第10章 屋上からの逃亡後
ふぅ――
何とか逃げ切れたぜ。
なんだか知らないが、余計なことに巻き込まれるのはごめんだ。
「集団行動になれていない俺がグループ行動なんてしようものなら最終的に嫌われるのが確定的だぜ」
危うく参加させられそうになったのをうまいこと逃げきれて一安心し、独り言をつぶやいていた。
歓迎されるのは構わないが、俺をそういう祭りみたいのに入れるのはちょっと・・・・・・抵抗がある。
それにしても選抜戦とはなんだろうか――名前から察するに文化祭みたいなものだろうか。
まあ、いいや今は早く教室に戻らないと授業に遅れてしまう。
ふと安心した瞬間に焦りが生じてきた。
比較的ゆっくりとしたペースで走りながら今回のように誘われたらどうしようかと考えていた。
普通に断ればいいだろうか?
いや、今回みたいに食い下がられそうだ。
質問攻め・・・・・・・それは相当に面倒くさい。
そんなことを考えながら階段を下っていく。
先ほどはあれほど絶望しつつ上った階段をあっさりと下っていく。
人の気持ちというのはこうも簡単に変わるんだなぁなんて思った。
まあ、いっか。
楽観的な護摩はそんなふうにあっさりと考えるのをやめた。
教室のドアの前にやってきた。
扉の硝子製の小窓から覗くと授業が始まっており教室内は静かなものだ。
こういう時中に入ると周りからの視線が刺さっていたいんだよな。
そんなふうに考えると体が震えてきた。
ドアの前で立ち尽くす。
そうこうしているとさっきのやつらがやってきた。
ソウチャンと呼ばれていたやつがしゃべりかけてきた。
「入らないのか?」
ふいに話しかけられあたふたしているとソウチャンってやつがドアを開けた。
すいません、選抜戦で勧誘していて遅れました。
ザワ・・・・・・・ザワ・・・・・・
クラスがざわめく。
「静かに!君達は早く座れ」
そういわれさっさと彼らは座った。
俺もこれ以上怒られたくないのでさっさと座る。
カタッ・・・・・・ザザッ・・・・・・
椅子を引いて俺が座るとちょびひげの教師が語り始めた。
いいかこれから、選抜戦について解説するぞ。
「選抜戦は学内における最大最強の魔法使いを決めるためにやるものだ、優勝者には賞金もでる。これは軍主催で行われる。うまいこと活躍すれば軍の上官に認められ学校卒業後に軍に無試験で入隊なんてこともある。そこで、ぜひ君達にはこの大会で活躍してほしい。そうすればこのクラスの担任である私の評価もあがりとてもうれしい・・・・・・じゃなかった、君たちの将来のためにも活躍する必要がある。もちろん上級生もこの大会には出てくるため、優勝は難しいかもしれない、だがこの大会に出ることのメリットは非常に大きい。君たちの中には、拍をつけるためにこの学校に来ているものもいるだろう。この大会での成績は王宮にある大会記念帳簿に記録されるため、もし出ないなんてことになったら記録なしの臆病者なんて馬鹿にされかねないぞ。ということで大会は参加必至だ。まあ、臆病者と一生ののしられ生きていく覚悟があるのなら構わんが・・・・・・まさかそんな奴いないだろう――」
そういうと教師はくすっと笑った。
ということで、大会のシステムを説明していく。
全学年のほぼ全生徒が参加するわけだが、本戦に全員を個別で戦っている時間はないので、まずはこのクラスの代表を決めてもらう。クラス内で4人組を作ってもらい、魔法戦を行う。これは勝ち抜き戦だ。つまり先鋒が勝ち続ければ大将が出るまでもなく勝利となる。このシステムでは強い奴が入ってれば勝てるから意味ないと思うかもしれないが、連続して戦うことは想像以上に疲れるし、まったく無傷で勝ち続けるというのはなかなかできることではない。つまり強い奴は大将に据えるのがセオリーといえる。
というわけで今から斑を作ってもらいたいのだが、先ほどずるをしようとした阿呆共がいたからな、ゴマの配置は私がくじで決めさせてもらう。それ以外のものについては今から各々話し合って決めてくれ。
髪の長い女子が文句を言いだした。
「ちょっとあんたたちがせこいことするからゴマ君私たちのチームに入れられなくなっちゃったじゃない!」
短い髪の女子がそれに反論する。
「ちょっと私たちよ!ゴマ君をチームメイトにするのは!」
それにソウチャンと呼ばれていたやつが反論する。
「うっせー!!!おまえらがそう言って来ると思ったから先に俺らが誘ったんじゃねぇか!!!」
教師が注意する。
「早くしろ!」
コーンカーンコーン・・・・・・
そして授業が終了した。




