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お祖母様孝行

「あ、ユージェ、こんなところにいたのかぁ」

「ユージェ君、ご機嫌よう」


飲み終わった紅茶を下げてもらってる間に、後ろから声をかけられた。

振り返ればレオとナタリーと、ナタリーと雰囲気の似た女性がレオにそっくりな男性に引きずられるように連れられていた。


「やぁ、レオ。今日は一段と綺麗だね、ナタリー」

「うふふ、ありがとうございます」

「公爵様方、ご無沙汰してまぁす」

「ご機嫌よう」

「レオナルドとナタリー嬢か、久しぶりだな」

「レオナルドちゃん、ナタリーちゃん、ご機嫌よう」

「レオナルド、彼はもしやマックリーか?」

「あ、ご無沙汰しておりますぅ、公爵様。マックリー=ウィンザー、只今帰りましたぁ」

「あら、そちらはスタンリッジの…」

「ひぃっ!あ、ご、ご機嫌よう、マリエール様!」


…もしかして、レオのお兄さんとナタリーのお姉さんかな?

ナタリーのお姉さんは領地にいたんだっけ。

レオのお兄さんは確か情報収集で国中回ってたんだっけっか?


「レオ、ナタリー、紹介してくれる?」

「勿論、そのために連れてきたんだぁ。これ、うちの兄貴のマックリー=ウィンザー、18歳。親父殿には僕以上のチャランポランと言われてるよぉ」

「どぉも、よりチャランポランな方のマックリー=ウィンザーでぇっす!愛し子様、ご機嫌よーう」

「ユージェ君、姉のフェアル=スタンリッジですわ。17歳で、今は父の代わりに領地を治めてますの」

「ふぁっ?!ふ、ふぇ、フェアル=スタンリッジと申しますのー?!」

「初めまして、ユージェリス=アイゼンファルドです。いつもレオとナタリーにはお世話になっています」


にしても、対称的な2人だなぁ。

挨拶をすると、マックリー様はニヤニヤと笑い、フェアル嬢はアワアワと慌て始めた。

2人とも、自分の父親達にそっくりすぎでしょ。


「実は面白い事が起こってさぁ」

「面白い事?」

「いつの間にか、このお2人お付き合いしてたんですって」

「なんと!」

「んで、結婚する事にしたらしいよぉ?」

「なんと?!え、おめでとうございます!」

「ありがとぉっすぅ〜」

「きょ、恐縮ですわっ!!」


マジか、それはびっくりだな。

あれ?でも…


「…お2人とも、長男長女で爵位継ぐんじゃ?ナタリーのところはお姉さんと2人だけでしょ?」

「そう、だからまさかの兄貴が婿入りして、僕が伯爵継ぐ事になっちゃったぁ」


てへ☆と言わんばかりにウィンクしてポーズを決めるレオ。

ってか、マジかよ、やべぇな。


「と言っても、俺の仕事内容(・・・・)は今とそんなに変わりませんけどねぇ。俺、領地経営とか向いてないしぃ?」


…マックリー様の発言から察するに、きっとフェアル嬢が引き続き領地の仕事を引き受けるんだろう。

そしてマックリー様はレオと入れ替わりで地方の情報収集担当になる、と…


「…もしかして、ナタリーとレオの婚約話なくなったの?」

「せっいかぁい!」

「おほほ、よくお気付きで」

「マジかよ」


2人的にはそれでいいらしい。

まぁ元々そんな感情全く持ってない2人だからな。

寧ろラッキーとか思ってそう。


「ユージェリスさん、そろそろ私にもそちらのお2人を紹介して下さらないかしら?」


おっと、お祖母様を忘れてた!


「失礼しました。こちらウィンザー伯爵家次男、レオナルド=ウィンザーとスタンリッジ伯爵家次女、ナタリー=スタンリッジです。僕の大事な親友なんです」

「「お初にお目にかかります」」


お祖母様に一礼する2人。

ジッと見つめた後、お祖母様は優しい目で微笑んでくれた。


「ユージェリスさんの祖母のララティエと申します。いつもユージェリスさんの側にいて下さって、ありがとうございます…時にユージェリスさん?」

「は、はい?」

「男子たる者、率先して婦女子をダンスに誘わないでどうするんですか?」

「え?」


腐女子?

あ、婦女子か。


「聞けばナタリーさんはレオナルドさんとご婚約されていないとか。未婚の女性を放置するのはいけませんよ。女性は貴方のような見目麗しい殿方と踊る事がステータスになるんですから」

「…あの、お祖母様、僕が踊ると目立つんですけど…」

「女性の社交界は目立ってナンボの世界です、問題ありません」

「いやだから、あんまりホイホイ誘うと相手が迷惑するかもしれなくて…」

「…あら、失念していましたわ。そうですね、愛し子様が1人の女性だけと踊るのはあまりよろしくありませんでした…」


やぁだ、お祖母様、僕が愛し子だってお忘れでしたの?

しっかりしてるようで意外と天然なんですね。

そういうところ、フローネに少し似てますよ!


「では複数人の女性と踊ってらっしゃい」

「え?」

「愛し子様が社交界に馴染んでいる事は、国が上手くいっている証拠になります。ベアトリス様は王妃でしたし陛下以外と踊るのは外聞よろしくありませんでしたけど、ローレンス様やその前の愛し子様も決まって何人かとは踊ってらっしゃいましたよ。折角の機会なんですから、貴方の踊りの腕前をこの祖母に見せて下さいませ」


マジかよ。

くっそ、前例あったとは…

…しょうがない、お祖母様孝行するかね…


「…ナタリー、付き合ってくれる?ちなみにニコラには既に断られてる」

「この状態で断れるとでも?…よろしくお願いします」

「ごめん…後で別の人とも踊るから、ナタリーだけ目立つ事はないと思うけど…」

「構いませんわ、慣れてますもの」


う、耳が痛い話です…

とりあえず、ナタリーの手を取って腕に回し、そのままホール中央へ向かっていった。

というか、意外とナタリーと踊るの初だわ。

基本こういう大きい舞踏会とか出ないからなぁ…

そしてナタリーは踊りやすかった。

普通に上手いよね、運動神経はあんまりないのに。


「何かおっしゃって?ユージェ君」

「ナンデモナイデス…」


エスパーなの?

つい孫が愛し子な事を忘れるお祖母様。

ユージェリスと絡む人って忘れやすいよね←

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― 新着の感想 ―
[一言] やっぱユージェの相手はナタリーだな。
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