検証準備
お話も一旦終わったので、僕だけ先に屋敷に帰ってきた。
夕飯も食べて、部屋で今日1日の影分身体の記録鑑賞会なう。
まぁ、特に問題はなかったようだね。
授業も普通に知ってる範囲の内容だし、彼はノートも取っててくれた模様。
でも明日から暫く学院行けないんだよなぁ。
少なくとも明日は父様達と検証のために森に行くし。
明後日は休みだからいいけど…どうしよう?
「明日も影分身体に頑張ってもらうかなぁ…」
明日までは話せなくてもバレないだろう。
来週の事は明日、明後日の状況見て考えるかな。
あー、なんか今日は色々あって疲れたなぁ…
まだ闇の8刻だけど、もう寝ちゃうかな。
おやすみなさーい…
そして気付けば僕in森。
学院にはもう1日だけ影分身体に行ってもらう事にした。
僕は朝急いで作ったシンプルな銀の腕輪に魔法を付与して、ジェリスちゃんとして父様と一緒に登城。
僕の正体は陛下、ベティ様、メグ様、宰相さん、師団の全員だけ知る事になった。
他の人には父様の従者として付き添ってる名目です。
第1と第3の師団しか詳しい事は知らせていないので、他の師団員達には何か極秘事項に愛し子が関わってるという認識だけ。
そんなわけで、今日は父様&アレックス様達第1師団8名の、計10名で森に来てまーす!
ちなみに僕のこの姿を見たアレックス様は両手を叩いて爆笑した後、本当に僕なのか何度も問うてきた。
終いにはまたブリザードをバックに携えた父様に拳骨食らって大人しくなってたよね。
アレックス様って僕より随分年上だけど、そう感じさせないのは何故なのか。
「さて、ここいらで検証を始めよう。サダル、ウィエク、うさぎかねずみ辺りの小さな動物を捕まえてきてくれ」
「「はっ!」」
父様に指名された身長凸凹コンビの2人が森の中に入っていく。
動物には悪いけど、実験しなきゃなんだよなぁ…
…この実験で、魔物を元の動物に戻す方法とか見つけられないかな?
魔石を取り出すだけでは戻れないと思うんだけど…
倒した後に魔石を取り出しても、魔物は特に見た目が変わったりとかしないんだよね。
魔物の見た目のまま、段々と風化していくらしい。
腐るわけじゃないのは、普通の動物じゃないからなのか。
うーん、やっぱり魔物って、奥が深い。
「…ジェリス、どうかしたか?」
「いえ、なんでもありませんわ、旦那様」
ぐぅ、父様鋭いなぁ。
僕が何かを考えてる事、すぐに見破ろうとするんだから。
「師長、こちらでよろしいでしょうか?」
暫くしてから、背の低い方の人が麻袋に入れた何かを持ってきた。
結構よく動いてるけど…なんだ?
「それは?」
「ねずみの巣を見つけたので、先に1匹捕まえてきました。残りは予備にサダルが2匹ほど捕獲次第、駆除してくる予定です」
「そうだな、ねずみの巣は残しておく必要はない。アイツら、すぐに繁殖して増えてって保存食なんかを食い荒らすからなー」
アレックス様が頭を抱えて唸りながら告げる。
随分庶民派な発言だな、元々平民だったからか?
あ、いや、一応今も貴族ではないか、貴族相当の地位なだけで。
「サダルが戻り次第、検証に入る。エリア石のカケラを対象に取り込むのは私、補助をアレックス頼む。残りはスタンピード時のように周りに結界を張って緊急時に備える事。ジェリスは…すまないが察知スキルで周辺の警戒を頼む。魔物が出た際には即座に討伐してくれ」
「「「「「「「「はっ!」」」」」」」」
「承知致しました」
さーて、検証開始だ!