敵対への対応
昨日は誕生日だったので、更新出来ませんでした、すみません←
「よくやったな、ユージェリス。さすがだ」
父様が僕に近付き、頭を撫でてくれる。
その光景を見て、小走りでロイド様が近付いてきた。
「ユージェリス様、お見事でした!魔法だけでなく、剣の腕も素晴らしいのですね!」
「ロイド様、ありがとうございます」
「いやぁ、まさか坊ちゃんが天災級瞬殺するなんて…」
「アレックス、ユージェリス様になんて口の聞き方ですか」
「いいんですよ、ランドール様。どうせアレックス様ですし」
「…それ、どういう意味っすか?どうせって…」
「ふふふふふふ」
「坊ちゃん?!」
比較的仲よさそうに話す僕らを見て、騎士団の面々が驚いた顔をしていた。
アレックス様、ランドール様、ロイド様は出会って以降交流のあるメンバーなので、こうして普通に接して下さる。
他の魔法師団の人達は会釈してくれたりはするけど、ほとんど話した事はない。
あと、第4〜7の師団長さん達とは関わってないから話した事ないんだよねぇ。
第7師団長さんは義姉様の叔父様だけど、今回は王都にいるから会えなかったし。
他の3人は少し離れたところでこちらを伺ってるようだった。
女性が2人と男性が1人、今度父様にどんな人なのか聞いてみよう。
「ほら、お前達、話してる暇はないぞ。今にも飛び出してきそうな奴らがいるんだからな」
父様の指差す方向を4人で見ると、そこには結界を突破しようと突進している魔物達が犇いていた。
わーお、こりゃあかんわ。
他の魔法師団の人達もそれに気付き、慌てたように結界の準備を始めた。
騎士団の人達も気を取り直して隊列を組み直す。
どうやら2人1組で1体ずつ対応していくようだ。
さてさてさーて、一狩りいこうぜ!
…それから半刻後。
「…まさかこんな早く片付くとは…」
父様が呆れたように声を漏らす。
そうなのです、まさかの半刻程度で全てが片付きました。
軽傷者数十名、重傷者1名。
軽傷者はすでに父様達が治療済み。
ちなみに軽傷者の殆どは、僕が討伐をフォローしたからその程度で済んでるんだよね。
騎士団の人が魔物にトドメを刺されそうになってるところを、討伐の最中で取得した危機察知スキルで反応出来た僕が横から掻っ捌いてった。
んで、動ける程度の回復してあげた、と。
全快でも良かったんだけど、咄嗟だったし、知ってる人ってわけでもなかったから…
え?重傷者はどうしたって?そりゃ…
「おいっ…!!ルート、レール…!!は、早く…回復を…!!」
…まぁ、あのおっさんだよね。
天災級と災害級は僕がやるって言ってたのに、過信で兎の災害級に挑んでいった。
ただの兎の魔物と侮るなかれ、相手の大きさは2mを越していた。
兎が普通の熊並みの大きさってなんなの、災害級。
そしておっさんに圧勝してフルボッコにしてた。
ちょっといい気味、と思ってしまったけど、さすがに死なれたら父様が困るから割って入って、剣で縦に真っ二つ。
そして今に至る、と。
「…生憎、先程の討伐で大体の魔力は使ってしまいましてね。完治させるのは無理ですよ」
「なっ…!!他の奴は…!!」
「見ての通りですが?」
おっさんが周りを見回す。
…まぁ、みんな満身創痍だよね。
魔法師団の下っ端さん達は手持ちのポーション飲んだ後、軽傷者の人達を治療して回っていた。
師団長クラスは水を飲みながら休憩してる。
どうやら手持ちのポーションは討伐中に飲み切ったらしい。
余力は多少ありそうだけど、全員が聖属性を持ってるわけでもない。
となると、全快出来る魔力を残してそうなのは…
「…」
「…」
まぁ、可能性としてあるのは僕だよね。
なんせ討伐中、僕は剣のみで倒してたわけだから。
おっさんが僕を見つめる。
一方の僕はおっさんから目を逸らしたままです。
目線で訴えられて、こちらから手を差し伸べるような方向性にはしない。
コイツに優しくしたら付け上がるか、僕との関係性を良いものと吹聴されそうだ。
「…」
「…」
続く無言。
次第に広がる無言の連鎖。
そして誰も話さなくなった。
…え、これ僕のせい?
僕のせいじゃないよね?!
「…さて、帰りましょうか、《エリア》」
(((((えーっ?!?!?!)))))
あ、声には出てないけど、全員が驚愕の顔で固まった。
そしてその足元を僕の魔法が広がっていく。
ちなみにおっさんは顔面蒼白でこちらを見てる。
いやぁ、ちゃんとお願いしてくれないと助けてあげませんともー。
「…ユージェリス、その、アレは…」
「さぁ、父様、帰ろう!僕、友達待たせてるんだ!早く戻らないと、心配させちゃう!」
「ゆ、ユージェリス様、まさかお友達って…」
「女の子もいるからね、遅くならないようにしないと!」
「…そういえば、今日は出かけると言っていたな、ニコラ…」
あ、ロイド様が崩れ落ちた。
ついでに言うと、おっさんも気を失って倒れたよね。
しゃーない、とりあえず現状維持の魔法はかけておいてあげよう。
後で父様か誰かに治してもらえばいいさ。
僕はもうこの人に対して好意を示すような事はしたくないのです、ごめんなさい。