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忘れた頃に現れるもの

ギリギリ休み中に更新出来た!

「…じゃあ、行こうか」


幻覚を振り払い、僕は周りの魔法を消す。

その瞬間、何故か1人の女生徒が背中向きに転がり込んできたので、地面と後頭部が激突する前に受け止めてあげた。

うん?もしかしてこの人…


「…メグ様?」

「…っユージェ!!」


おぉ、やっぱメグ様だ。

めちゃくちゃ目をキラキラさせてる。

とりあえず改めて立たせて、身嗜みを整えてあげる。

うん、髪が乱れてたくらいで、制服は汚れてないな。

白制服だからか、汚れると目立つんだよねぇ。


「ご無沙汰しております、メグ様。こんなところで如何されましたか?」

「うぬ、久々じゃな!妾はここでユージェを待ちつつ、害虫駆除をしておったのじゃ!」

「「「「害虫駆除…?」」」」

男子4人で首を傾げながら呟く。

ちなみにメグ様以外の女子5人は周りを見ながら苦笑していた。

その視線が気になって僕も周りを見回して…気付いた。


「おぅ…人集りが近付いてる…」


成る程、自分達のスペースしか守ってなかったから、すぐ近くまで近付いてきてたんだな、特にご令嬢方。

それをメグ様が牽制してくれていた、と。


「ユージェは、その、囲まれるのは嫌いであろう?こ、これは、その、ユージェの役に立てたかのぅ…?」


…まさか、メグ様が嫉妬したから牽制してたんじゃなくて、僕が嫌だろうと思ったから守ってくれてたのか…?

え、あのメグ様が?!

いや…そうか、例のお祖母様からのアドバイスは無意味だとわかったんだもんな。

それで自分で相手の気持ちを考えて行動出来るようになった、と…


えぇー?!メグ様超可愛い!!

急にいい子になったんだけど?!

久々に可愛い妹感がある!!

あー、そうそう、最初、出会った頃はこんな感じだったんだよなぁ…

ベティ様に似て、ちょっと気の強そうな出来る王女様だけど、たまに寂しがり屋なところがあって、構って欲しがる可愛い妹って感じで…

おかえりなさい、妹属性メグ様!!


「ユージェ?おい、ユージェ聞いとるのか?」

「なんか意識がどこかに飛んでいるようですね。それにしてもマーガレット様、いつこちらへ?」

「中々板書が終わらんでな、着いた時にはユージェが魔法を使った時であった」

「あぁ、だからでしたか。いらっしゃらないなぁと思いましたよぉ」

「カイレック先生、全て板書してるか確認しないと解放してくれませんからね」

「あたし達も見てからだったしねー」


…はっ!!ちょっとトリップしてた、いけね。

僕は久々にメグ様の頭を撫でる。

するとメグ様は少し目を見開き、驚いた表情をした。


「ありがとうございます、メグ様。とても助かりました」

「う、うぬ!!なら良かったのじゃ!!」


メグ様が嬉しそうに笑う。

ちなみにルーファス達は生暖かい目でこちらを見ていた。

なんだよ、何か言いたそうだな。

後で聞いてやるからちょっと黙っとけ。

あ、ダティスさんは僕が王女様の頭を撫でてる事に驚いて汗だくだ。

そっか、僕達が一緒にいるところを初めて見たのかな?

まぁこんな関係なんで、後でデイジーに説明受けといて下さい。


「では、マーガレット様、ユージェ様、ご機嫌よう」

「「ご機嫌よう」」


そんな事を考えていたら、デイジーが僕達に向かってカテーシーをしながら側を離れる挨拶をした。

続いてシンディとドロシーがハモりながらカテーシーをする。

さすが双子、見事なシンクロ。

それを見たダティスさんが、慌てながら一礼をする。


「ご、御前失礼致します!!」

「またね、デイジー、シンディ、ドロシー、ダティスさん」


4人が下がると、僕の横にいたメグ様がポツリと、僕に聞こえるかどうかの小さな小さな声で呟いた。


「…ユージェを愛称で、呼んでおる…しかも、ユージェも呼び捨てで…妾の事は、呼び捨ててくれないくせに…」


…うーん、だって、友達じゃなかったしなぁ…

このままもう1度信頼関係が築ければ…


「なんで…ルーファス達だけでなく、彼奴らまで…」


そこで気付いてしまった。

メグ様の目に、歪んだ嫉妬のようなものがほんの少し篭っていた事に。

それと同時に、メグ様の周りに、見覚えのある黒い靄がうっすらとかかり始めていた事に。


僕は血の気が引いた。

だって、これは、あの時の黒い瘴気だとわかったから。

メグ様の足元を見ると、靴の周りに生えていた芝生が段々と黒く変色している。

そこからの僕は早かった。

いくらなんでもここで無詠唱もどきをするわけにもいかない事はわかっていたから、メグ様に向かって勢いよく両手を翳した。


「「「ユージェ?!」」」「ユージェ君?!」


ルーファス達の驚いた声が聞こえたけど、そこはスルー。

今それどころじゃないんだよ!!


「メグ様、失礼します!!《ストップ》!!」


僕の魔法で、メグ様の周りの時間を止める。

この魔法は使い勝手がいいけど、魔力を馬鹿みたいにかなり使う。

僕みたいに魔力消費の不安がない人間が使うにはぴったりの代物だ。

そして仕上げは、前回使わなかったこの魔法で。


「…《エリア》《バニッシュ:メグ様以外》」


その一言に、メグ様の周りの瘴気と変色した草が一瞬で消える。

そう、これは無属性に分類される消滅魔法。

対象のものがどんなものであれ、1回につきMPを5000も使う、伝説級の魔法だったりする。

王城にあった禁書の中に書いてあったやつだから、普通の人は知らないんだよねぇ。

まぁつまり、愛し子じゃなきゃそうそう使えない代物です。

父様だって使えるかどうか微妙なところだと思う。

この世界にはいないけど、魔王なんかいたらこれで瞬殺出来るわ。


「…ユージェ?どうかしたのか?」


目の前にはポカーンとしたメグ様。

良かった、正気に戻ったみたいだ。

急展開!

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― 新着の感想 ―
[気になる点] これってメグ様の服はバニッシュされないんでしょうか
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