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父親の気持ち《side ルートレール》

風邪ひいて昨日の更新が出来ませんでした…

代わりに今日です!

明日も更新予定です!

「いつまでしょげてるんだ、お前は」


屋敷から引き上げて、王城へ戻ってきた私達。

いつまで経ってもアレックスはため息をついて項垂れていた。

そんなにあの子に弄ばれたのが悔しいのか。


「…坊ちゃん、女の子だったら本気で口説いたのに…」


結構本気だった!!

危ない危ない、ユージェリスが息子で良かった。


「あーら、中々面白そうな話してるじゃない」


聞き覚えのある声にアレックスと振り返ると、そこには王妃様と侍女頭のルリエル殿が立っていた。

ルリエル殿はユージェリスの専属メイド、リリーの母でもある。

にしても王妃様、ニヤニヤしちゃって…


「いや、その、別に深い意味は…!!」

「変身姿の息子に弄ばれたんですよ、コイツは」

「師長!!」

「あらあら、流石ユージェね。男を手玉に取るなんて、よっぽどの悪女だったのかしら、うふふ」


…だった?

なんで過去形なんだか。


「それにしても、随分と早かったのね。もう少しかかると思ってたけど」

「1回で確認したい事全てが検証出来たのですよ。後で執務室へお伺いします」

「あら、なら私も待ってるようにするわね。行きましょ、ルリエル」

「はい、王妃様」


我々に手を振りながら、その場を去る王妃様と付き従うルリエル殿。

一礼しつつその姿を見送ってから、魔法師団室へと戻ってきた。


「さて、手荷物を置いたら私はこのまま執務室へと向かうか」

「じゃあ俺は坊ちゃんにもらった考察書?を参考にしつつ報告書を作っちゃいますね」

「あぁ、戻り次第確認する。問題なければ宰相閣下に回すようにするから」

「はーい」


手荷物を片付けつつ、アレックスと会話する。

すると突然、アレックスの動きが止まった。


「ん?どうした?」

「…坊ちゃんの手紙見たんですけど…」

「あぁ、なんか変な事書いてあったか?」

「…坊ちゃん、何歳でしたっけ?」

「もうすぐ13だが」

「授業で報告書の書き方ってやりますっけ?」

「そんなものやるわけないだろう」

「…俺が書くものよりも、よっぽどしっかりした報告書なんですけど…」

「は?」


顔色の悪いアレックスの手元から手紙を奪い取る。

そして中身を確認して…驚いた。

まだ社会にも出ていない子供が、何故こんなにしっかりとした報告書が書けるのか?!

私並み…いや、私が書くよりも正確に、綺麗に、見やすくかかれている。

この城の誰よりもちゃんとしたものだろう。


…本当に、末恐ろしいとはこの事だな。


「…これはこのままもらっていく。アレックスは他の奴らの手伝いをしたら通常業務に戻れ」

「…はい」


すっかり覇気をなくしてしまったアレックスを置いて、私は魔法師団室を出る。

…うん、落ち着け、俺、いや私。

ユージェリスは少し他の子とは違うんだ。

精霊様の力を宿してるとも言われている愛し子様。

これくらいの事で動揺してはいけない。

特別扱いもダメだ、あの子は他の子と同じように、一緒に扱わなくては。


…知識も、私よりあるんだろうな。

ちょっとだけ、父親として情けなくもある。

だがそれも悟られてはいけない。

あの子はそれを気にするだろうから。


だが…


「…報告書の書き方は、習った方がいいかもな…」


私は誰にも聞こえないような声量で、ため息を吐きつつ呟いた。

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