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祖母と孫

ギリギリ金曜投稿!

数分後、少し急いだ様子でロイド様と師団の人2名が中庭へやってきた。

おぉ、また周りが騒ついてる。

ちなみに状況を聞きつけた教師陣の制止により、こちらには近付けないようになっていた。

…まるで教師陣がアイドルの出待ちの人達を止める警備員のようだ。

言い方はアレかもしれないけど、ロイド様は一代限りの爵位な分、近付いても不敬とかにならない事が多いらしい。

平民出身のアレックス様も然り。

だから群がられる事が多いんだそうだ。

一方父様は宮廷魔術師長で、侯爵家当主。

妻は元王女、息子は愛し子。

ここ最近は余計に崇拝される事が多くなったけど、貴族当主とかでなければ滅多に近寄られなくなったとか。

父様もスペック凄いからなぁ。

いや、スペックで言えばフローネも負けてないな。

母方の祖父母は王家、父親は宮廷魔術師長、母親は元王女、兄は次期宮廷魔術師長と愛し子。

…変な権力者に引っかからないように目を光らせておかないと。


「遅くなりました、師長。ご機嫌よう、マーガレット様、ユージェリス様。ユージェリス様がお呼びとの事で、推参致しました」

「うむ、久しいな」

「ご機嫌よう、ロイド様。お忙しいところすみません。随分早かったですね?」

「いえいえ、ユージェリス様がお呼びとあらば、いつでもどこでも駆けつけさせていただきますよ。師長が消えてからアレックスに陛下方への連絡を任せ、すぐさま直行させてもらいましたからね」


ロイド様がにっこりと笑う。

うーん、いつもながら優しい方だ。

僕に甘いけど、何か悪い事をしたらちゃんと叱ってくれるタイプの人。

まぁまだ叱られるような事はしてないけど。


「それで、如何致しました?私とアレックスのどちらかというと…まさか…?」

「…その、まさかなんです。失礼します、《メモリー》」


ロイド様のおデコに触り、記憶を見せる。

ちなみに父様よりも少し長めに、父様との会話も見せておいた。

見終わったロイド様は、顔をしかめてからメグ様に目を向けた。


「…おかしな残留魔力は確かにないですね。ユージェリス様の対処が良かったからでしょうが…それはそれでこれからの確認が難しそうですね」


しまった、完璧に消し去り過ぎたわ。

でも正体不明だし、あれは消しとかないとマズイと思って…

いや、なんか結界みたいなので取り囲めば良かったのかな?

ほら、《サンクチュアリィ》とかで…


…あれ?もしかして、だけどさ…


「…仮定だけど、仮定なんだけどさ…あの黒いのって…」

「マーガレット様!!」


僕の言葉を遮るように大声で叫んだのは、こちらに向かって走ってくる学院長だった。

髪とドレスを振り乱して走ってるけど…遅いな!

めっちゃドタドタしてる。

あれだ、ナタリーとそっくり。

運動しないお嬢様が無理に走ると、みんな同じ走り方になるんだなぁ…

僕がナタリーを見ると、やっぱり他の3人もナタリーを見ていた。


「…なんですか、何か言いたそうですけど?」

「「「「いや、別に」」」」


…冷ややかな笑みのナタリーの後ろに、鬼が見えた。

いや、きっと幻覚だな、この世界には鬼なんていないし。

きっと他の3人には熊の魔物とかそんなんが見えてるだろう。


「マーガレット様!!何があったんですの?!だ、大丈夫ですか?!」

「え、あ、うぬ…」


おぉ、あのメグ様が押されてる。

というか、この2人ってちゃんと話すの初めてなんじゃないの?

祖母と孫の第一声か、祖母側は中々切羽詰まってるけど。


「あ、あの、学院長…?」

「えっ?!あっ!!も、申し訳ございません、つい取り乱してしまって…!!」

「いえ、大丈夫ですよ。騒ぎになっているのをお聞きになって、お孫様が心配だったのでしょう?」

「…えぇ…」

「学院長…」


父様の問いに、少し気恥ずかしそうに目線を泳がせながら答える学院長。

一方のメグ様は少し複雑そうな顔をしていた。

僕はメグ様の隣に立ち、小さく声をかける。


「メグ様、学院長とお話された事は?」

「…いや、母上側の親族とは殆ど接点はない。父上側だって叔父上達くらいだ。ソフィアお祖母様とは『レター』のやり取りはあったが、お会いした記憶もないしのぅ…」

「では、ベティ様から学院長のお話は何かお聞きに?」

「1度だけ。幼い頃、父上から母上の事情は聞いておる。それでたった1度、母上に『お祖母様はどんな方?』と尋ねた事がある。母上は…少し寂しそうな顔をしながらも話して下さった。自分に気を使い、心配してくれる優しい人だと。あぁ、あと、料理は苦手なようだとも言ってたな。その時の寂しそうに笑う母上を見て、もう聞かないと心に決めたものじゃ」


…雰囲気的には、ベティ様も学院長と仲良くしたいように感じる。

多分、最初に学院長から『娘ではない』という拒絶があって、そこから距離を詰められなくなったんだな。


…距離があるなら、メグ様で埋めればいいんじゃないか?

対岸にあるならば、橋をかければいいんだ。


「…メグ様、学院長は、もっとメグ様方と仲良くしたいのですよ。ですからもしよろしければ『お祖母様』と呼んであげてみて下さい。きっと喜ばれます。なんせあの方はメグ様達しかお孫様がいらっしゃらないんですから」

「あぁ、そうだな、母上にはご兄弟がおられん…うぬ、折角じゃ、呼んでみようかのぅ」


あ、メグ様が笑ってる。

すっげぇ嬉しそうだな。

そりゃそうか、初めてお祖母様と面と向かって話す事が出来るんだもんな。


…僕も祖父母に会いたいなぁ、とりあえず父様側の。

続きは月曜になります!

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