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問題児(?)との対峙

「それで、ユージェリス様はこの後どちらに?」

「あぁ、ランドール様にお会いするつもりだったんです」

「私に…ですか?」

「アレックス様がこちらの方にいらっしゃると教えて下さったので、ご挨拶しようかと」

「それはそれは、態々ご足労ありがとうございます。というより…アレックスはユージェリス様を置いてどちらへ?」


首を傾げるランドール様は、なんとなく冷たい視線を周囲に向けていた。

これは後でアレックス様が怒られちゃうやつ…!!


「えっと、騎士団長のアイカット嬢にお願いされてダンスに…」

「騎士団長に?」

「ベティ様からの命令で、成人した独身男性と踊れと…」

「…あぁ、成る程、あれか…それは仕方がないですね…」


少し可哀想なものを見る目で中央を見るランドール様。

心なしか遠い目をしてる。


「あぁ、ご存知なんですね」

「魔法師団は大体知ってますよ。王妃様に独身男性は焚き付けられてますから」

「おぅ…えっと、ランドール様って…」

「あぁ、私は既婚です。妻の体が弱いので、本日は出席させておりませんが」

「そうなんですね、あの、もしよろしければ私が診ましょうか…?」

「お心遣いありがとうございます。ですが妻は生まれつきなので…」


…そういや、生まれつきの病気は治せないってのがこの世界の常識か。

僕も試した事ないんだよなぁ、ニコラの視力とかも試すの断られてるし。

僕の魔法ってイメージでどうにかなる感じだし、いけると思うんだけど…

あんまり強く言うのも良くないか。


「あ、あの、ユージェ様、僕そろそろ戻りますね」

「あ、はい、ありがとうございました、ダティスさん」


ランドール様に縮こまったままだったダティスさんが、話の流れが止まったのを見計らってこの場を去っていった。

今度何か改めてお礼しよう。


「ユージェリス様、あの者は?」

「私の友人の婚約者で…大事な先輩(・・)ですよ」

「あぁ、ユージェリス様よりも年上なんですね」


まぁ、そう言う事です。


「そろそろ会が始まりますね。ユージェリス様にとっては初めての先代方との対面でしたか」

「はい、楽しみです、色んな意味で」


僕の言葉の裏を察したのか、ランドール様が苦笑する。

そう、侯爵側の祖父母に関しては楽しみなんだ。

ただまぁ…王族側の祖父母は前情報がちょっとなぁ…


そうしてそのまま、舞踏会が開催された。

宰相さんの進行で陛下達が御登壇され、開会のお言葉の最後にお祖父様達が御登壇された。


鮮やかな金髪に深紅の瞳の、よくある物語の王子様をそのままイケオジにした感じの人が僕のお祖父様でもある、ガルフィ=リリエンハイド様。


碧眼に白髪混じりの黒髪なダンディなおじ様っぽく見えるのがもう1人のお祖父様である、ファスナー=アイゼンファルド様。


その隣に立っている栗色の瞳に父様と同じ青みがかった黒髪の物腰柔らかそうな女性が、ご存命している方のお祖母様のララティエ=アイゼンファルド様。


そしてガルフィ様の腕に引っ付いているのが、例のソフィア=リリエンハイド様だろう。

金色の瞳に金髪に近い茶髪の髪をふわふわとさせて、にこにこしながらガルフィ様の腕に抱き着いてる。

…全く王妃らしくない。

こういう場では淑女然と立ってなきゃダメじゃね?

…とても不敬かもしれないけど、服装や髪型も年相応じゃない。

顔は確かに可愛い系かもだけど化粧が濃いし、ウェーブのかかった髪に、ピンクが主体のドレスって…何時ぞやの問題令嬢を思い出させるわ。

20代までならセーフかもだけど、あの人達ってもう還暦越えてるよね?

うちのお祖母様は落ち着いた紺のドレスに軽く結い上げた髪型がとても素敵なのに…


周りを見回してみると、それなりの年齢の方々は呆れた目を向けていた。

若めの人達は瞠目してる。


「…第1印象は?」

「…ないわー、ですかね…」


ランドール様からこっそり問われたので、普通に返答する。

それを聞いたランドール様は苦笑していた。


お祖父様達の紹介が終わり、ランドール様と分かれて父様と母様と合流した。

ついに祖父母との初対面だ!


「ルートレール、マリエールさん」

「父上、母上」「お義父様、お義母様」


おぉ、早速来てくれた!


「…その子が、ユージェリスか?」

「えぇ、次男のユージェリスです。赤ん坊の頃以来ですね」

「さ、ユージェリスちゃん、ご挨拶なさい」

「ご機嫌よう、お祖父様、お祖母様。ユージェリス=アイゼンファルドです」

「…大きくなったな、ユージェリス。私はファスナー=アイゼンファルド、君の祖父だ」

「えぇ、えぇ、こんなに立派になって…祖母のララティエ=アイゼンファルドですよ、ユージェリスさん」

「愛し子様になったと、ルートレールから聞いている。色々と大変だっただろう」

「貴方が愛し子様になろうとも、大切な孫には変わりないですからね、ユージェリスさん」


僕が一礼すると、少し目を潤ませた2人が頭を撫でてから抱きしめてくれた。

…初めて会うはずだけど、胸がポカポカあったかくなる。

あぁ、なんか嬉しいなぁ…


「ねぇねぇ、その子がガルとアマリーの孫なの?!めっちゃ可愛いんだけどー!!あたしも抱っこしたぁーい!!」


突然の声に驚いて振り返ると、めちゃくちゃ至近距離に例のソフィア様が目をきらつかせながら仁王立ちしていた。

…本当にこの人王妃様だったんですかぁー?!?!

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