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まさかの噂

それから数分後。

状況がわかったので説明すると、双子令嬢のお父さんであるトリファス子爵は、別に権力が欲しくてやったわけじゃなかったらしい。

子爵は常々、歳がいってから出来た可愛い娘2人が、幸せな結婚が出来るにはどうしたらいいかを考えていたそうだ。

そこで娘の口から聞いた事のある愛し子様()公爵子息(ルーファス)の元に嫁げれば、将来2人が不自由な生活は送らなくて済むと思ったらしい。

で、勝手に名前を使って招待状を出した、と…


うん、浅はかだったね。

彼女達もそんなん望んじゃいなかったのに。


「ま、まさか愛し子様がそのようにお考えになっていたとは夢にも思わず…ただただ可愛い天使達が仲の良いというので、もしや恋心を抱いているのではないかと…それならばと思い…」

「お父様…私達、ルーファス様やユージェリス様とは良いお友達関係でいるのですわ。そういう展開を望んでるわけではありませんの」

「勿論お2人とも素敵な方々ですけど、そういうつもりでお付き合いしているわけじゃないわ」

「シンディ…ドロシー…そっか、そうなんだね…ごめんよ…愛し子様とオルテス公爵子息様も、申し訳ありませんでした…」

「…あー、つまり、その、貴公はただただ2人の為に我々と婚約させたかった、と…」

「はい…」

「…どうする、ユージェ、ちょっと見当違いだったぞ?」

「だよねぇー…」


権力目当てかと思ったら、娘の為だったとか…

うん、ただの娘に甘い、ちょっとおバカな父親だった、と。

いや、まぁ、何も考えてなかったんだろうなぁ…

高位貴族に嫁げば幸せだろうという考えしかなかったんだから。

他にも問題があるだろうに、全く気にしてなかったようだね。

ある意味お気楽というか…ははは。


「まぁ、その、2人の名を騙るのは以後やめていただければ、と…」

「…そうだな。実害があったわけではないし、キチンと2人と話をして、婚約や結婚については進めた方がよろしいと思う」

「は、はい!承知致しました!!」

「「申し訳ありませんでした、ルーファス様、ユージェリス様」」


双子令嬢が頭を下げる。

まぁこの2人に関しては全く悪くないんだけどね。


「気にしないで、別に何もなかったんだし」

「あぁ、これからも友人としてよろしく頼む」

「「はい!」」


とりあえず、一件落着かな?



そこからは普通に7人でお茶会を過ごした。

ダティス殿も時間が経つにつれ、段々と噛む事もなくなっていったよね。

いつまでも噛み噛みだったらどうしようかと思った。

そしてそんなダティス殿から、衝撃の話を聞くとは思わなかったけど。


「そういえば、皆さんはあの噂をご存知ですか?」

「「「「「噂?」」」」」

「ダティ、なんの噂ですか?」

「実はね、ちょうどユージェリス様とお話出来る機会を得られたので、お聞きしたい噂があったんだ。事実かどうか気になっててね」

「私に関係のある事ですか?」

「はい、最近学園内で噂になっているのですが、実は愛し子様であられるユージェリス様が、学園内を姿を隠して散策されてるという…」

「ゴフッ!!」「ブフゥ!!」「ンンッ?!」


紅茶を飲んでいたルーファスと果物を食べていた僕が吹き出し、ナタリーが飲み込んだ紅茶が気管に入ったようでむせた。

ちなみに驚いたデイジー嬢達は小さな悲鳴を上げてから、近くの机の上にあった布巾などを掴んで僕達に渡してくれた、優しい。

ダティス殿は驚いて固まってた。


「だ、大丈夫ですか?」

「「ど、どうされたんですか?」」

「…大丈夫だ、問題ない」

「いえ、口から紅茶を垂らして言われても…」

「気のせいだ、問題ない」

「ユージェリス様もオレンジ果汁垂らしてますけど…」

「…とにかく問題ない、ですわ」

「ナタリー様、額の汗が凄いです…」


ダメだこりゃ、全員動揺が隠しきれなかったわ。


「え、ええと、もしかしてですが、噂は本当…なんでしょうか…?あ、あの、もし不都合があるようでしたら黙っておきますので!というか、なんなら噂を消すように否定して周りましょうか?!」


ダティス殿、アワアワ。

うーん、いや、まぁ、その話からすると、嘘ではないけど本当でもないというか…


「…いえ、特に対応はしなくて大丈夫ですよ。その噂についてですが…まぁ、似たような事はしました。やはり学院が気になるので、中に入った事はありますよ」


まぁ本当は通ってますけどね。


「そうなんですね。いやぁ、他にも噂があったので、どっちが合ってるのかなぁと思ったんですよ」

「「「…他?」」」

「実は愛し子様が学院に通ってる、とかいう」

「「「…」」」


待って、ダティス殿、一体どこからその噂を仕入れてるんですか?!

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