5歳児のお料理
なんと本日3つ目。
どうしたんだ私←
やってきました、厨房です!
中々広い!
「ユージェリス様…本当にお料理なさるんですか?今まで包丁なんて握った事ないじゃないですかぁ…」
不安そうに、やめさせそうとするリリー。
まぁ確かに5歳児の料理って言ったら、不安しかないわな。
でも一応、前世では毎日料理してたし、友達からの評判だってよかった。
レシピはうろ覚えだけど、なんとかなるでしょ!
というか、実験してみたい事があるんだよねぇ…
料理スキル∞って、どこまで補正してくれんの?って。
多分普通に作れば、そこそこ美味しいものが出来るはず。
気合入れて作れば、それはそれは凄まじく美味しいものが出来そう。
じゃあ、適当に色んなもの入れて作ったら?
…なぁーにがでっきるっかなー♪
「…坊ちゃん、悪い顔して笑わないで下さいよ…本当に怖ぇ…」
「失礼な、天使のスマイルでしょう?」
「自分で言ってちゃダメっすよ。これじゃ見た目天使の中身悪魔っすから」
「失礼ですよ、セイルさん。こんなに可愛らしいユージェリス様に向かって悪魔などと」
さすがリリー、僕の味方だね!
さてさて、セイルは放っておいて、早速やろうか。
とりあえず余ってる食材をもらって試す事になった。
玉ねぎ、じゃがいも、にんじん、しめじ、トマト、にんにく、卵、牛乳、チーズ、ベーコン、パン…
あとは小麦粉とかパン粉とか、そういう調味料系。
うん、なんか出来そうだ!
とりあえず最初は何にするかな…
「卵とぉ、牛乳とぉ、砂糖とぉ、まーぜーてー♪」
おぉ、5歳にしては手際がいい!
前世の時よりもスムーズに動かせる!
これも補正機能か、すごいな。
「パンを切ってぇ、どっぽーん!!」
フランスパンみたいなパンをギコギコ切って、卵液に投入!
そう、簡単なフレンチトーストにチャレンジ!
染みるのに時間かかるから、その間に別の料理と実験をしよう。
「坊ちゃんが普通に料理してる…見た事ない料理だけど…」
「ユージェリス様、素敵ですぅ!」
セイルは呆気に取られてて、リリーは黄色い声援&褒めてくれる。
さて、次だ。
「じゃがいも剥いてぇ、切ってぇ、煮るっ♪」
ピーラーがないから、慎重に包丁で皮剥き。
ちゃんと芽も取らないとね。
あれ?コンロってどう使うの?
「すげぇ、ちゃんと包丁のあご使って芽を取ってやがる…坊ちゃん、一体どこでそれを…」
「ユージェリス様ぁ!!カッコいいですぅ!!」
引き続きな2人。
リリー、一体そのポンポンどこから持ってきたの?
ただのチアリーダーになってるよ。
「セイル、コンロってどうやって使うの?」
「魔法を使いやす。『イグニッション』で火力は自分で調整して下さい」
「はーい、ありがとう!《ホットウォーター》かーらーの《イグニッション》!」
あ、ついた!
最初からお湯使えば楽だよねぇ。
とりあえずじゃがいも茹でてるから、今度こそ実験だ。
「ベーコンとぉ、玉ねぎとぉ、にんじんとぉ、しめじとぉ、トマトをぉ、適当にカット♪」
賽の目切りってやつだね。
しめじは石づきを取って割くだけ。
「にんにくもぉ、み・じ・ん・ぎ・りぃー♪」
にんにくって、臭いけどいい匂いだよねぇ。
食欲を唆るっていうか。
この実験のものは、ぶっちゃけ前世でも作った事ないもの。
食べた事はあるけど…確かこんな感じだったよねぇ?
「オリーブオイルでニンニク炒めてぇ、ベーコン炒めてぇ、程よく焦げてきたらぁ、お野菜投入っ♪」
「なんで坊ちゃん、軽く歌いながら作ってんだろうなぁ」
「可愛いですよユージェリス様ぁ!!」
もはやリリーはユージェリス信者か。
やっぱり天然だよね。
「炒めたら軽く白ワイン振ってぇ、蓋して少し弱火で煮るっ♪」
うん、匂いはいい感じだ!
合ってる気がする、ラタトゥイユ!
あ、でも前世で食べた時は香草とか入ってた気がする。
…どれかわかんないから、いっか。
「あ、じゃがいも出来たー!お湯捨てて、ボウルに入れてぇ…潰す!!!」
「なんで突然歌わなくなるんだよ…」
「凛々しいですユージェリス様ぁ!!」
じゃがいも潰すの、たーのしーい♪
「牛乳ちょっとと片栗粉入れてぇ、こねこねこねこね♪」
あっちぃ、けどすでに美味しそうな雰囲気だぁ!
「チーズ入れて、まーるーめーてぇー、焼くっ♪」
そう、芋餅!
本当は醤油と砂糖で甘辛くしたいけど、醤油はさすがにないだろうからなぁ…
とりあえずバターで焼くだけだな。
あー、いい匂いしてきたぁ…
「…いい匂いだ。何作ってるかわからんが」
「ユージェリス様さすがですぅ…」
リリー、よだれ垂れてるよ。
美少女が台無しだからちゃんと拭いて?
とりあえず、魔法の言葉も使っておこう。
「お・い・し・く・なーあれっ♪」
ぶりっ子っぽく言っても、5歳児なら許されるよね?
そしてなんとなく、フライパンの中がキラキラしたように見えた。
そして芋餅完成。
お皿によそったら、そのままフライパンにバター追加して、フレンチトーストを焼き始める。
弱火でじっくり、フワッフワにしたい。
「あ、こっちもいい感じだー」
ラタトゥイユの鍋がいい感じに煮立った。
とりあえず塩胡椒してぇ、こっちも魔法の言葉で仕上げ。
「お・い・し・く・なーあれっ♪」
あ、やっぱりちょっとキラキラしてる。
これは罰にならなそうだな、ただのご褒美かもしれん。
これも器によそう。
「お、こっちもいいね、ひっくり返してぇ…」
あ、綺麗な焼き目だ。
裏面は軽く焼く感じでいいね。
「お・い・し・く・なーあれっ♪」
キラキラして、完成!
お皿によそって、朝食べた蜂蜜をかける。
うわぁ、なんかすっげぇどれも美味しそう!!
…料理スキル∞の補正すごいかも。
まぁ、大々的に飯テロする事はないけど。
「出来たよー♪さぁ、セイル、食べてもらおうか…!!」
「普通に美味そうっす…でもどれも見た事ない料理だ…」
「まずはこれね」
セイルの前にラタトゥイユを差し出す。
ぶっちゃけラタトゥイユってちょっと見た目微妙だよね。
こう…ちょっとぐちゃぐちゃな感じ?
初見だと、なんだこれってなるやつ。
「なんだこれ…見た目が…匂いはいいけど…」
ほらね。
そして恐る恐るスプーンですくい、口に運ぶ。
あ、固まった。
…美味しくなかったかなぁ?
「…うめぇ…なんだこれ、めちゃくちゃうめぇじゃねぇか…!ただ野菜煮てただけなのに、すげぇ旨味がある…」
「…ユージェリス様、私もいただいてもよろしいでしょうか…」
リリー、だからよだれ出てるってば。
天然ってか、食いしん坊キャラだな。
「いいよ、食べて。ってか、僕も食べる」
2人分のスプーンを用意して、一緒に食べる。
…うっま。
何これ、お店のやつより美味いんだけど。
え、すげぇ、補正やべぇ。
あ、リリー、めっちゃ幸せそうな顔してる。
悶えてる、面白い。
「はい、次はこれ」
「確かじゃがいもだったやつっすよね…」
芋餅、実食。
うん、これも美味い!
チーズの塩気がいい感じに効いてて、もちもちうまー♪
「…すごい、もちもちしてる…美味い…」
セイルは呆然としつつ、芋餅を頬張る。
リリーは嬉しそうに黙々と食べていた。
「最後はこれね。デザートだよ」
フレンチトースト、実食。
中はトロトロ、超美味い。
やっぱりこの蜂蜜美味いよなー♪
「甘くてふわふわで美味しいですぅー!」
「卵に蜂蜜なんてと思ったけど…これは…」
リリー、甘いの好きなんだな。
機会があれば、また作ってあげよう。
ふぅ、全部食べて、朝ご飯の足りなかった分が満たされた。
リリーも満足そうだな、よかった。
セイルに関しては全然罰にならなかったけど…って、あれ?!
セイルが床に突っ伏してる?!
「せ、セイル?!どうしたの?!」
「…坊ちゃんの料理が美味すぎて…心のダメージが…料理長としてのプライドが…」
あ、やべ、がっつり罰になってたっぽい。
今日はこれで終わり、また明日ー(・∀・)