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仮定と可能性

なんという衝撃の展開。

僕、知らずに初代愛し子の本読んでたのか。


「ハイドロ=キングラーは謎の人物とされている愛し子様だ。数百年前の話だから、残ってる情報も少なくてな。先程の書物も死後暫く経ってから見つかったもので、複製しようにも不思議な魔力によって複製したものは殆ど燃えてしまって…そのため原本はこの王城に、複製出来た数冊を公爵家と侯爵家のいくつかに置いてあるんだ。まぁぶっちゃけ、俺も詳しくは知らない。子供の頃に1度目を通したくらいだな。エドは読んでるかもしれないが、メグはどうかなー?」

「そんな希少な書物だとは知りませんでした…」


陛下ですらよく知らない人物とか、何それ気になる。


「それで、先程言っていたアレ、とは?」

「数十年前に、突然見つかったメモようなものだ。魔力の残留思念からキングラー氏のものと判明したんだが、全く読める文字ではなくてな。2代前の宰相…私の祖父の権限で、言語の専門家をつけて解読に当たらせていたのだ。だがなかなか進まなく、そのまま今まで来ていて…今では『絶対に終わらない案件』扱いだな。毎月の報告も『進捗なし』だ」


なんという事でしょう。

まるでサグラダ・ファミリアだな、終わらない建設。

いやでも、あれって確か2026年とかに完成予定になってたんだっけ?

もう前世では完成してるのかなぁ、転生してから6〜7年経ってるわけだし。


「ユージェリス、どうかしたか?」

「あ、ううん、なんでもない。それで、それを解読すれば魔物の事がわかるかもしれないんですか?」

「言語は読めないが、ところどころに描かれている絵が魔物のものでな。多分あの本からして、続きについて書かれているかもしれないという事なのだ」


成る程ねぇ…いや待てよ?

愛し子が書いた意味不明な言語って、もしかして日本語なんじゃないか?

あー、でもそれなら魔法印と同じ字だったりするから、日本語じゃない…?


「…陛下、それって私が見ても問題ないものですか?」

「ん?あぁ、いいぞ。ジェイク、持ってきてやれ」

「承知致しました」


宰相さんが一礼してから部屋から出ていく。

残った陛下に他の質問をしてみる。


「ちなみにベティ様はそのメモ?を見た事は?」

「ないな。その案件自体知らんかもしれん。魔物について深く考えたのはお前が初めてだよ」

「言われてみれば確かに、魔物の発生原理とは不可解なものだ…ユージェリス、そこを気にするとは凄いぞ」


父様が笑顔で頭を撫でてくれる。

わーい、褒められたぁ!

あ、ついでに気になってた事聞いてみようかなぁ?


「陛下、実はさっきの仮定から言って、怪しいものがあるのですが」

「何?さっきの仮定と言えば、何かを飲み込んで魔石になるとかいう、あれか?」

「そうです。それで当てはまるものを考えた時に、1つだけ気になるものがありまして」

「それは?」

「…『エリア石』って、なんなんですかね?」


僕の一言に、2人の顔から表情が消えた。

そして段々と顔色が悪くなっていく。


「…エリア石か…まさか、あれが魔石の元だと…?」

「いえ、ですがあの石は『エリア』と同じ効力をもっているとか。それって魔力を持っている特殊な石って事ですよね?そんな石が体内に入り込んで何かの作用で魔石に変わってるとか、そんな可能性もあるのかな、と。王家が採取場所を秘匿としていると父から聞きましたが、お聞き出来るのなら詳細を知りたいのです」


僕がそういうと、父様が懐から小さな石を取り出した。

三角錐の、七色に光る不思議な石だった。

もしかしてこれがエリア石なのかな?

使った事ないから見た事もなかった。


「…エリア石とはここ数十年で見つかったもので、王城の地下から採掘されるんだ」

「地下から?」

「あぁ、特殊な鉱石として扱われているが、掘り出せるのは在位中の王と王妃と、許可を得れば宮廷魔術師長も可能だ。宰相は採掘場を知っているだけで、掘り出し方は知らない。限りある希少なものだから、それがなんなのかまでの研究はされていない」

「私も実際に掘り出した事はないな。基本的に各領地にはすでに渡っているし、新たに王家の方がお生まれになった際に掘り出すくらいだから…最近では双子の王女様と王子様が生まれた時だったから、10年前ですかね?」

「数年前にどこかの領地のエリア石が破損したとかで掘り出したぞ?ジェイクが台帳を更新してるはずだ」

「ではそれが最後でしょうね」

「王家の方は1つずつ持っているの?」

「どこからでも『レター』が送れたり、攻撃が通用するようになるからな。王族は何かの装飾品に付けて持ち歩いている。採掘場の残りが少ないから、多くの人間には渡せないんだ」


成る程ねぇ、ここの地下にあったのか。

でもさぁ…


「…でも、そのエリア石がここだけって決まったわけじゃないですよね?」

「…それも、そうだな…うん、なんでそう思わなかったんだ…鉱石なんだから、どこにあったっておかしくないよな…」

「もしかしてあのスタンピードが起こったあの森も…奥のどこかに同じものがある…のか…?」


2人の顔色がより一層悪くなる。

この仮定が正しければ、地方にあるエリア石の周りは魔物だらけって事になるからなぁ。

討伐たいへーん。

…他人事じゃないな、これも王命案件かもしれないわ。

え、もしかして国中捜索しなきゃいけない感じ?

ほぼ毎回討伐に付き添う必要あり?

学院行けなくなるじゃん!!


「只今戻りました…おや?随分顔色が悪いですね」


宰相さぁーん、助けてー!!

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