおかげで、この国もやっと正常に稼働し始めたのです。サルバト様…陛下が、この国境門にも足を運んで下さって、色々と恩恵をいただく事が出来ました。最初は王城へ、などと光栄なお話もいただいたのですが…私は、大切な国を守るというこの仕事を誇りに思っておりましたので、辞退させていただきました。ジョルンは別の国境門にて出世し、私と同じく兵士長に就いております。ブルーノはこの後お会いになるでしょうね」

「それなら良かった、ジョルンに会えないのは残念ですが、ブルーノの立派な姿を見てきますね」

「はい、使い物になっていなかったら、喝を入れてやって下さい!」


兵士長も別人のように明るくなったな。

僕は兵士長に別れを告げ、今度は王城前までワープする。

一応先触れはしといたから、入れるとは思うんだけど…


「どうやらあちらの門番は突然現れた私達に驚いてるみたいですね。ちょっと話してきますので、ここでお待ち下さい」


そう言って、ジーンが門番の元へ向かう。

うん、結構ジーンも従者が様になってきたな。

周囲を見回すと、階段の下には王都が広がっていた。

以前は活気などまるでなかったけど、今は人々が笑い、盛り上がりを見せている。

少しでも貢献出来て良かったなぁ、ヴァイリーも喜んでるといいけど。

何人かの子供と目が合ったので、笑顔で手を振っておく。

振り返してくれたその顔は、楽しそうだった。


「ユージェ様、確認が取れました。入城致しましょう」

「はーい」


もう1度手を振ってから、僕はマントを翻してジーンを伴いながら開く門へと足を進めた。

サルバト様に会うのは久しぶりだなぁ!

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