陛下と書いて叔父さんと読む
今日2つ目!
リリーに出してもらった服に着替えて、父様と一緒にやって参りました、でっかい王城!
いやぁ、お城とか見ると、一気に異世界感出るわぁ…
ほら、日本人的なお城と言えばあれですよ、江戸城とか松本城とか二条城とか…
あれはあれでいいものだけど、こっちの方が豪華だね。
ドイツのノイシュヴァンシュタイン城みたいだ。
あそこ綺麗だよねぇ、一度行ってみたかった。
「どうした?口が開いたままだぞ?」
「…綺麗なお城だなーと思って」
「あぁ、歴史のある城だからな。もう少し大きくなったら正式に王城に入れる年齢になるから、その時は散歩でもしてみるといい」
「え、散歩なんてしていいの?!」
「社交界デビューすれば、正式な登城許可が下りる。まぁ普通なら散歩なんて認められないだろうが、お前は一応王族の血を引くものだしな。それに今では愛し子様だ、簡単に許可が下りるだろう」
僕に優しすぎる世界だな。
とりあえず、調子に乗りすぎないようにしよう。
父様の後ろを付いて行く事、十数分。
なんだかほとんど人とすれ違わなかったな。
たまーに騎士の人に会ったけど、僕がいる事について何も言われなかった。
あれか、まだ極秘案件だからそういうルート選んで進んでるのかな?
先に騎士の人達に話してあるとか?
「ユージェリス、ここだ。今回はお忍びのようなものだから、王族の談話室をお借りする事になった。護衛の騎士達には陛下の命令で他言無用と言われている。今回は陛下と王妃様のお食事の席に同席する事になるが、特に他の貴族がいるわけではないから安心しなさい」
「わかった」
そう言って父様は、扉の横にあった透明な板に手をかざした。
ガチャリと音が聞こえる。
おぉ、これも魔法かな?
特定の人だけ入れるとかそういうやつか?
…前世にもあったな、指紋認証とか。
「失礼します。ルートレール=アイゼンファルド、他1名、入室致します」
「許可する」
父様が扉を開ける。
中にはそこまで大きくない机に座る、2人の姿があった。
綺麗な金髪に母様と同じ色の深紅の瞳の男性と、少し燻んだ色の金髪に緑眼の女性。
あ、女性の方は僕と同じ黒いメッシュがある。
この2人が…
「おう、来たな、ルート。まぁ座れ座れ!」
軽っ!
え、陛下らしき人、軽っ!
あ、父様ため息ついた。
「陛下、いくら人払いをしたからとはいえ、その口調は…」
「いいじゃないか、俺とお前の仲だろう?ほら、早く座れ!それで早く紹介しろ!」
渋々といったように、父様が僕の肩を押して椅子に座らせる。
左隣は王妃様、右隣が父様、正面に陛下。
おぉう、なんか緊張する…
「お前がユージェリスだな、大きくなったなぁ!俺がリリエンハイド王国国王、セテラート=リリエンハイドだ。発言を許す、気にせず話せ」
「…改めまして、アイゼンファルド侯爵子息、ユージェリス=アイゼンファルドと申します。陛下にお会いする事が出来て、とても嬉しく思います」
何言っていいかわからんわ。
とりあえず挨拶したら、陛下の眉間にめっちゃ皺がよった。
え、何、なんかマズった?!
「…ルートぉ、まだコイツ5歳だったよなぁ?なんでこんななの?」
「俺に言われても…」
あ、父様が自分の事俺って言った!!
へぇ、本当は『俺』って言うんだ、カッコいい!
僕ももう少し大きくなったら『俺』って言おうかな…
「ユージェリス、もっと気楽に話せ。お前は俺の甥で、俺はお前の叔父さんだぞ?」
「そう仰られましても、陛下は陛下ですので…」
「…この頑なな感じ、お前そっくりだな、ルート」
「息子ですからな」
「ねぇ、ちょっとよろしいかしら?」
高くて綺麗な声が陛下達の声を遮る。
ニコニコ笑っていた王妃様だった。
そんな王妃様が、こちらを見る。
「あぁ、構わんよ。どうした?」
「ねぇ、貴方、私の質問に正直に答えてくれるかしら?」
「…はい、なんなりと」
「貴方、ドラ○もんの道具なら何が欲しい?」
「と○よせバック一択ですが」
「「は?」」
陛下と父様の声がハモる。
え、だってそれさえあればなんでも手に入るじゃん!
四次○ポケットとか答える人いるけど、あれはポケットだけだからね?!
中身はドラ○もんが買ってるんだから、それだけもらっても仕方ないんだよ!
…って、え?
「そうよねぇ、私もそう思うの。だって四次○ポケットじゃ中身あるかなんてわからないものねぇ。次点でどこ○もドアよね、好きな場所にいけるもの。○ケコプターは電池切れするし…」
「…あの、王妃様…それは…!」
「…ふふふ、《エリア》《ルーム》《サイレント》」
僕と似たような光が僕と王妃様を包む。
確か今の魔法は、他の人と隔離して使うものだ。
秘密の話をするのに最適だって魔法書に書いてあった…
あ、外から陛下と父様がなんか叫んでる。
なるほど、透明な膜で囲われてるのか。
「ふぅ、これで気にせず話せるわー!あ、そっちも元の話し方でいいからね!」
「…え、貴女は一体…」
「色々説明してあげる。特に『あたし』達の事についてね。『私』の名前はベアトリス=リリエンハイド。そして『あたし』の名前は…"笹川愛梨"』
衝撃発言をした王妃様が、僕を見て無邪気に笑った。
続きは明日かなぁ…