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踊らされる男達《side アレックス》

突然のアレックス目線。

振り回される男達。

師長の息子さん、愛し子様であらせられるユージェリス坊ちゃんは、本当に不思議な子供だ。

御歳12歳にして、剣も魔法も国1番。

多分頭もめちゃくちゃ良くて、ご両親に似てかなりの美形。

料理の腕なんかピカイチ、もう惚れそうなくらい。

女の子に甘い…というか、基本的に人に優しい。

俺の扱いはちょっと雑だけど。


こんな完璧な男、いるのかね?って感じ。

そりゃ王女様だって惚れちゃうよ。

ロイドんとこの娘ちゃんも仲良いらしいし、これは随分とハーレム築いちゃってるんじゃね?


…なーんて思ってたけどさ。

何あれ、ジェリスちゃん、くっそ可愛いんだけど。

中身が坊ちゃんってわかってても可愛い、意味わかんねぇ。

昨日ランフェスのやつがやらかしたらしいけど、まぁしょうがねぇよな。

今日初めて会った時、俺もつい口説くために声をかけそうになった。

寸前で思い出して、笑う事でなんとか誤魔化せたけど。

ついつい確認しまくったけど。


そして今回の神話級との戦闘。

あれはヤバイ、戦ってる姿がめっちゃ綺麗だった。

自分より強い女の子ってちょっと苦手だったけど、あれは凄かった。

なんていうか、踊りを見ているみたいな、そんな感じ。

劇とかの出来事みたいで、恐怖心とかはどっかいった。

ただただ魅せられたっていうか…

あれ?本当に男の子だよね?

なんで細かな仕草とかが完璧に女の子なんだよ。

マジで気をつけないと惚れそう。

めっちゃ年下だけども。


「アレックス様?」


そんな事を考えていたら、ジェリスちゃんに声をかけられていたらしい。

気付いたら下から上目遣いで覗かれていた。

…あー、もー、可愛いっ!!


「あー、ごめん、大丈夫。これは俺が預かっておきます…って、ジェリスちゃん、その手、怪我してる?!」


顔から目線を逸らして下の方を見ると、ジェリスちゃんの左手が赤く染まっている事に気付いた。

驚いてその手を掴んで、上に持ち上げる。

…深くはないけど、結構掌が切れてる。


「…あぁ、先程ねずみを嗾けるためにちょっと切りました。痛みは遮断させていたので忘れてましたわ、お見苦しいところ失礼しました」

「いやいや、ちゃんと治してから戦ってよ?!というかそんな嗾け方じゃなくても!!《キュア》!!」


治療魔法でそのまま手を癒す。

今日は殆ど魔力を使ってなかったからこれくらいなら造作もない。


「ジェリス、大丈夫か?」


師長も心配そうに手を覗き込む。

ジェリスちゃんは師長を見ながら微笑んだ。


「かすり傷ですわ。ご心配をおかけしました、旦那様」

「全く、女の子なんだから痕が残ったらどうする…違った、女の子じゃなかった…」


師長、自分で間違えた事に衝撃を受けてるな。

こちらのお嬢さん、御宅の息子さんですよ。


暫くすると、ジェリスちゃんの傷が完全に塞がって傷痕が消えた。


「アレックス様、ありがとうございます」

「あ、どういたしまして…」


うーん、調子が狂うな。

早く坊ちゃんに戻って欲しい。

というか、なんでこんな所でも完璧に擬態してんの?!


「ジェリスちゃん…なんでここでもそんな完璧に擬態してんの…?」


俺の問いにキョトンとした顔をしたジェリスちゃん。

可愛いなぁ、マジでやめて。


「まぁ、どなたが見ているかはわかりませんから」

「え?」

「この森にはいませんけど、森の手前までは視線を感じました。特に立ち入りの制限はしていませんし、いつ誰が忍び込んでくるかわかりませんもの。完璧な擬態は必須ですわ」


視線だって?気付かなかった…

俺、察知スキルないんだよなぁ、欲しい…

にしても、誰が見てたんだ?

怪しいのは大臣の公爵か、それともその下っ端か…


「それに」

「ん?」

「アレックス様達、私のこの姿、お好きですよね?」


不自然に言葉を切ったジェリスちゃんに目を向ければ、にっこりといい笑顔で吐かれた言葉。

気付かれて見透かされていた事への羞恥心と可愛らしい表情で、その場の全員の顔が赤くなった。

というか師長、貴方もですか!!


「…昔のマリエールと似てて、つい…」


…心中お察しします、師長。

でも息子さんの掌の上で踊らされるのはどうかと思います、師長。

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