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土下座の謝罪

「ならまぁ、少しお話合いが必要な感じかな?僕、これでも陛下の甥だからか、恋愛結婚推奨派なんだよね。別にお見合いが悪いわけじゃないけど、乗り気のない子供に無理矢理させるのは違うと思うんだ」

「まぁ確かにあまりいい気分ではないな、騙されて参加してしまった身としては。それでユージェ、どうするんだ?」


僕が黒い笑顔を浮かべていると、ルーファスも似たような顔で口角を上げていた。

ルーファスがやると目付きの悪さも相まって、なんか余計に怖いよね。


「んー、いや、別に凄い事はしないよ?2人のお父さんなわけだし、なんかあって処罰とかされたら困るもん」

「「処罰?!」」

「いや、この前のベティ様見てると、やりかねないし…ただ僕から苦言を呈するくらいにしとこうかなって」

「ユージェ君からの苦言って、下手すると死刑宣告な気がするのですが…」

「俺が何か言うよりも問題になりやすいからな、ユージェは」

「ユージェリス様はお友達思いなんですね…デイジーは、そのお友達なんだね…なんか、ちょっと嬉しいよ」

「まぁ、ダティったら」


ちょっと2人の甘い空気が流れたところで、僕も我に返った。

そうだよなぁ、なんて言えばいいんだろ。

というか、会話は成立させたらダメだな。

これで関わり持ったって言いふらされる可能性だってあるわけだし。

伝言じゃ意味ないよなぁ…


「「あ」」

「どうしたの?」

「…お父様が、こちらに向かって歩いてきてるんです…」

「ちょうどユージェリス様の後ろです」

「…じゃあこのまま聞こえるように話すか。デイジー嬢、お父さんが僕らの話が聞こえなそうなくらい近付いたら僕に向かって『まぁ、そうなんですか?』って驚いたように言ってくれる?」

「あ、はい、わかりました」

「その後はみんな、僕に合わせてね」

「「「はい」」」「あぁ」「ふぇいっ!」


相変わらずダティス殿は噛み噛みだな。

大丈夫か?

あんまり話は振らないようにしよう。


そこから数秒後、驚いた顔でデイジー嬢が口に手を当てた。


「『まぁ、そうなんですか?』」

「うん、未だに釣書を送ってくる奴がいるんだ。あれだけベティ様が送るなって言ってたんだけどねぇ。王命に逆らう気かな?後は婚約者選びのパーティーに呼んでくる人とか、そういうのもやめてもらいたいね。全く、いい迷惑だよ。僕は自力で相手を探したいってのに」

「ユージェは恋愛結婚推奨派だもんな」

「どちらかというと、運命の出会い的なものを期待してるところありますよね。一目惚れとかそういうの」

「やだなぁ、恥ずかしい。まぁその通りなんだけど」

「では、セッティングされた場などはお嫌なんですね?」

「例えば王家主催とかの社交パーティーで出会う、とかならいいんだよ。でもさ、婚約者を探してる人間が主催の婚約者選びのパーティーなんて、勝手に候補に入れられてるだけじゃん。こっちの気持ち無視で話進められてても、不快なだけだよね。まぁ僕みたいに選べる立場にいるからそういう事も言えるんだけど」

「ゆ、ユージェリス様の肩書きや恩恵目当ての人間も多いでしょうね…」

「そうなんですよ。その点、友人達は私を理解してくれているので助かってます。きっとそういうパーティーを開く事になれば、絶対に私を呼ばないでしょうからね。まぁ『実は私、貴方の事が…』みたいな展開もないでしょうし」

「え?どうしてですか?ユージェリス様を実はお慕いしている可能性はあるのでは?」

「やぁね、ダティったら。それなら態々パーティーなんか開かないで直接伝えた方がユージェリス様へ気持ちが伝わりますもの」

「確かにその方が本気なのがわかりやすいわよね」

「そうね、態々パーティーに呼んでから言うとか、ある意味他の方々にはいい迷惑ですもの」

「じゃあこの茶会は人数が多いが、気兼ねしなくていいな。婚約者選び(そういう会)じゃないんだから」

「そういう事になりますわね」

「「「「「「あはははははは!」」」」」」

「ははは…」


ちょっとだけダティス殿が置いてけぼりだけど、みんなは意外と演技が上手いな。

というか、本心か?

そして僕は、そろりと後ろを窺った。

どんな表情してるかなーと思って。

娘と愛し子を結婚させたがってるなら、どれだけ権力を欲してるダメ親なんだか…


「…うん?」


驚きのあまり、声が出ちゃったよ。

だってそこにいたのは、50代くらいのそれなりに歳のいったおじ様が、顔を真っ青にして佇んでいたんだから。

というか、心なしか涙目じゃない?

いや、微妙に泣いてる…

なんか、思ってた反応と違うような…?


「も、も、も…」

「「「「「「「も?」」」」」」」

「申し訳ありませんでしたぁー!!!!!」


おじ様、スライディング土下座。

うわぁ、初めて見たぁ…


「「お、お父様?!」」

「大変、大変申し訳ありませんでしたぁ!!決して愛し子様や王家の方々を軽んじていたわけではなく、ただ娘の幸せを祈ってやった事でありまして!!せめて、せめて私の命のみでお許しいただきたく!!!!」


…話が読めない。

いや、しかもなんか僕が命取るみたいな感じになってね?

そんな事しないし、物騒な。

僕は平和主義者デスヨ?

とりあえずどうしていいかわからないので、ルーファスを見た。

あ、ルーファス真顔だ、混乱してるみたい。

ナタリーとデイジー嬢とダティス殿は…口をポカーンとしてる。

そんでシンディ嬢とドロシー嬢はお父さんに駆け寄ってった。


「お父様!何をされてるんですか!」

「ちゃんと説明して下さい!」

「う、うぅ…ごめんよぅ、私の可愛い天使達…良かれと思ってした事が、まさか愛し子様を怒らせる事になるとは思ってなかったんだよぅ…やはり命で罪を償うしか…」

「「お父様!!」」


えーと、50代のメソメソ泣きってちょっと痛いな。

しかも可愛い天使達って…

いや、まぁ双子令嬢は確かに可愛いけども…


もうちょっと詳しく説明プリーズ。

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