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乙女の本音《side ladies》

◆◇◆side マーガレット◆◇◆


話し合いが終わり、妾は自室へと戻った。

しかし、まさかであったな…

まさか、ソフィアお祖母様がそのような方だとは…

手紙からはそんな我儘な雰囲気は感じとれなかった。

妾を心配してくれる文面に、段々と居心地が良くなっていって…


…今考えると、あれが『チャーム』の効果だったのだろうか。

何時までもぬるま湯に浸かっている感覚というか、それが正しいと感じるような。

というか『チャーム』は封印したんじゃなかったのか?

もう1度検証する必要があるじゃろ。

だって、妾にかかってたんじゃから。

にしても…そうであるよなぁ…妾、我儘しか言っておらんかったなぁ…


『ユージェ!お忍びに行くぞ!』

『妾もユージェと遊びたいのじゃ!』

『あれが食べたいぞ!買って参れ!』

『手を繋いでくれなきゃ嫌じゃ!』

『なんじゃ、あの者、妾を無視してユージェにベタベタしおって…!』

『ユージェに色目を使いおって!処罰してくれるわ!』


…うわぁ…物語で読んだ事のある我儘王女じゃぁ…!!

あれじゃろ?最期には処刑されたりする…

妾は凹んだ、そりゃもう凹みまくった。

今はベッドに突っ伏しとる。

なんでそんな簡単な事に気付かなんだ…


お忍び?妾は王女じゃ、簡単に行けるものではなかろう!

買って参れ?愛し子様であるユージェに何を言っているのじゃ!

無視?色目?処罰?そんなもん出来るわけなかろうが!!!


…よくよく思い出すと、ユージェは毎回窘めながら笑ってくれていたが、困ったように笑ってたではないか。

しかも目は笑ってなかった気がする。

絶対心の中で『うわぁ、コイツめんどくせぇ』って思っとったじゃろ?!

…ガルフィお祖父様も、妾と同じ状態じゃったのか?

お祖父様にもお話を聞いてみたいものじゃ。

今度、母上達に確認してから『レター』を送ってみようかの。


「お?」


目の前がキラキラと光り、空中に封筒が現れる。

これは…お祖母様の『レター』じゃな。

まだお祖父様や先代師長から止められていないのじゃろう。

妾は封筒を手に取り、封を切る。


もう真実を知ったのじゃ、絶対に影響は受けないんじゃからな…!!

妾は変わるのじゃ!!

そして正々堂々、ユージェに告白してみせるんじゃあ!!!



◇◆◇side アイカット◇◆◇


ユージェリス=アイゼンファルド様。

師長様の2番目のご子息様で、我が国の大事な精霊の愛し子様。

それは幼い頃、お母様から毎日のように聞かされたお話。


『この国は、精霊様に愛されているのです。だから愛し子様がおられる。愛し子様を守る事は、この国を守る事と同意。ですが、愛し子様とて守られるだけの存在ではありません。国の有事には我ら騎士団や魔法師団と共に戦って下さる、我が国の平和の象徴。勿論陛下が国の頂点として諸外国とやり取りをなさりますが、愛し子様はそれとはまた別の存在であるのです。愛し子様は尊いお方、きちんと自分の考えを持って国を守って下さる。貴女が愛し子様とお会いになる事もあるでしょうから、きちんとした態度で接するのですよ?間違っても、見下すような態度を取ってはいけませんよ?』


…お母様、確かにユージェリス様はとても素晴らしいお方でした。

優しくて、強くて、カッコよくて、可愛くて…

私が思い描いていた王子様のようでした。

いや、さすがに年下過ぎてそういう対象ではないですけどね?!

…そういう対象では、ないんですが…

でも、とても惹かれてしまった事は確かです。

お姫様抱っこなんてされた時には、もう鼻血が出るかと思いました。

なんであんなにさらっと持てるんですか?

私、軽くなんてないんですけど…

もう、本当に素敵な方でした。


なのに、なのに、あの男は…!!!!

思い出すだけで、腑が煮えくり返りそうです。

最初に報告に来た部下の目が泳いでいたのは、この事を伝えたくなかったからでしょう。

ええ、気持ちはわかるので処罰なんかしません。

ですがご本人達から聞く前に、心の準備をしておきたかったです。

…今度、全員素振りを追加してやります。


「右翼!」

「…左翼ですか、何か?」

「先程騎士団長が医務室にいると聞いたが、詳細を知っているか?」

「…えぇ、それはもう、十分に」

「お、おぉ、そうか?な、何かあったのか?凄い殺気を放っているぞ…?」


現れた筋肉ダルマ(左翼)の言葉に、つい殺気が漏れていたようでした。

いけませんね、私もまだまだです。

ですが、今回の事で決意を新たに固めましたよ。


「…左翼、私は、騎士団長になります」

「…どういう事だ?今まではあんなに自信がないと後ろ向きだったのに…」

「あの男に騎士団も、国も任せられません。やはり他国から来た男にこの国を守れというのが無理だったのです。あの男の血が流れている事は誠に遺憾ですが、私はこの国が祖国です。あんな男に潰されるくらいなら、私が全てを守ってみせる」

「…お前が決めたのなら、俺はそれに従うのみだ。だがどうやってアイツを蹴落とすんだ?」

「それは大丈夫、もうアイツの失脚はほぼ決定しました」

「は?!」

「近々、王命が下る事でしょう」

「何があったんだか…後で説明してくれるな?」

「えぇ、団員達にも話さなければいけませんから」

「そうか…ん?なら、やっと俺と結婚してくれる気になったのか?!」

「あ、それはまた別問題です、お断りです」

「なんで?!」

「好みではないのですよ、前から言ってる通りね」


そう、こんな筋肉ダルマはお断りです。

私の好みは、私を守ってくれる、すらっと線の細い白馬の王子様なんですよ。


…ユージェリス様みたいな、ね。



◆◇◆side ルルーシュ◆◇◆


あぁもうっ、なんでこう上手くいかないのかしら?

私の好きな人は、お兄様のお友達。

私の好きな人は、お友達のお兄様。

私の好きな人は…精霊の愛し子様。


初めてお見かけしたのは、私の社交界デビューの日。

カーテンの後ろからとても大きな魔力を感じました。

あの方はバレてないと思っていらっしゃるようですが、私は他の方とは違いますわ。

生まれながらの魔力察知スキル・レベル5を持っている私には、強い魔力に惹かれるのです。

どうやらバレないと思って防御系の魔法を使わずにそこに隠れているだけのようですね。

私はもう1つの特殊スキル、透視スキルを発動させました。

だって誰か気になるじゃないですか。

そして驚きました…なんて素敵な男性なのでしょう!

スラリとした体躯、整った顔立ち、サラサラの銀髪…

あら?あの髪、一部色が違う…?


「…あれが、愛し子様…」


それはもう、一目惚れでございました。

確か2人目の愛し子様とは、お兄様が親しくさせていただいていたはず。

そして、お父様とも懇意にされてると噂を聞いていました。


…もしかして、私の婚約者候補なのでは…?

そうです、きっとそうなのです!

あの方は侯爵家の次男。

勿論、私の家の方が爵位は上ですが、あの方は愛し子様ですもの。

寧ろちょうどいいくらいなのでは?

きっとお父様とお兄様は私のために愛し子様と懇意にしてるのかもしれないわ!

もう、お兄様ったら、いつもあんな態度のくせに、私想いなんですから…

でもそうね、まだ言いふらしてはいけませんわ。

話した事もないのに、婚約者だなんてさすがに言えませんもの!

それに私、運命の恋というものに憧れてますの。

偶然お話した素敵な女性()が、実は婚約者だった…なんて、素敵じゃありません?!


そんな事を考えていましたら、陛下のお話は終わって解散になりましたわ。

あぁ、上手い事お話出来ないかしら…

…あら?あの銀髪の娘…ちょっと愛し子様と雰囲気似てません?

そうだわ、確か同い年の妹がいるって聞きましたわ!

なんという運命、これは仲良くならなくては!

私はその娘に近付き、わざと扇子を落としました。


「あら、失礼」

「あ…大丈夫ですか?どうぞ」

「あら、拾う手間が省けたわ。貴女、お名前は?」

「ええと、アイゼンファルド侯爵令嬢、フローネ=アイゼンファルドと申します」

「私はオルテス公爵令嬢、ルルーシュ=オルテスですわ」

「あぁ、宰相様の…いつも父がお世話になっております」

「よろしくってよ」


…近くで見ると、随分と可愛らしいわね…

さすが愛し子様の妹だわ。

私はその後、根掘り葉掘り家族について聞き出しましたわ。

なんだか少しフローネの顔が引き攣ってるようでしたけど、きっと気のせいですわね?


さて、これで下準備は万全。

後は愛し子様本人とお会いして話すだけですわ!

フローネに行って、お茶会を開かせればいいのかしら?

それともお兄様と会ってるところに乗り込む?


あー、早く運命の出会いがしたいですわ!

ちなみにフローネはルルーシュを友達だとは思っていません←


そしてルルーシュ、それは偶然とは言わない。

ただのゴリ押しだ…!!

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