表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/5

第0話 (編集予定なのでとりあえず飛ばしてください)

 第0話





「はぁはぁ。ちょ、ちょっと待ってください!」


 暗い部屋の中。ある男の子は、髭を生やし、剣を握りしめている盗賊に襲われている。

 基本的な狙いは金目の物だが、人の命も躊躇せず殺す。それが盗賊。

 暑い日差しの中、砂漠に来てしまったのが運の尽きだ。なんで砂漠に来ようなど思ったのか、覚えてなどいない。ただ、思っていたよりも暑く、持ってきた水が尽きてしまったため、休みたかっただけだ。周りを探すと、岩に囲まれたドーム状の場所があり、休めると思い入ったのが、まさか盗賊のアジトだとは。

 確かに砂漠にあの造りは不自然だっが、人間いざとなるとそんな思考など沸かない。

 部屋に使われている岩の冷たさなど、もう感じないぐらいに、冷や汗をかき、身体が冷えてしまっている。


「待てるかよ!」

「さぁ、お前の持っている物全て差し出せ!!」


 まずい。

 持ち物など、何も無い。

 食料や水は尽き、普通砂漠に来るときに必要な武器も、ある理由から持ち合わせていない。

 どうしようと、短い時間に思考をかけめぐらせる。


「す、すみません。持ち物はもう全て無いんです」


 出した答えは正直に話すこと。


「あ?まじかよ。おいどうする?」

「簡単だろ。一番高く売れるもんがあるだろ。臓器売れば良いんだよ」


 はぁ!?


「ちょ。それはやめてください!!」

「おい、腐らせないための氷あるか?」

「俺の魔力で氷は作れる」

「よし」


 男の子の話は完全に無視される。

 冷や汗がさらに出てくる。緊張からか喉の乾きなど忘れてしまっている。

 精神は限界まで来ていた。


「じゃあとりあえず、服を脱げ」


 できるだけ時間を稼ごうと、服をゆっくりと脱ぐ。脱がないような素振りを見せたら殺されるから、ほんとにゆっくりと。

 さっきの盗賊の会話から魔力を使える者がいる。多分まだ数人いるだろう。予想通りだ。盗賊や海賊など悪事を働くには力がいる。ほとんどが魔力持ちだ。

 まぁ、予想通りだからといって何もできないが。


「早く脱げぇ!!」


 体が反射でビクッと震える。

 少しだけ、脱ぐのを早める。

 相手に魔力保持者がいないなら、いや1人までなら何とかなるが、複数人いるとなるとキツい。自分が弱いとは正直思ってないが、この人数には勝てないくらいわかる。おそらく30人はいるのではないか。


「お願いします。命だけは!!」


 盗賊達の有無を言わさぬ視線に、身体はさらに冷えるように感じた。

 こういう時、誰かが助けてくれるものだ。過去に命の危機があったが、あの時は英雄達が助けてくれた。

 こうなったら何にすがっても生き延びてやる。

 ローブの上に羽織っていた服を脱ぎ、さらにローブも脱ぐ。

 服はもう、上と下1枚ずつしか無い。もちろんパンツは履いているが。上は二の腕の真ん中あたりまでしか袖の無く、裾が腰までの、布の青い服。

 下は白い布でできた、膝下までしかないもの。また、少し大きく、横にダボダボになっている。風が吹くと、(なび)くものだ。

 くそ、寒いな。


「おい、早く脱がないと殺すぞ」

「結局後で死ぬけどな」

「ガハハハハハ。そりゃそうだ」


 殺すぞ、と脅してきた髭面のおじさんが、剣を自分の首に持ってくる。

 死ぬ!

 そう思っていた瞬間。髪が靡くと同時に、横に影が走ってきた。

 助けが来た。そう思った。


「な。なんだ!?」


 その正体は、黒い鷲だった。


「え。。助けは?」


 助けがきた。そう思っていた。絶望感は拭いきれない。

 だが一瞬驚いただけで、冷静に周りを見る。鷲のおかげでできた少しの隙を見て、剣を奪い逃げ出す。


「しまった!追えー!!頭領に怒られるぞ!!」

「おう!」


 やった。やった。やった。


「出口は、ここを右だったかな」


 剣が重い。走ると乾いた鉄の音が響いてしまう。

 そう思い剣を左の道へ投げ捨てる。こうすれば盗賊達は左の道へ行くだろう。盗賊は力はあれど、知恵は無いからな。


「あれは!出口だ!!」


 暗く岩に囲まれた一箇所から、暑そうな光が差し込んできている。


 そうだ!俺はこんなところに居る訳にはいかないんだ。俺にはなりたいものがある。



 よし……やっと逃げれた。はぁはぁ、息が切れる。

とりあえず、何のあてもなく必死に盗賊のアジトから離れて行った。


その後。砂漠の真ん中にポツンとある馬車の荷台へと、意識が朦朧とした中、倒れるように入っていった。

誰の馬車なのかもわからない。ただ、この身勝手な行動がこの男の運命を変える。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ