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その後の処分について

やっとのこと僕は1回家に帰る事が出来て、先触れを出してから王城へと赴いた。

魔法師団室で顔見知りとなったマタール様からお茶を淹れて貰って待ってると、父様と兄様と紫がかった灰色の髪の知的な感じのおじ様が戻ってきた。

おう、あの人見た事ない人だな、誰だろ。

服装からして、挨拶した事ない師団長かな?

というか兄様の師長補佐の姿、カッコいい!!


「ユージェリス、待たせたな」

「ユージェ、いらっしゃい」

「父様と兄様もお疲れ様。えっと、そちらは…」

「ユージェリスは初めてだな。彼はアイスリー=ガネット、第7師団長でルーナちゃんの叔父上だよ」


おぉ!義姉様の!

そう言えばなんだかんだ会った事なかった!

確かに目元とかちょっと似てるような…

というか父様、義姉様の事、ちゃん付けなんだ、可愛いんですけど。

という事はある意味このメンバー、身内ばっかりか。


「改めまして、第7師団長のアイスリー=ガネットと申します。いつもルーナがお世話になっております。予々師長やロイヴィス様、ルーナからお話は伺っております。気軽にアイスリーとお呼び下さい」

「ユージェリス=アイゼンファルドと申します。こちらこそルーナ義姉様にはお世話になっております。今後ともよろしくお願い致します。それでは私の事もユージェリスとお呼び下さい、親戚になるのですから」

「ありがとうございます、ユージェリス様」


様付けもしなくて良かったんだけど…

まぁ一応侯爵令息だからかな?

兄様にも様付けだし。


「また首を突っ込んだんだな?ユージェリス」

「いや、咄嗟だったからつい…」

「あまり危ない事はしないでよね?ユージェ」

「はぁい…」


怒られちゃった。


「まぁいい、とりあえず気になっているだろうから説明をしようか」


そう言って、父様達もソファへ座る。

僕の向かいが父様で、その隣にアイスリーさん。

僕の隣には兄様が座った。

今回の件で主に担当したのはアイスリーさんだそうだ。

アイスリーさんは希少なスキルでもある真偽スキルというものを持っているらしい。

嘘発見器的なやつらしく、レベルが高ければ高いほど巧妙な嘘も見抜けるとの事。

それでジャンジャックを尋問したそうだ。

いいなぁ、僕もそれちょっと欲しい。


「まぁそれで加害者の馬鹿息子が虚偽ばかりしている事がわかってな。一方的な婚姻の約束に、ストーカー行為。そして身分の圧力…見事に王妃様の地雷を踏んだぞ。先程報告に行った際には陛下が泣くほどお怒りだった」


どうした、ベティ様。

そこまで怒るなんて、まさか昔陛下に同じような事されたのか?

今度聞いてみようかな…


「被害者のプレッシェン子爵令嬢は特に精神系の魔法なんかにもかかっていなかったぞ。子爵令嬢は親の迎えが来るまで王妃様とお茶をするそうだ」

「え、ベティ様と?」

「王妃様曰く、心の傷なんかがないか確認をしたいそうだ。そういうものは鑑定スキルでもわかりにくいからな」


そうだねぇ、1年以上付き纏われてたんだし、トラウマになってるかもだよねぇ…

でもアリス嬢、突然ベティ様とお茶だなんて、それはそれで緊張してトラウマにならないといいけど。


「同じく被害者の少年も子爵令嬢を心配していましたが、あまり貴族でない者を王城へ長居させるわけにもいかないので先に帰しました。どうやらユージェリス様が遭遇する前に加害者に腹部を殴られたらしいですが、先程治療はしてありますのでご安心を」

「は?!殴られた?!」

「子爵令嬢に詰め寄って、拒否された事に腹を立てて手を上げようとしたらしいよ。それを阻止して、怒りの矛先が彼に向いてしまったらしい。彼曰く暴言を吐かれた後に1発殴られたとか。まぁ結構鍛えてるみたいで、ダメージは少なかったらしいけど」


…あの野郎、マーロ先輩になんて事を…

アリス嬢に怪我がなくて良かったけど、絶対に許せん。


「…ユージェリス、その殺気はしまってくれないか?中々辛い」


父様の言葉に顔を上げると、真っ青な顔をしたアイスリーさんと、冷や汗をかきながら渋い顔をした父様が見えた。

横を向くと兄様も苦笑いしてる。

周りは…おぉう、めっちゃ怯えてんじゃん。


「あー、すみません、つい」

「い、いえ、お気になさらず…」

「ユージェ、もう少し感情のコントロールに気をつけようね?ただでさえユージェは力が強いんだから」

「はぁい、兄様」

「あー、話を続けるぞ?兎に角、加害者ジャンジャック=バークレーは退学処分、並びに公爵家からの除籍と王都からの追放が決定した。また今回の原因は教育した親にも問題があるとして、前公爵の父親と後妻もバークレー家から除籍する事になり、公爵家の人間は現公爵…アイカット=バークレー騎士団長のみとなる。あそこは継げる親族も殆どいないから、アイカット殿は公爵家存続の王命を受けて特に処分等はなしだ」

「あぁ、良かった、そこが心配だったんだ」

「学院長からお前の要望を受けていたからな、陛下と王妃様は二つ返事で承認されたぞ」

「あのお2人も、騎士団長様の処分は望んでないからねぇ。ユージェの要望は都合が良かったみたいだね。まぁ今回の件にユージェが巻き込まれたって言うのは陛下と王妃様、それに宰相様と騎士団長様、後は僕達魔法師団の一部ってところかな?ユージェが学院にいる事を知ってる人は元々少ないから」

「あぁ、アイカット嬢にも言ったんだ?」

「土下座しそうな勢いだったよ。後でこっちに来るんじゃないかな?」


女性に土下座されるのは心情的にちょっと嫌だなぁ…


そんな気持ちを察してか、その後謝罪に訪れたアイカット嬢は急いで買ってきた菓子折りを差し出しながら、涙目で頭を下げて謝罪するだけだった。

僕もその方が助かります、そして苦労してますね、アイカット嬢…

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