表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
167/363

ベティ様へのお願い

ちょっと短めです。

「…生憎、クズ男でもなければ悪女でもありませんよ、ベティ様」


僕はため息をつきながら、ベティ様に軽く手を振る。

全く、人をなんだと思ってるんだ。


「あら、そーお?あぁ、そういえば今日はご苦労様。私の方もわかる部分の解読は終わったわよ」

「え、流石ベティ様、お早いですね」

「まぁ一部分だけだったしね。後でルートレールからお聞きなさいな」

「承知致しました」

「はい、そうさせていただきます。今は少し急いでいますので」

「あら、どうしたの?」

「えーと、ベティ様、うちのリリーの母親は今どちらに?」

「リリーちゃんの?彼女がそうよ、ルリエル」


そう言ってベティ様が体をずらすと、後ろに1人の女性が控えていた。

暗めの茶髪を纏めていて、リリーと同じ緑の瞳は驚いたかのように見開いている。


「ご挨拶が遅れて申し訳ありません。アイゼンファルド侯爵子息、ユージェリス=アイゼンファルドと申します。いつもお嬢さんにはお世話になっております」

「る、ルリエルと申します!こちらこそ、娘がいつもお世話に…!!」


なんだかんだご挨拶するのは初めてだった。

だからなのか、めちゃくちゃ緊張した様子のルリエルさん。

にしても、平民で王妃様付きの侍女頭やってるって凄いよねぇ。

…いや?本当に平民なのか?

まぁそこは一旦いいか。


「ベティ様、ルリエルさんをお借りしたいのですが」

「あら、ルリエルを?とりあえず今日この後は急ぎの用事とかないからいいけど…どうかしたの?」

「リリーが産気付いて、今頑張ってるんです。お母さんを側に付けて支えてほしくて…」

「リリーが?!予定日は来月だって…!!」

「まぁ、それは一大事ね。ルリエル、ユージェと早く向かいなさい。陛下や他の子には私から伝えておきますから」

「で、ですが王妃様…!!」

「…母親なら、側にいてあげた方がいいわ。貴女だって身に覚えがあるでしょう?」

「…っ!!そ、う…ですね…」

「それに初孫なんでしょう?是非父親よりも先に抱っこしちゃいなさい!これは命令よ!」


ベティ様がルリエルさんにウィンクする。

うーん、それはドリーが悔しがりそうだな、可哀想に。


「…ありがとうございます、王妃様。御前失礼させていただきます」


ルリエルさんが頭を下げて、ベティ様へ感謝を述べる。

そして僕を真っ直ぐに見てから、もう1度頭を下げた。


「ユージェリス様、お手数かとは思いますが、何卒リリーの元へとお連れいただけますでしょうか?」

「勿論、そのために僕はここに来たんだから。お手をどうぞ?ルリエルさん」


僕は笑顔で右手を差し出す。

ルリエルさんは少し安心したように微笑んで、僕に手を重ねてきてくれた。


「では、《ワープ》」


視界がボケる。

最後に聞こえたのは、ベティ様の呟きだった。


「…変なところでユージェって王子様気質発揮するわよね」


ちょっと、聞こえてますからね?!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ