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今回は短めです。

 サフィアの元へ駆けつけたギルバートは、すぐにサフィアを押し倒している精霊を引き剥がし後ろに放る。

 そしてサフィアを優しく抱き上げると怪我はないか入念に確認し、ゆっくりと振り返った。


 「……貴様、サフィアに何をしていた」


 今からお前を斬る。という副音声が聞こえてきそうな声に、ギルバートの腕の中にいたサフィアはビクッと身体を揺らした。


 「ちょっとギルバート、うちのクインツに何すんの」


 不穏な空気をものともせず、この状態のギルバートに普通に話し掛ける勇者。

 ギルバートが先ほど放り投げた精霊を肩に乗せ、こちらに近づく青年のその姿はーーー


 (……チャラい)


 蜂蜜色の髪に緑色の少し垂れた目。歳は二十代後半に見える。

 アイドルのような甘いマスクは世の女性たちがキャーキャー言いそうだ。

 服は適度に着崩しており、胸のボタンは下品にならない程度に開けられ色気が感じられる。


 格好良いとは思うがサフィアの第一印象は「チャラい」だ。


 「ちょ、おい、あいつに近づくなよ!」


 クインツは全身の毛を逆立て男の頭をタシタシ叩きながら抗議しているが、男は構わずギルバートに近づいてくる。


 「久しぶりだね、ギルバート。迷宮調査の依頼は君が片付けてくれたんだって?」


 「本来であればお前が受ける依頼だったはずだ」


 「俺迷宮って嫌いなんだよね~。暗いしジメジメしてるしさ」


 「お前がさっさと受けていれば新人の犠牲が減ったと、受付が嘆いていたぞ」


 「ああ、スザンナには悪いことをしたな。このお詫びは後でたっぷりしないと。ーーーベッドの中で」


 最後にもったいぶって言った台詞を聞いてサフィアはハッとギルバートを見た。


 想い人(多分)がこんなチャラ男と関係があると聞いてギルバートは一体どれほど傷ついてーーー


 「そんな事はどうでもいい。早くその精霊を寄越せ。たたっ斬る」


 ーーー無かった。

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