表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
123/363

影分身の術

「あ、ちょっとすみません、友人がいたので挨拶してきますね!」

「あ、はい…」


噂のソースを言わずに、ダティス殿が離脱した。

僕とルーファスとナタリーは、なんだか冷や汗が止まらない。

一体どこからそんな噂が回ってるんだろう…


「あの…」

「ん?どうかした?デイジー嬢」

「もしかして、何かありましたか…?」

「顔色があまりよろしくないようですけれど…」

「もしお力になれる事があるなら、おっしゃって下さいね!」


…本当にいい子達だ…!

この3人には話しちゃおうかなぁ、折角だし。

周りの人とは距離があるので、多分小声で話せば聞こえないだろ。


「…実は、ここだけの話なんだけどさ。本当は僕、平民科で学院に通ってるんだ」

「「「えぇ?!」」」

「学院内で知ってるのはいつもの4人と、兄と学院長だけなんだ。変装後の姿を知ってるのは兄様だけかな?他の人には秘密にしといてね?」

「は、はい、わかりましたわ。ダティにもまだ話さないでおきます」

「ではダティス様のおっしゃってた噂って…」

「どこから漏れたのでしょうね…?」

「まぁ確証もない噂かもしれないがな。それでどうするんだ、ユージェ。噂は放置するのか?」

「うーん、それも不安だよねぇ…」

「いっそこの前の愛し子様の正装で学院に来てみたらどうですか?ほら、マントと仮面を付けた状態の…」

「え、まさか分身しろって?さすがにそんな魔法…」


…いや、僕の場合は想像力でなんとでもなるから、やろうと思えばいけそうな気がしてきた。

イメージとしては某忍者漫画の影分身の術で、実体がある感じで…

家に帰ったら試してみよう。


「どうした?」

「いや、なんか行けそうな気がした。学院長に相談して、視察とか見学とかの名目で行こうかな」

「ではその時は私達が案内役として付き添いますね。そうすれば何かあっても対処出来るでしょう?」

「そうだな、友人だからという理由で案内役に立候補は出来るだろうし」

「じゃあ私達はすぐ近くで待機してましょうか」

「そうですわね、学院生の反応を見ておきましょう」

「偵察ですね!」

「ふふふ、みんな、ありがとう」


本当にいい友達が出来て良かったよ。

感謝してます。



その後お茶会が終わって、僕は家に帰ってきた。

とりあえず例の影分身の練習をしようと思います。

えーと、同じ姿の自分がもう1人いる状態をイメージして…指を鳴らす!


「…おっ?成功か?」


僕の隣に、少し驚いた顔の僕が立っている。

触ろうとしたら…ん?なんか同じ動きしてないか?

踊って、ターンして、キメ顔。

…同じ動きしてるじゃん、鏡かよ。

しかも手を伸ばして触れてみようとしたら触れないし。

完全に失敗だわ。


なら次、別の自分がいるイメージで…ぱっちん!

現れた僕と向かい合って、踊る。

…おぉ、今度は動かない!

いや、動けないのか?

ただそこに映されただけって感じだわ、触れないし。

はい、また失敗。


そんなこんなで失敗を繰り返して、やっと成功した14回目。

実体はあるし、僕の命令を聞く事も出来る。

歩けと言えば歩くし、本棚から指定した本を取ってくる事も出来た。

ただ問題は喋る事が出来ないみたいで、口が開かない。

喋ろって命令しても、全く発声されない。

パクパクしてるだけ、コイ◯ングか!


「まぁ、これでなんとかするしかないかなぁ…」


マスクして、風邪引いて声出ないとか言えばなんとかなるでしょ。

いや、待てよ、魔法で治せとかそういうパターンになっちゃう?

どうしようか…


「ユージェリス様、そろそろご夕食のお時間ですが、お召し上がりになりますか?」


ノックの後に、リリーの声が聞こえた。

そうだ、リリーに相談してみようか。


「リリー、入って」

「はい、失礼します…って、え?ユージェリス様がお2人?」


あ、かなり驚いてる。

あんまり胎教に良くなかったかな?

僕はさっさと説明をして、喋らなくてもいい言い訳のアイデアを聞く事にした。


「なるほど…でしたら、ちょうどいいものがありますよ!」

「え?何々?」

「声変わりだと言えばいいのです。成長痛や筋肉痛や声変わりなどの体調不良は、基本的に魔法を使って治す事は致しません。本人の成長の過程ですから、魔法を用いると正しく成長する事が出来なくなる事もあるのです。ですから『突然声が出なくなった、もしかしたら声変わりかもしれない』と周りには伝えればいいのです。それでその日は乗り切り、次の日とかに『ただの喉風邪だったみたいだから、魔法で治した』と言えば問題ありません。ユージェリス様はまだ声変わりがお済みでないので、1回くらいならこの言い訳も大丈夫だと思いますよ!」

「さすがリリー!それに決めた!ありがとう!」


めちゃくちゃ使える言い訳だ!

それでその日は喋らなくても平気だから、分身体には僕のフリをしろって命令すればOKだね!


よーし、頑張ってみんなを欺くぞー!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ