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静謐なる部屋  作者: 上川鶴馬
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(13)

質問の言葉が出たことに不自然さを感じていた。


あの部屋では俺は質問をする側ではなくされる側だ。

それは決して強いられたものではなく自ら選んだものだった。



目線を下にやる。


薄いピンクの絨毯には黒いシミがあった。



それは俺が彼女を抱いたときについたものだった。

元は赤かったそれを発見したとき俺はなんてこの部屋と対称的なんだろうかと思った。



ゴルトベルク変奏曲が聞こえてくる。

下手なアンサンブルも聞こえてくる。



この部屋の静けさは失われていた。








ブラックホールは放射する。


(プラス)の粒子が外へ飛び出しているのは外からは放射しているように見える。

だが(マイナス)の粒子はブラックホールに捉えられる。

()の粒子を吸収したブラックホールはその分の質量を失って小さくなっていく。

小さくなるにつれて温度があがり放射が激しくなる。

そして最後には爆発的な放射がおこりブラックホールは消滅する。










隣の部屋からはバラード第4番が聞こえてくる。



憧れのショパンの故郷で下手なピアノしか弾けなかったにもかかわらず彼女は弾くことをやめなかった。





静謐にして美しい彼女の特異点。






俺はもう二度と見ることができないだろう。




ドアを開ける。


廊下は明るかった。




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