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2つの問題

遅くなりました!

ギリギリ月曜更新出来た…!

兄様の言葉に、礼をしたまま固まる僕。

あー、すっかり忘れてた…

急いでここに来る事だけを考えてたからなぁ…

とりあえずそっと指を鳴らし、目元にいつもの仮面を付ける。

そしてそのまま顔を上げると、会場がめっちゃ騒ついた。


「…失礼致しました、エドワーズ様、どうぞ続きをお願い致します」

「…あぁ、まぁ、とりあえずユージェリスも座れ。後日で構わん、詳細を教えてくれよ?茶なら入れてやろう」

「承知致しました、では茶菓子は持参致しますね」

「ユージェ!私にもよろしくねぇー」


ちゃっかり便乗するベティ様。

とりあえず僕は肯定のため、笑顔で頭を下げてから座るのだった。




そして、式は無事(?)に終了した。

いやぁ、エドワーズ様の答辞は中々素晴らしかった。

凛々しくてしっかりとした言葉は、将来王位を継いだ際にも生かされそうだ。

あーいう姿は陛下のまともな姿とよく似ていらっしゃるな。


「…さて、ユージェリス、何か言いたい事は?」


式が終わってガヤガヤしている中、父様の低い声がポツリと聞こえた。

うーんと、えっと、もしかしなくてもお怒りでしょうかねぇ…?


「えーと、長らく不在で申し訳ありません…?」

「…流石にもう少し早いかと思っていたぞ…それにミーナからの手紙よりも早く着くから敵襲かと…」


深いため息をつく父様。

あ、母様もため息ついてる。

ちなみにフローネはさっきから僕の腕に抱きついて離れません。

超可愛い。


「言い訳してもいい?」

「…なんだ?」

「僕の感覚的には、まだ1刻くらいしか経ってないんだ、出発してから」

「「は?」」

「精霊達が言うには、今回は運が悪かったって」

「…待て、『達』だと?精霊様はお1人じゃないのか?」


父様が慌てたように僕の顔を覗き込んで小声で尋ねる。

そっか、そこから説明しなきゃいけないのかぁ。


「うーんと…とりあえず兄様と合流してから話さない?ここじゃなんだし」

「…それもそうだな。今日は陛下方に昼食に招かれているんだ。そこで話そう」

「はーい」


頭を抱えた父様に続いて、僕達は会場を後にした。


学院の通路を使って、早々に王城なう。

『ワープ』使っても良かったけど、人が多かったからやめておいた。

そのままちょっと広めの食堂に通されて、陛下達を待ってます。


「全く、ユージェったら帰るのが遅いんだから」

「ごめんね、兄様。フローネも機嫌直してよ」

「つーん、ですわ!」


はい、可愛い。

とりあえず撫で撫でしとこう。


「すまん、遅れた。あぁ、いい、皆座ったままで。ここではただの親戚…家族として振る舞ってくれ」


部屋に飛び込んできた陛下に気付いて立ち上がろうとしたら、先に制された。

成る程、無礼講でいいって事か。


「エドワーズ様、改めてご卒院おめでとうございます」

「ありがとう、叔父上」

「ロイヴィスもおめでとう」

「ありがとうございます、王妃様」

「んもぅ、ベティか叔母様でいいのに。それにしてもユージェ、お帰りなさい!随分と遅かったのねぇ?」

「ユージェ!会いたかったぞ!」


エドワーズ様とベティ様が陛下に続いて入室される。

その後ろから笑顔のメグ様と、少しオドオドした様子の双子の王子様と王女様がいらっしゃった。

双子はアルバート様とローズマリー様と言い、フローネと同い年だ。

まぁ僕とは全然接点ないから、実は会釈程度しかした事がない。

誰に似たのか、滅茶苦茶人見知りで引っ込み思案なお2人です。


「戻りました、長らく不在で申し訳ありません。しかし、どうもかなり時間の流れが違ったようで…とりあえず説明しますね」


全員が席に座った事を確認してから、話を始める。

同席してるのはレリックとリリーのお母さんであるルリエルさんだけだから構わないでしょ。


僕は愛し子の真相には触れないように、説明を始めた。

精霊界とこの世界の時間軸は常に一定ではなく、波がある事。

特に今回は酷く、1刻弱で10ヶ月も経ってしまい、精霊に促されて急いで帰ってきた事。

その精霊は1国に1人いて、基本的には無干渉である事。

だからと言って無関心なわけでなく、キチンと観察はしている事。

戦争や災害で国が統合される場合は、精霊も統合して1人になる事。

正しい願い、精霊の望みと近い願いや詠唱などは精霊が力を貸してくれる場合がある事。

今回はリリエンハイドとヴァイリーに会ったという事。

例の件に関しては、ヴァイリーがとてもお怒りだという事と、制裁(・・)を希望している事。

ヴァイリー王国の王族純血信仰の真相。

今後の方針というか許可を貰ったやり方について。


そこまで話すと、父様と陛下は頭を抱えて、ベティ様と母様は少し困ったように苦笑し、エドワーズ様と兄様は眉間に皺を寄せながら考え事をし、メグ様は例の件でのヴァイリー王国の横暴さに憤慨していて、フローネと双子王族は頭の上にハテナが浮かんでいるようだった。

ちなみにレリックとルリエルさんは一見なんでもないように壁際に立ってるけど、中々冷や汗が凄かった。

ふふふ、隠しきれてませんよ?


「…つまり、何か?あの純血でなければならないとかいう話自体、100年程前に勝手に決めた方針のせいだと?」

「しかもユージェリスはこの10ヶ月で何があったか知らないのか…だからか…」

「え?どういう事?何かあったの?」

「うーん、なんというか、ユージェがいない間にちょっと問題が2つくらいあったのよぅ」

「2つ?」

「1つはそのヴァイリー王国とのやりとりについて、王城(ここ)に使者が来て話し合いがあったのだ。私も王太子になるにあたり、今回のやりとりについては聞いていて、話し合いにも参加したぞ」

「エドワーズ様が?しかも、話し合いって…」

「それについては後で話すが、もう1つの方が厄介だったな。話し合いはそれにも関係している」

「実はね、ユージェがいない間に、小規模だけどまたスタンピードが起こったんだ」


なんですと?!

兄様、それ問題過ぎませんか?!

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