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やり返し方法

「…ユージェリス、私には『精霊界』と言われると、ただのトラウマなんだが」


少し青い顔で僕に呟く父様は辛そうだった。

そっか、ベティ様が家出した時、冗談で『精霊界に行く』って言って消えて、大変だったんだっけ…


「えーっと、ベティ様がいなくなった時の精霊界って言うのは嘘だったんだよ」

「…何?」

「あれはベティ様が怒って誰も追いかけてこないように言っただけで、実際には行ってないんだ。ただ城下でフラフラしたり、旅行してただけなんだって」

「…そうか、なら探せばよかったな…」


父様が深いため息をつく。

まさかそんな深刻だったとは…


「で、でね、今回の精霊界は本物なんだ。ベティ様も行った事がないんだって。でも、僕の前任の愛し子…ローレンス様が残した日記に、暗号が残ってたんだって。漸く読み解けたらしくて、精霊界への行き方を教えてくれたんだ」

「…ユージェリス、その、精霊界っていうのは危険な場所ではないのか?」

「ローレンス様も無事に帰ってこられたみたいだし、大丈夫みたい。本当はベティ様も行きたいらしいけど、何日も王妃がいなくなるわけにはいかないからって…」

「そんなに何日もかかる所なの?」

「時間の流れが違うらしいんだ。向こうの1日がこっちの1週間かもしれないし、1分かもしれないって。その時によるみたい」

「そうか…それで、何故突然精霊界へ行こうというんだ?」

「ベティ様がね、精霊を味方につけなさいって。精霊が全ての国に恩恵を与えてるのだから魔法が使えてる。なら、仲良くなって彼の国に恩恵を与えてる精霊にお願いして、オシオキしちゃえばいいって」

「…戦争並みに規模がデカすぎる…」


あらら、父様、頭を抱えちゃった。

一方の母様は黙っていい笑顔でサムズアップしている。

対称的な2人だなぁ。


まぁつまり、精霊使って脅してこいって事ね。

そんな無茶苦茶な事をしてもいいのかとちょっとだけ残ってる良心が痛む。

でもまぁ、ちょっとだけだから、気にしない。


「それで?どうやって行くの?」


少しワクワクしたような表情で、母様が尋ねる。


「そこは秘密だよぉ、他の人に真似されたら困っちゃうからね!」

「あぁん、残念ね。帰ってきたら色々教えてちょうだいね」

「はーい。じゃあ早速、行ってきまーす」

「ちょ、ちょっと待て!もう行くのか?!何か支度とか…」

「大丈夫、大概の物はアイテムボックスに入ってるから!じゃーねー!」


2人に手を振って部屋を出る僕。

母様は笑顔で振り返してくれて、父様は唖然とした顔で固まっていたけど、とりあえずスルー。

僕はその足で兄様とフローネに暫く留守にする事を伝えた。

2人とも心配してくれたけど、ちゃんと帰ってくると精霊の名に誓ったら渋々納得してくれた。

そうして僕は自室に戻り、制服から適当な私服に着替える。

とりあえずいつもの愛し子マントも羽織っておこう。

そして、改めてベティ様からの手紙を開く。

中身は全て日本語で書かれていた。

1枚目が手紙で、2枚目が精霊界への行き方について。

ちなみに1枚目にはこんな風に書いてあった。


『柚月ちゃんへ


やっほー!元気?

皐月さんの日記解読してたら、面白い事判明したのよ。

だから今すぐ精霊に会ってきなさい!

それでヴァイリー王国には「お前らが強制するならお前らの国だけ魔法使えなくしてやる!」って脅してきなさい!

そしたら戦争吹っかけたってこっちの圧勝よ♡

…まぁ、本当に戦争する気なんてないけどね。

なんの落ち度もない国民を巻き込む必要はないもの。

だからこそ、私達の特権で、こちらの主張を押し出しなさい!

傲慢と思われようがなんだろうが、無茶苦茶な事を言ってるのはあっちなんだから!

私も聞いた話なんだけど、アマーリア様は向こうであまりいい扱いをされていなくて、こちらから側室打診をした時には「いらないからさっさと持ってけ」くらいの態度だったらしいの。

そんな女性の人権無視した国なんて、滅んでしまえばいいのだわ。

つまりね、柚月ちゃん…


殺っておしまいなさい。


愛梨さんより』


愛梨さん…ベティ様のそういうところ、大好き。

うちのお祖母様にそんな扱いする国なんて、大嫌い。


(お祖母様が)やられたから(僕が)やり返す。


倍返しだ!!

…ちょっと古いかな?

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