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中庭での対面

折角なので、3日間くらいはUPします!

いよいよ令和も近いですね!

「ユージェ!!」


聞き慣れた声に東棟の方を見ると、ルーファス達が小走りでこっちに向かってきていた。

あ、ナタリーが最後尾だ。

いつまで経っても足が遅いなぁ、まぁしょうがないね。


「ルーファス、レオ、ニコラ、ナタリー、お疲れ様」

「待たせたな、これでも終了5分前に教室から出てきたんだが」

「あれ?確かにまだ光の12刻じゃないね。授業最後まで受けなかったの?」

「後は板書だけで、新しく説明する事もなかったからねぇ。それに先生もユージェが来る事わかってるから、快く行かせてくれたよぉ?」

「そっか、なら良かった」

「ユージェ、お昼は食べた?」

「いや、まだだよ。作ってきたから、どこかで食べない?」

「まぁ、ユージェ君のお弁当、凄く楽しみです。卵焼き?でしたかしら。あれは入ってます?」

「勿論、お弁当には付き物だからね」

「俺は唐揚げが好きだな」

「僕はミートボールが好き〜」

「あたし、ツナマヨおにぎりが好き!」

「はいはい、みんな入ってるってば。抜かりないよー」


僕らの会話を聞いていた学院長とシャルネ先生が、目を丸くしながらこっちを見ていた。

ん?なんかあった?


「…随分、砕けているのですね。本当に、ただのお友達というか…」

「そりゃ、ただの気の合う親友ですから。身分差なんてものは何もないですよ。他の組にも友人がいますが、彼らは別格ですね」

「まぁ…あの子にも、そんな人がいるのかしら…」


最後の方は小声だったけど、僕には聞こえた。

きっと『あの子』って、ベティ様の事だろうな。

なんだかんだ、やっぱ気になるんだね。

おや?シャルネ先生がまだ放心状態だ。


「先生?」

「…なんだか、似た光景を見た事があるような…」


あ、やべ、この素の状態だと、ユズキと変わらないじゃん。


「…きっと、この会話が普通の学院生同士の会話と似ていたからでは?」

「そ、うですね…えぇ、教え子となんら変わらないです…」

「愛し子とはいえ、普段は普通の12歳ですから」


よし、とりあえず思い出させる前にすり替えてやったぜ。


「それでは学院長、先生、ここからは彼らに案内をお願いしますので」

「えぇ、わかりました。ではまたお帰りになる際にはお見送りに参りますわね」

「あ、あの、ありがとうございました」

「いえいえ、それでは《シャルネ先生の結婚が幸せなものになりますように》」


僕の言葉に、シャルネ先生の周りがキラキラと光る。

それを見たシャルネ先生が少し驚いたようにキョロキョロと見回す。


「こ、これは…!」

「私からの祝福ですよ、お幸せに」

「えぇ?!あ、ありがとうございます!!」


僕はシャルネ先生に手を振りつつ、2人から離れていった。

うん?なんだかニコラがニマニマしてるな。


「ニコラ、何かあった?」

「んーん、ただ、ユージェはカッコつけだなぁって思って!」

「なんだ、ニコラはツナマヨおにぎりいらないようだね。レオ、食べていいよ」

「わーい、僕もツナマヨ好きだよぉ」

「やめてぇー!!ごめんなさいぃー!!」


あははは、と笑うレオと、それに縋って叫ぶニコラ。

続々と授業が終わって校舎から出てくる生徒達が、なんだなんだとこちらに注目していた。

そして2人の側にいる僕を確認すると、一層周りは騒がしくなってきた。


「え?あれってもしかして…」

「嘘、あの話本当だったの?!」

「どうしたらお近付きになれるのかしら…」

「あれが愛し子様…遠くから見てもカッコいい…」

「是非お仕えしたい…」


うーん、色んな声が聞こえるなぁ…

あ、影分身体(ユズキ)見っけ!

おぉ、クラスメイトもみんないるじゃないか。

僕がそっちを見た事で、月組女子メンバーから黄色い悲鳴が上がってる。

ヤバイな、あんまり一点を見つめないようにしなきゃ。


「ユージェ!」「ユージェ君!」


呼ばれたので振り返ると、そこには兄様とルーナ義姉様が人混みの中からこちらに向かってきてくれるところだった。


「兄様!義姉様!」


態々会いに来てくれたのか!

嬉しくて頰が緩む。

そしたら何故か周囲からさっき以上の黄色い悲鳴が聞こえた。

なんで?


「ユージェ、いつ来たの?」

「ついさっきだよ。授業終わるまで学院長とお茶してた」

「そっか、お昼は?」

「友達と食べるから大丈夫。これ、兄様と義姉様の分もあるんだけど、いる?」

「勿論だよ」

「わぁ、いいんですの?ありがとう、ユージェ君」


背中とマントの間からアイテムボックスを開き、そこから小さな重箱を出す。

2人分ならこれでも十分だろう。

ちなみに僕がどこからともなく謎の箱を取り出した事により、周囲は騒ついていた。

僕は兄様に重箱を渡してから、何食わぬ顔でまた背中から沢山の重箱を取り出す。


「さぁ、僕達も食べようか!どこで食べる?」

「折角だし、ここでもいいんじゃないか?」

「かなり目立ってるけどねぇ」

「どこか小教室でも借りますか?」

「でも外の方が気持ちいいよねー?」

「兄様達はどこで食べるの?」

「食堂で食べるよ。ユージェが食堂に行かないなら、今は空いてるだろうからね」

「後で行くつもりだよ、東棟の食堂は行った事がないからね」


ちなみに西棟はよくみんなと使ってる。

基本的にお弁当作って持って行こうと思ってたんだけど、僕が作ったものを見られるわけにはいかないんだよねぇ。

なんせ一般的な食事とは違ったりするんだから。

味も、自分で言うのもなんだがめちゃくちゃ美味いからな。

さすがスキルレベルカンスト以上。


「じゃあ、またね。何かあったら『レター』送ってね」

「ご機嫌よう、ユージェ君」


兄様とルーナ義姉様は僕達から離れて東棟へ向かう。

ちなみに様々な視線が2人に向けられていた。

まぁ殆どが羨望の眼差しだね。

多分、あの重箱の中身への。

あ、何人か後ろ付いていった。

兄様の友達なのかな?


…残念だけど、兄様はお弁当の中身を分け与える事はしないと思うよー?

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