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理解する悪手《side ナタリー》

真っ赤にしていた顔から一変、ポカンと呆けた顔をするデルマール様。


「…王族の血を引いている…?それに、確か愛し子とは貴国の特異制度だったはず…」


あら、思ったよりもご存知なのね。

他国には愛し子様の概念がないとお父様からお伺いしていましたし、少々問題児の気があったように感じましたので、知らないものかと…

それにしても、全世界で精霊信仰はあるはずですのに、愛し子様ってこの王国にしか現れていないんですよね…

それだけ愛された土地、という事かしら?


「…ユージェリス様は、ヴァイリー王国から嫁いでこられたアマーリア王女様のお孫様であられる。つまり我がリリエンハイド王国の第1王女であられたマリエール様と侯爵のお子様でもある。2国の王族の血を受け継いだ尊いお方です」


あら、ユージェ君のお祖母様はヴァイリー出身の王女様だったのですね!

知らなかったです…あ、ユージェ君も驚いた顔をしてます。

どうやら出身までは知らなかったようですね。


「あ、アマーリア様?!た、大変失礼致しました…!!」


顔面蒼白で立ち上がり、頭を下げるデルマール様。

まぁ、態度が随分変わられましたね。

そんなに自国の王族関係者は怖いですか。


「…頭を上げて下さい。別に、私は怒ってなんかいませんよ?」


嘘です、絶対怒ってます。

だからこそこうやって私のために来てくれたんでしょう?

全く、ユージェ君は本当に優しいんですから。


「で、では今後とも私と交流を…!!」

「それとこれとは話が別ですね」

「え…」

「私は貴方と仲良くなんかありませんし、なんなら敵対する相手だと認識しています。彼女に無理矢理婚姻を迫り、お断りしてもこうして居座る。そして私が権力を持っていると分かれば擦り寄る。生憎と、そういう方は信用しない性質でしてね」

「そ、そう言わずに…!!」

「大方、魔力もなくて属性も少なく、なのに侯爵子息という立場に胡座をかいてきたツケを今から挽回しようとしている、といったところでしょう。甘いんですよ、貴方は」


ユージェ君の言葉に、デルマール様の顔色がより一層悪くなる。

どうやら図星のようですね。

ユージェ君、鑑定スキルでも使いました?

まぁきっと家では肩身が狭くなり、婚姻を結ばないと帰れない、といったところだったのでしょうか。

それで私に目を付けるなんて、運が悪かったですわね。


「貴国に恨みはないですし、祖母の母国という事で親しみを持ったところです。それに自国の王位継承権は放棄していますが、貴国の王位継承権を放棄したとは聞いていません。まぁ果てしなく低い順位でしょうがね」


あぁ、成る程、確かにユージェ君は2国の王位継承権をお持ちだったのですね。

本当に凄い方です事。


「いずれ放棄する事を伝える為に貴国に赴く事になるとは思いますが、《貴方とは2度とお会いしない事を願っていますよ》」


ユージェ君の言葉に、デルマール様の体が一瞬キラキラと光りました。

あら、いつの間に魔法を使ったんでしょう?

どんな魔法か後で聞いてみませんと。


「え、あ、その…」

「さぁ、行こうか、ナタリー(・・・・)


ユージェ君が私にいつもの笑顔で手を差し出してくれる。

あぁ、本当に、お手数をおかけしましたわ。

ですが、私の為にも怒って下さって、少し…いえ、かなり嬉しかったです。

…ちょっとときめいたのは、秘密です。


「はい、ユージェ君(・・・・・)


手を取って立ち上がり、ユージェ君と腕を絡ませて食堂から立ち去る。

あらあら、デルマール様ったら、またお口をみっともなく開けてしまって…

彼が私を助ける為に来てくれた事がお分かりになったかしら?

少しは聡い方みたいですし、きっとお気付きですわね。

自分の行動がいかに悪手であったかを。

知力と行動が伴えないなんて、残念な方ですわね。


デルマール様、早くお帰りになって下さいませね?

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