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ゼリー美味しい

金曜は更新出来なかった…

すみません…

と、いうわけでやってきました、食堂です!

ちなみに僕達の数メートル後ろには結構な人数の野次馬がいます。

中庭の半分くらいかなぁ…あ、ローグナー達、まだ付いてきてる。

うわぁ、アッシュ君もいるぅ…


「どうした?ユージェ」

「いや、なんでもない…ほら、デザート食べようよ、何がオススメ?」

「そうだな、ゼリーなんかは美味いと思うぞ」

「そうですね、ゼリーは美味しいと思います」

「うん、ゼリーは美味しいよねぇ」

「ゼリーにしなよ!」

「…なんでみんなゼリー推しなの?」


ちなみに僕は西棟の食堂でデザートは食べた事ない。


「…ユージェの料理に慣れると、反動がな…」

「ケーキなんてケーキじゃないし…」

「お、おう、なんかごめん…」


しまった、美味しいもの作って餌付けしすぎたわ。


「その点、ここのゼリーは果物生搾りで作ってるから結構美味しいよ!」

「私、5つ頼んできますね」

「では俺も行こう」


ナタリーとルーファスが僕達から離れて厨房のカウンターへと向かった。

残った3人で近くの席に着き、雑談をしながら待つ。

ちなみに僕達の周りはぽっかりと空席だけど、他はいつの間にか満席になっていた。

後から来た人達は、空席に座ろうとして、僕を視認して、去っていく。

…なんかちょっと悪い事してるみたいだ。


「お待たせしました」

「ユージェ、どれがいい?今日は4種類だったから、桃が2つある」


2人が差し出してきたトレーには、ゼリーが5つ。

キラキラとカットされたゼリーが一欠片ずつ輝いていて、とても綺麗だ。


「綺麗だね、迷うなぁ」

「随分張り切ってましたからね、料理人の皆様」

「まぁ愛し子様に自分の料理を食べていただける機会なんて滅多にないからな」

「デザート担当の方が泣きながら拳を掲げていましたよ」

「主菜担当なんかはいじけてたぞ」

「あはは、目に浮かぶなぁ」

「そこまでか。なら…オレンジにしようかな」

「次はナタリーとニコラが選ぶといい」

「ならあたし、桃!」

「ではブドウをいただきます」

「レオはどうする?」

「いちごにしようかなぁ」

「なら俺は桃だな」


ルーファスがみんなの希望を聞いてからコトリ、と机の上にゼリーを置く。

…公爵子息、しかも次期宰相が給仕なんて贅沢だな。

そしてナタリーによってそのゼリーの前に並べられるスプーン。


「では、声を揃えて、せーの」

「「「「「いただきます」」」」」


僕達の声が食堂の喧騒の中に響き渡る。

挨拶を聞いて、一瞬だけ周りが静かになった気がした。

そんな事はお構いもせず、僕達はスプーンを手にゼリーを食べ始めるのだった。






…うま!!

何これ、美味いじゃん!!

…あー、でもこれ、元の果物がかなり美味いんだろうなぁ。

蜂蜜と同じパターンか、お高いやつ。

ゼリーはちゅるんちゅるんの柔らかいのじゃなくて、寒天で作ったのかな?って感じ、ちょっと硬めで僕好み。

でも人によってはとろけるくらいの柔らかさがいいって人もいるから難しい。

それだと型に入れなきゃ食べれないよねぇ。


あ、てかこれ、乾燥させたら琥珀糖作れるんじゃね?

今度作ってみようかな…


「ユージェ?どうした?」

「ん?あぁ、ちょっと考え事してた。美味しいね、これ」

「でしょぉ?僕のも食べてみる?はい、あーん♡」

「懐かしいネタだな、あーん」

「わぁ、5年ぶりくらい?懐かしいねぇ」

「なんだ?そのやり取りは」

「…レオ君が下…?」


おいそこ、貴腐人、発言気を付けなさい。


「んー、いちごもいいね」

「じゃあ桃もあげるよ!ユージェ、あーん!」

「ニコラもか。はいはい、あーん」

「じゃあ次はブドウですね。はい、あーん?」

「ナタリーも乗ってくれるのか。あーん」

「俺は桃だからいいだろ」


ルーファス以外のみんなが食べさせてくれたから、他も味わう事が出来た。

他のもやっぱり美味しいなぁ。

今度西棟でも注文してみようか。

ふと喧騒が大きくなって振り返ると、何故だか厨房のカウンターに人が押し寄せていた。

どうやら全員がゼリーを注文している模様。


「戦争かよ…」

「まぁ、愛し子様と同じものを同じ場所で食べたっていうステータスが欲しいんだろう」

「こういうのなんて言うんだっけ?」

「飴に群がる蟻?」

「うーん…あ、わかった、便乗商法!」


いやいや、違うだろ。

そんな意図は料理人達にはないはず…多分。


「何やら騒がしいな。この騒ぎは貴公が発端か?」


声変わりした兄様よりも少し低い凛とした声に、後ろを振り返る。

僕以外の4人は声をかけた人物の姿を視認すると、勢いよく立ち上がり頭を下げ始めた。

え、何これ、僕もする感じ?!

というか、誰?!

…いや、誰だかなんて考えればわかるか。

この4人がこんなに素早く頭を下げる人物なんて、この学院には1人しかいない。

それに心なしか、僕と顔が似てる気がしなくもない。


「初めまして、というべきかな、愛し子殿()。私はエドワーズ=リリエンハイド、このリリエンハイド王国第1王子だ。よろしく頼む」


そう言って左手(・・)を差し出すエドワーズ王子。

…初対面なのに、敵意アリですか?

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