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それぞれの視点《side another》

☆★☆side アリス☆★☆


思考が停止したまま、ユージェリス様の後ろ姿を見送ります。

あのハンカチは、私がユズキ君を想って刺繍をしたもので…

それに、あの言葉。


『マーロ先輩とお幸せに、アリス()


そこまでされて、気付かないほど愚かではありません。

私の可愛い後輩のユズキ君は、恐れ多くも愛し子様のユージェリス様。


…それを私は全く気付かずに色々とやってしまったわけで。

気安く声をかけてしまったり、美味しかったからと飴を渡してしまったり、あんな粗末な刺繍の安っぽいハンカチを渡してしまったり…

あぁ、なんだか目眩が…


「ちょっと、アリス!貴女いつの間に愛し子様と?!」

「聞いてないですわ!!」


…お友達に責められて、意識が戻って参りました。


「…以前、愛し子様が学院の視察にいらっしゃった際にお話しする機会がありまして。恐れ多くも例の方から逃げている時に助けていただいたんです」

「あぁ、あの人から…それは、なんというか、微妙なタイミングね…」

「まぁ、助けていただいたのですか?愛し子って噂通りお優しい方なのですね!」

「優しくて、カッコよくて、ダンスもお上手で!本当に愛し子様って王子様みたいね!」

「さっき私達、『お嬢さん方』って言われちゃいましたね!お声をかけていただけるなんて、嬉しいですわぁ!」

「もしかしてこのままお目に適っちゃったりして…きゃあ!!」

「でもでも、アリスさんと仲がよろしいみたいでしたし…あら?先程愛し子様、結婚式がどうのって仰ってましたけど…?」


…あぁ、しまった、このお2人にはマーロさんとの話をキチンとしていませんでしたわ。

あらあら、目を爛々とさせていらして…

どうやら愛し子様から興味がこちらへ移ったようですね。

全く、次に学院でお会いしたら、なんて言えばいいのでしょうか。

きっと周りには秘密にしているんでしょうし…


…マーロさんにも、秘密にしておこうかしら。

いつか正体を明かされて、私みたいに驚けばいいのだわ。

あの時のプロポーズの仕返し、ですわ!




★☆★side ニコラ★☆★


ダンスホールで好きな人と踊る。

これって結構ドキドキするものなのね!

ユージェと踊った時とはまた別の感覚だわ。

アレックス様ってダンスお上手だし、この距離…

これがナタリーちゃんの貸してくれた本に書いてあった『ときめく距離』ってやつね!


「娘ちゃん、どうかしたの?」

「いーえ、なんでもないです!というよりアレックス様、私の事は『ニコラ』とお呼び下さいませ!」

「うーん、俺、あんまり人の事、名前で呼ばないんだよねぇ、特に異性は」

「…そういえばユージェの事も『坊ちゃん』でしたね」

「あれはちょっと態とだけどね」

「態と?」

「師長が言ってたけど、坊ちゃんって愛し子様としての特別扱い嫌いなんでしょ?だからまぁ、俺くらいは気安い渾名で呼んでもいいのかなって。今のところ本人に指摘された事ないしね」


あぁ、やっぱりアレックス様は優しい。

ユージェの事もキチンと考えてくれる人だ。

愛し子様ではなくて、ただの男の子として接してくれてる。


「ロイドやランドール達は身分もあるから、様付けなんかも取れないけど、俺はあんまり関係ない立場だから。平民だけど、貴族並みの地位はあるし。何を言われたって、言い方は悪いかもしれないけど嫁さんや子供とか、守るもんもないから言い返せる。俺がこの地位にいれるのは、そういう理由もあるからかもね」


…今、もしかして遠回しに結婚しない宣言された?


「…結婚したいとは思わないんですか?」

「んー、まぁ願望がないわけじゃないけど。でもそれって引退した後でもいいし、子供も好きだけど養子を取ってもいいわけで。自分の子供が欲しいって願望はないかなぁ。よっぽどの理由でもなきゃ、今すぐ結婚する事はないね」

「よっぽどの理由?」

「その人が誰かに命を狙われてて、守る為に偽装結婚しなきゃとか?あはは、まるで小説の設定みたいだねぇ」


これは中々、強敵かもしれない。

とりあえず騎士団長様との結婚はなさそうだけど。

え、あたしの初恋失恋決定?


「女性が嫌いなわけじゃない?」

「勿論、女の子だーいすきよ?あははは」


そうよね、絶対モテるもの。


「最近気になった人は?」

「なんかグイグイくるね、娘ちゃん。気になった人かぁ…あ、いや、あれはな…」

「え、いるんですか?誰誰?」


体をグイッと近付けると、少し気まずそうに目線を逸らされた。

もしかして、あたしの知ってる人とか…?!


「…坊ちゃん」

「え?」

「…の、女の子バージョン」

「は?」

「…ちょっと、仕事関係で関わる事があってね。うん、あの、ジェリスちゃん、めっちゃ可愛かったね、はい…」


少し頬を赤くさせて、段々小声になっていくアレックス様。

というか、名前で呼んでるし。

つーか、ユージェの女の子バージョンまだ見た事ないんだけど、そんなに可愛いの?!


「清純っぽいのに男慣れもしてて、か弱そうなのに魔物を瞬殺出来て…あぁいうのをギャップ萌えって言うのかなぁ…手玉に取られる感じも悪くはなかった、うん」


照れながら語るアレックス様、超可愛い。


…じゃなくて!!

なんっでよりにもよってユージェなの?!

敵うわけないじゃん!!

マジで本当に失恋決定じゃない!!


…あぁ、またやけ食いしたくなってきた…

まだ諦めるわけじゃないけど、ショックが大きすぎる。


ユージェに責任取らせて、美味しいもの作って貰おう…




☆★☆side ガルフィ☆★☆


孫、可愛い。

エドワーズもマーガレットもアルバートもローズマリーも、勿論可愛い。

だけど心のどこかで、ソフィアの血を継いでいる事で彼らを否定をしたくなる。

特にマーガレットはソフィアと連絡を取っていた事で、行動が似ているらしい。

まぁベアトリスの教育のお陰で間違いに気付ける子になったようだが。


そして、彼女の血を継いだ孫達。

マリエールの頼みもあって、直接話す事が出来なかった。

どうやらこの子には本当に嫌われているらしい。

まぁしょうがないだろう、操られていたとは言え、2人にはいい思いをさせてやる事が出来なかったんだから。

だが、遠目から見る事は出来た。

長男のロイヴィスはルートレールにそっくりな見た目で、可愛らしいお嬢さんと楽しそうに踊っていた。

相思相愛の女性がいるのはいい事だ、羨ましい。

そのまま相手を大事にしてもらいたい。

長女のフローネは、マリエールや彼女にそっくりだった。

どうやら中身はそんなに似ていないとの事だが、嬉しそうにダンスをしている姿を見ると心が軽くなる。

まるで彼女が楽しく生きているように見えて…

しかしあの相手は誰だったんだ?

誰かに似ているような気がするが…

…あぁ、ソルリックとジェイクか!

成る程、宰相公爵家の者か…

…あそこなら、誠実な者が多い。

心配する必要はなさそうだな。


そして、次男のユージェリス。

いや、『様』を付けなければいけなかったかな?

数年前、報告を受けた時には本当に驚いたものだ。

まさか義娘に続いて、孫まで愛し子様になるとは…

しかも、男の子だが見た目も彼女に似ている。

報告によれば、所々だが彼女に似ている部分もあった。

…ここだけの話、彼女の生まれ変わりなんじゃないかと思ったのは内緒だ。

どうやらそんな事はないようだが。

私と目が合った瞬間、僅かだが嫌悪の色を宿した瞳をしていた。

後は警戒だね、子猫のようだった。

あの目は、私が彼女に想いを告げた時と同じだった。

…ちょっとだけ、傷付いた。

まぁ自業自得だけどね。

あの子からしたら、私の行動なんて意味がわからないだろうし。

しかし、ソフィアがあそこまで酷い女性になったのは私の責任だ。

周りに迷惑をかけない為にも、道化を演じ続けなければ。

もう、ソフィアが真っ当になる事は無理だろうしね。

最期まで(・・・・)、付き合おうじゃないか。


その時は、もう近い。

ソルリックはジェリス様のお父様、ルーファスのお祖父様です。

一緒に旅に出てるメンバーですが、今回の舞踏会には体調不良で欠席です。

自国に帰ってきた安堵による気の緩みから風邪をこじらせてます(笑)

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