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「貴様!サフィアに触るな!」
水の球体から出た途端、ギルバートはロードラントとサフィアに向かって走り出した。
あれほど情けない顔を晒していたロードラントも顔を引き締めギルバートを睨む。
「人間ごときが、軽々しくサフィアの名を口にするな」
そう言ってロードラントが手を前にかざすと、ギルバートの行く手に火柱が上がった。
「っ!ギルバート!!」
サフィアがギルバートのもとへ行こうと身体を動かすが、ロードラントにしっかりと掴まれていて動けない!
「ロードラント、離して!」
「しばし待て。あやつらを始末するまで」
ーーーだからそれじゃ遅いんだって!
埒が明かないと、サフィアは自身の魔力を解放するため目を閉じ集中する。
その間、ギルバートは今にも火の中に飛び込もうと火柱を前に腰をぐっと落とし前を見据える。
「ちょーっと待った!」
そんなギルバートの肩を後ろから押さえるジョエル。
「邪魔をするな!」
「火の上位精霊相手にそんな闇雲に突っ込んで行って勝てるわけないでしょ」
冷静になりなよ。と諭されるとギルバートの頭も少し冷える。
「だが、このままでは……」
「っていうかアンタが助けなくてもサフィアは自分で抜け出せるから」
クインツがなんてこと無いと、余裕たっぷりに言うのでギルバートも少し落ち着くことが出来た。
そして改めて前を見ると、火柱が消えロードラントの手の中で光るサフィアがいた。
「サフィア!?」
「~~~いい加減にしなさいよ!このバカ犬があ!」
パァっと光が霧散し、現れたのは腰まで届くひとつのクセも無い真っ直ぐな濃紺の髪。ロードラントを睨む瞳は水色と金色のオッドアイ。可愛いというよりは綺麗な顔立ち。前世ではどれだけ努力しても手に入らなかった腰の細さに胸のボリューム。匂い立つような色気に女神もかくやという美しさだ。
この姿を初めて見たサフィアは思ったものだ。ーービバ!精霊!と。
そんな類稀な美しさを持ったサフィアの手には水で形作った大きなハリセン。
それを思いっきり振りかぶるとロードラントの頭めがけてフルスイングした。
バチーーーーンッ!!!
叩いた弾みで水を撒き散らしながら、辺りにいい音を響かせサフィアの会心の一撃は決まった。
作者誕生日祭りとして今日は夜にもう一回更新します!
時間は深夜0時。
ギルバート視点です(`・ω・´)キリッ
皆様、変態を出迎える準備をしてお待ち下さい。




