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反論する父親《side ナタリー》

「ナタリー嬢、ソイツは誰だい?君、僕とナタリー嬢が話しているんだから、割り込まないでくれないか?」


不機嫌を隠そうともせず、声を上げる男性。

…あら、お名前はなんとおっしゃったかしら?

興味がなさすぎて覚えていないわ…

と言うよりも、別に話してなんかいなかったですし、割り込んでいるのは貴方なのでは?

少しムカつきます。

するとユージェ君は少しポカンとした顔をしてから、またまたにっこりと微笑みました。

まぁ、カッコいいですわね、見た目だけは。

きっと心の中では悪態つきまくってるんでしょうけど。


「これは失礼致しました。ナティから何も聞いていなかったもので、ここにいるのは伯爵とナティだけかと思っていました。お見かけした事はないようですが、他国の方でしょうか?」

「あぁ、ヴァイリー王国侯爵子息、サグダス=リ=デルマールだ」


…あぁ、そうそう、デルマール侯爵子息様でしたわね。

すっかりくっきり忘れていました。

確かデルマール侯爵家は、侯爵位なのに末端貴族扱いなんだとか。

大事な要職にも付かず、ただの文官として働いているのだとお父様が言っていました。

ヴァイリー王国は実力主義で、このままだと侯爵位から落とされる可能性もあるのだと。

だから余計に私との縁組でリリエンハイド王国と繋がりがある事を主張して優位に立ちたいのだとか。


…優位に立ちたいのなら、伯爵よりも上の爵位を狙った方がいいのでは?

ほら、おススメするわけではありませんけど、ユージェ君の妹様だって侯爵令嬢で…

あぁ、でもこの方、確か20代半ばだとお伺いしましたわね。

妹様とでは犯罪臭が酷いですね、いえ、私が相手でもですけど。

と言うよりも、20代半ばで婚約者がいないのは何か問題があるからでは…?


「ヴァイリー王国と言うと、隣国の!この王都からは離れているでしょうに、よくお越し下さいました。リリエンハイド王国侯爵子息、ユージェリス=アイゼンファルドと申します」

「…アイゼンファルド…?確か、貴国の宮廷魔術師長は…」

「はい、私の父です。兄が継ぐ予定ですので、私はあまり関係ないのですが…」

「そ、そうか。うむ、私も三男だからな、家業とは全く関係ないのだ、同じだな」


それってただの無職なのでは…?

文官でもないと言う事ですよね?

え、普段何されてるんですか?

そう言う話は確かしてなかったような…

それにユージェ君は愛し子様ですから、貴方とは全く違うのですよ?

災害時には命をかけて前線で王国を守って下さる、平和の象徴でもあるのですから。

例え普段働いていないとしても、同じ立場扱いしないで下さいませ!


…あら、でもユージェ君って狩人コースでしたよね?

なら身分を隠して狩人になるのかもしれない。

では余計に一緒ではありませんね!


「それはそうと、何故こちらへ?ナティ、君の親戚とかかい?」

「いいえ、全く。昨日が初対面ですわ」

「おや、てっきり親戚かと。これだけ歳が離れてる方が初対面で訪れるなんて…あぁ、スタンリッジ伯のお仕事関係で?」

「い、いえ!私も数日前に初めてお会いしまして!!私が貴国とやり取りしていましたのは別の方でしたので!!」


半分怯えながら、お父様が答える。

そんなに怖がらなくても…


「…伯爵は何故そんなに怯えているんですか?侯爵子息とはいえ、直接の爵位を持たないただの子供でしょう?」


つまり貴方も直接の爵位を持たないただの人ですわね。


「…ユージェリス様を、侮辱しないでいただきたい」

「は?」

「このお方は、我が国の宝だ。貴方とは違う」

「な、何を!私を侮辱しているのか?!」

「侮辱しているのは貴方だ。王城を通して、貴国へ抗議してもいいくらいの」

「なっ…?!どういう事だ?!彼は一体…!!」


あら、お父様が怒りで少し仕事モードになりましたわ。

一方でユージェ君は微笑んだまま。

デルマール侯爵子息は顔を真っ赤にして吠えていて、滑稽ですね。


「ユージェリス様は王位継承権は放棄したものの王族の血を引いた尊いお方であり、この国の『精霊の愛し子様』であり、娘の大事なご友人だ!!」


お父様が叫びながら机を叩いて立ち上がる。

お父様!なんだかカッコいいですわ!!

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