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反撃開始のお知らせ

「スタンピードって…被害は?!」

「大丈夫よ、一応私も出ましたからね」

「ベティ様が?!お、お怪我は?!」

「心配しないで、誰も擦り傷程度で大きな怪我してな…あ、嘘嘘、あの騎士団長だけ重体だったわ」

「あ、それはどうでもいいです」


良かった、ベティ様達が酷い怪我してなくて…

というか、まだあの人騎士団長だったのか。


「あぁ、ユージェリス、アイツはな、今回のスタンピードで2回連続役立てず、王妃や愛し子様を侮辱したとして騎士団長の地位を剥奪となった。それに伴い、バークレー公爵家当主の座も降りる事になってな。あの公爵家は騎士団長でなければ当主になれんから、特例として右翼のが未婚だが当主と騎士団長の座につく事になった。エドの王太子即位に伴って就任する予定だ」

「あぁ、アイカット嬢が…それならエドワーズ様の時政は安泰ですね」

「そうだな、羨ましいよ」


陛下、ポロっと本音が漏れてます。


「1ヶ月くらい前だけどそれでもまぁ、本当に前回と比べて小規模だったのよ。ただ場所が悪かったわねぇ…よりによって、ホノールの森だもの」


ホノールの森とはヴァイリー王国との国境にある森で、両国の許可証がなければ入る事が出来ない森だ。

森を囲うように低めの柵が建てられ、兵士が周回しながら隣国からの不法侵入などに対応してるらしい。

確かすぐ側にニコラの家のフラメンティール士爵領があったはず。

僕は行った事がないから、どんな所だかはよく知らないんだよなぁ。


「ホノールの森で小規模なスタンピードが発生して、両国に魔物が飛び出たの。でもまぁ…不思議な事が起こってねぇ」

「不思議な事?」

「魔物が飛び出た数の差が凄かったわ。ヴァイリー王国が8割、うちが2割って感じだったのよ。だから私が騎士団と魔法師団を半分くらい『ワープ』で連れて行くくらいで対処出来たの。でも向こうはそうはいかなくてね、中々の被害が出たらしいわ」


ふぅん、なんでだろ?

結界とかは張ってなかったはずだし…

あ、もしかして…


「…ニコラの実家が近いからかも。ニコラ、実家に僕があげた魔導具の予備を1個置いてあるって言ってたし。危害を加えようとするものを排除するやつだから、近いし反応したのかな?」


学院入学前に1回、ブローチの留め具が壊れて付けられないって事があったんだよね。

それで代わりに腕輪型の魔導具を渡してあげて、暫く使ってたはず。

直ってからも返さなくていいよって言ったら、亡くなったお母さんの遺影の側に置いてきたって言ってたし。

ニコラの大事なもの、領地の人とかを守るために勝手に作動したのかもな。

その話をしたら、陛下がいい笑顔でサムズアップした。


「よくやった、ユージェリス!フラメンティール家もお手柄だな!」

「偶然とはいえ、運が良かったですわね」

「うちの被害が少なかったのがユージェリスのお陰だったのには驚きだな。あー、それで事態が収拾した先日、向こうから使者がやってきてな。こちらが何かしたからではないかと言いがかりをつけてきたんだ。ユージェリスの件も保留にしたままだったから、それもほじくり返してきてなぁ…正直、ぶっ飛ばしてやろうかと思った」


やだ、父様ったら攻撃的♡

って、そんな事言ってる場合じゃないくらい深刻なやつじゃん。

僕のせいで外交問題が…!


「ふふふ、でもね、そんな使者を追い払ったのが、なんとエドワーズなのよ?」

「え?エドワーズ様が?」


まさかのびっくり。

エドワーズ様、何言ったの?

少し驚いた表情でエドワーズ様を見ると、ちょっと照れたように目を逸らされた。


「ふふふ、兄上も中々イラついていたようじゃぞ?見ていて面白かったのー」

「煩い、少し黙ってろ」


メグ様がニヤニヤしながら横に座るエドワーズ様を突く。

そしたらエドワーズ様は不機嫌になってしまって、口を閉じてしまった。

えぇー?詳細は教えてくれない感じー?

いいや、今度父様かメグ様に聞こっと。


「えーっと、それでだな、とりあえずどちらも一旦解決はしたんだ。ホノールの森を調査したところ、エリア石の塊が出てきてな、とりあえず回収してベティが封印魔法をかけてくれた。すまんが後でユージェリスも確認してくれ」

「承知しました」

「それでね、ユージェリスちゃん。突然なんだけど、この漆黒期の間に私とユージェリスちゃんはヴァイリー王国に行こうと思うんだけれど、付いてきてくれるかしら?」


母様が謎の予定を告げる。

え?なんで母様と僕?

不思議に思って首を傾げていると、父様から答えが返ってきた。


「元々、マリエールだけで向こうに行く予定だったんだ。お前の継承権を改めて破棄するためにな。成人していない者の放棄、破棄には保護者の署名が必要となる。こちらの言い分としては『お前らのせいで息子が行方不明になった、どうしてくれるんだ』って感じのつもりだったんだが…帰ってきてくれたからな、どういう前提で向かおうか…」


成る程、中々僕が帰ってこないから、それを名目に脅してさっさと関係を断ち切るつもりだったのか。

それもありだけど…今の僕には、さっきも話した通り、もっと脅す材料が揃ってるんだよねぇ。


「父様、僕に任せてよ!なんのために精霊界に行ったと思ってるのさ!」

「ほう、任せていいのか?ユージェリス」

「お任せ下さい、陛下。なんなら息の根止めてやりますよ」

「あらあら、物騒ねぇ」


コロコロと笑うベティ様。

でも目はあんまり笑ってないというか、『やっておしまい』とでも言っているようだ。

あ、陛下とエドワーズ様と母様も笑ってる。

父様は少しため息ついてるけど、止めはしないな。

ロイ兄様もそんな感じ。

メグ様と末っ子3人は話が読めないらしく、早々にこっちの会話から離脱して3人でお喋りしてた。


「さて、今から話すのは先程許可を得た内容を実行する計画です。何か問題があれば教えて下さいね」


にっこり笑って、精霊達と話した内容を元に立てたこれからの作戦を語り出す。

さてさてさーて、反撃開始だよーん!

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