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結婚と仕事

シャルネ先生が淹れてくれた美味しいお茶は飲んで待つ事、5分。

比較的静かだったからか、学院長が思い出したかのように声を上げた。


「そういえば、シャルネ、貴女結婚するんですって?」

「が、がががが学院長?!なんでこんな時に?!」


顔を真っ赤にしたシャルネ先生が、噛みながらも学院長に食ってかかる。

わぁ、シャルネ先生ってこんな顔も出来たんだぁ。

…って、結婚?!

何それ、聞いてない!!


「ご結婚されるんですか、おめでとうございます。もしかしてお相手も学院の指導員の方ですか?」

「え、あ、いや、その、ありがとうございます…は、はい、同じくこの学院で指導している者になります…」

「この前申請書が回ってきて驚いたわ!折角なら口頭で聞きたかったのに」

「そ、それは恥ずかしくて…」


真っ赤なシャルネ先生が段々と縮こまっていく。

いやぁ、結構キリッとしたタイプの先生だったから、こんなに表情変えるなんて新鮮だなぁ、可愛い。


「あぁ、そうだわ、お相手は第3学年花組の副指導員でしょう?そうなると、ユージェリス様のお兄様の副指導員ですわね」

「兄さ…兄のですか?」


兄様の?!マジか!!

ん?貴族科副指導員って事は、平民出身?

もしかしてシャルネ先生は平民になるって事?

そしたら副指導員変わっちゃうのかなぁ。


「先生はご結婚されたらこのままお仕事を続けるのですか?」

「え?いえ、勿論家庭に入ります」


うぇ?マジか?専業主婦って事?


「お仕事を続けられる気はないのですか?」

「結婚したら仕事は辞めるものではないですか?」


…うーん、そうか、この国…というか、この世界の風習として、結婚したら専業主婦になるものって方針があるらしい。

昔の日本みたいだな。

働くのは自営業で手伝いが必要な場合か、子供が巣立った後の場合、くらいな。

でもそれってやっぱり古いよねぇ。

女性だって働けるんだから!


「お聞きしますが、お仕事を辞めたいのですか?」

「…辞めたい、わけでは…」

「では辞めなければいいじゃないですか」

「え?」

「続けたいなら続ければいい。折角今まで勤めてきたんですから、勿体ないですよ。別に辞めなければいけないという法律があるわけでもないでしょう?」

「で、ですが既婚女性が働くなんて…」

「学院長だってそうですよ?勿論これは特殊な事情があるからですけど、しっかり働いてるじゃないですか」

「あ…」


シャルネ先生が学院長を見る。

学院長は少し困ったように微笑み、そして少しため息をついた。


「私は常々、そうやって学院を去っていく女性指導員を引き止めてきました。ですが全員が首を振らなかった…貴女さえ良ければ、ずっと続けてくれていいのよ?勿論、子供が出来ればお休みしてもいいわ」

「学院長…私…働きたいです…まだ、生徒達と一緒にいたいです…」

「うふふ、こちらこそよろしくね、嬉しいわ。でも、色々制度を整える必要があるわねぇ…」

「もしご主人が働く事を反対するようでしたらご連絡下さい。私がご説得致しましょう」

「え?!愛し子様から?!そ、そんな恐れ多い…!!」

「じゃあ兄からにしましょうか。どうやら副指導員のようですし」

「じ、次期侯爵様からというのも中々…」


まぁ、平民へ貴族が説得とか、半分脅しのようなもんだよね。

程々にしておこう。

にしても、制度を整えるってなんだ?

…あぁ、そうか、既婚女性が働くって事がないから、産休や育休の制度自体がないのか。

これはベティ様に要相談だなぁ。

元OLからしたら、産休や育休の制度がないとか会社としてありえないし。

ベティ様から陛下に伝えてもらって、働きやすくしてもらわないと。

はっ!!これが働き方改革って奴か!!

ついに僕も内政チートを?!

…いや、政治関係は全く勉強してこなかったから、チートも何も出来ないな、うん。


提案する事が限界だわ、後は丸投げです。

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