宇宙船での生活ー②
ここまで読んで、サリナが言っていたことを思い出した。
「さて、すべてがゲーム通りにいくでしょうか……フフフッ」
あの時の謎の笑みは、このことを意味していたのかもしれない。
地球人も、現地人と共に戦うのだ、と。
「聞いてねぇよ……」
もしそうなら、確かに『ゲーム通りにいくでしょうか』がどういう意味か理解できる。
いくつかはゲーム通りにいくかもしれないが、100%その通りにいくことはまずない。
「運動不足の俺に何ができるってんだよっ」
学校に通わず、アニメに携帯ゲームに没頭していた智也だったが、決して太っているわけではない。むしろ、しっかり食事をとらないことが多かったので、若干やせ気味だった。アニメを見ていると空腹にすら気づかず、気づくと晩飯だった、ということがたまにあった。
彼は抗議をしにサリナのいる部屋に向かった。
111号室。サリナの部屋。智也の部屋とは9部屋しか違わないが、廊下は2本はさんだ部屋だ。
「こんばんわー」
インターホンが無いので、ドアをノックする。間もなくして、「はーい」と中から声がした。
「はいはい……あら、どうしました?」
シャワーを浴びたあとのようだ。髪がまだ濡れていて、シャンプーの香りがする。顔はほんのり赤い。浴び終わった直後だったようだ。服装はやんわりとした見た目の、白の寝間着。
「どうもこうもないよ……聞いてないことだらけだ」
智也がため息とともに言う。
「何のことでしょうか?」
言葉とは裏腹に、明らかなつくり笑いを浮かべるサリナ。
「まあ、ここで話すのもなんなので、食堂に行きましょうか。晩御飯、まだでしょう?」
「うん」
ちょうどおなかがすいていたころだったので、食事をしながら話をすることにした。
サリナは髪を乾かし、着替えをしてから行くとのことだったので、智也は先に食堂に向かった。