表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
179/363

精霊との邂逅

と言うわけで、まずは『レター』を7枚用意。

いつもの4人と、ご令嬢3人宛のやつ。

今回の経緯と、暫く留守にするかもしれないことを書いておいた。

ちなみにご令嬢3人の手紙には小さな花のブローチを入れてある。

デイジーのにはダティスさん用の羽ペンをモチーフにしたラペルピンも同封。

勿論全て魔導具、メイドイン僕。

いない間になんかあったら困るから、ルーファス達と同じ性能の防御魔法を付与してある。

まぁ僕が精霊界とやらから1分で帰ってきたら全く意味ないんだけどね。

念には念を入れて、だよ。

どうせ今後も必要だろうし。

そしてそのまま魔法で郵送、ぽーい!


「さて、と…まさか精霊に会う方法が、『サモン』だとはねぇ…」


そう、なんと方法は闇属性の召喚魔法だ。

道理で使い手が少ないはずだよね、精霊まで呼べるんだもん。

まぁ『サモン』って実際に会った事のある人じゃなきゃ無理なんだけどさ。

ベティ様曰く、特定の詠唱と多量のMPを使用する事で呼び出しが可能らしい。

ただし精霊は何かに乗り移らないとこの世界で言葉を発する事は出来ないらしく、そのまま精霊界へ行く事になるのだそう。

さーて、一体どうなる事やら。

やってみますかねぇ…

僕は深呼吸をして、気持ちを落ち着かせる。


「…《汝、方途を見出し我が問いに答えよ。想いよ、精霊の元へ届け、“サモン:『相楽柚月』の魂を召喚せし者”》」


部屋中、今までにないくらい強い光が迸り、気付けば天井に例の魔法陣が映し出されていた。

じっと見ていると、現れたのは…


「…かぼちゃぱんつ…」


足と、かぼちゃパンツと、ちょっとだけスカートみたいなレースのヒラヒラが魔法陣から生えている。

…なんだこれ。

なーんてぼーっと思っていたら、突然その塊がドスン!と落ちた。

びっくりして下を見ようとしたら、何かよくわからないうちに腕を掴まれ、そのまま体が持ち上がる。

そして把握が出来ないうちに、謎の塊に引っ張られる形で例の魔法陣の中へと連れ去られたのであった…







…そして気付けば、周りは何もない真っ白な世界。

上も、下も、前も後ろも真っ白。

なんか立ってる感覚もよくわかんない。

イメージとしては背景を書き込む前の漫画のコマかな…

これって浮いてるのか?

歩けたりは…するな。


『あ、ここにいたのらー!おーい、サガラユヅキー!』


声に驚いて振り返ると、そこにいたのは…


「…幼女」

『意外と失礼なのら』


黒髪ツインテールで、可愛らしい顔のぷにぷに幼女。

まん丸お目目は金色くりっくり。

服装は中々フリフリ満載だね。


…って、この子、どこかで…?


「…トラックに飛び出た女の子?」

『正解なのらー!』


つまり…


ガシィッ!!!


「…テメェが精霊か、あぁん?」

『さっ、サガラユヅキ怖いのらー…』


頭を鷲掴み、鼻先数センチで睨みを効かせる。

精霊はガタガタと青い顔で震えていた。


『サイトウサツキとほぼ同じ行動なのらー…』

「…それって、前の愛し子…?」

『そうなのら!ちゃんと説明するから、一旦離してほしいのら!』


ジタバタと手から逃れようと抵抗する精霊。

僕は一旦気持ちを落ち着けると、手を離して少し距離を置いた。


『ふぅ、怖かったのら…改めて、我が名はリリエンハイド!このリリエンハイド王国の精霊なのら!』

「リリエンハイド…?王国の?え、精霊って国につき1人いるの?世界で1人じゃなくて?」

『そうなのら!国が戦争とかで統合すると、精霊も統合するのら!あっちの世界で言う、「ふゅーじょん、はっ!」ってやつなのら!』

「それちょっと違うから、あれ時間制限ありだから。どちらかと言えばポ◯ラ…ってそうじゃない!」


ノリツッコミしてる場合じゃないわ!

とりあえず、この機会に全て聞かないと!


「…聞きたい事がある。君は答える義務があるよね?」

『勿論なのら。こうやって呼び出して貰わないと、説明も出来なかったから困ってたのら。でも、説明を聞かない方がいい内容だってあるのら。それでも聞くら?』

「…前の愛し子は、全て聞いた?」

『聞きたがった事は伝えたのら。後悔するかもと前置きはしたけど、それでもと言ったのら。ちなみにその内容は聞いた後にショックを受けたりしてたのら』

「…その人が聞いたのなら、僕にも聞く責任がある。正しい事を、ベティ様にも伝えなきゃいけないから」

『…うん、いい感じに馴染んでるのら』

「は?」

『こっちの話ら。後でまとめて教えてあげるのら。さぁ、サガラユヅキ、時間の許す限り、なんでも答えてあげるのら!』


踏ん反り返って仁王立ちする精霊、リリエンハイド。

少しイラッとしつつも、僕は質問する内容を頭の中で反芻し始めるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ