間の特権
ヒカルは千早に180分の時間を貰ってゆっくり考える事にした。
なんにしろ黒虎が自分の命を狙ってるのだから、既に面倒事に巻き込まれてしまっていたのだ。
そうやって迷っているときに…
「やあ、またお邪魔するよ。」
葵は現れる。
「今度は何を話に来たんだ?
場合によっては…」
「無駄だよ、君の特権じゃ僕を殺せない。
まあ、僕が君を殺すのは容易いけどそれもしない。
一応言っておくけど、僕は黒虎とは直接的な関係は無いよ?」
「直接的?」
「うん。
まあ、厄介な存在って捉えて居るから調べる程度の事だけどね。」
「ところで、さっきの、「僕を殺せない」ってどういう意味?」
「与えられた特権じゃ殺せないってこと。
まあ、姉御って人の事だから特権の詳しい事は説明してなかったようだね。
話してあげるよ。」
特権のランクなどを葵は詳しく話した。
「へぇ。
じゃあ、僕のランクは?」
「5だよ。
で、僕のランクは7
ランク7の特権は生まれつき特権を使える者が稀に発現を使えるんだよ。
で、僕の特権は空間を自由自在にする力、
即ち「間の特権」さ。
この間の釘の時は皮膚の下をVさんの暗黒空間に繋げてただけなんだよ。」
この葵、これで12歳である。
これは余談だが、東側で言う特権は西では念力って言うらしい。
覚えておこう。
「さて、本題に入るよ、君は今黒虎の連中に付け回されてる。
君はどうしたいか、それを聞きに来た、自分の命を優先するか、あざみ野を優先するか?
どうかな?」
葵は、この二択を突きつけてきたのだ。
重くのしかかるヒカルの今の状況、これは、どちらを選べば良いのか?
答えなんて存在しない問題。
「命を優先するか、あざみ野を優先するか?
この二つのどちらかが黒虎によって奪われる?」
ヒカルはけっこう追い込まれていた。
「でも、君にとって、もっと大切なものが有るんじゃないかな?」
葵はこうやって童謡を誘うが、この科学狂人にその言葉が、彼を目覚めさせた。
「そうだ…
僕には妹がいる…
目の前の少年の大切な友達がいる…
決めたよ!
僕は3つ全て守る事にする。」
「そっか。
それは、かなり大変な運命になるだろうね。
ヒカルさんにとっては。
でも、伝えるべき相手は僕じゃない、千早さんだよ。」
「うん。」
そして、ヒカルは千早の下にいく。
「答え、決まったよ、僕は、この件に協力することにする。
僕は、グリモとか言う人にあったせいでもう、断れないって思うんだ。
だったら協力する。」
「…
ふふ♪
協力してくれるのだな。
やはり、断れないって運命だったか。
まあ、西側に手を出す、なんてアホな事はしない。
我々は奴等から東側を守ればいいのだよ。」
「うん。」
ヒカルはかなり困難な事に首を突っ込んだ。
一方で葵のいる空間で…
「君をここに連れてくるのは、初めてだよね?
寛いでいきなよ。」
「うん!
私、葵君の家、初めて。」
葵が空間と空間の間に作ったまるで西洋の城の大広間みたいな部屋。
これが葵の家である。
家具には巨大な10000000くらいするTVや、豪華なテーブルなど、まるで王室のようだ。
「そう言えば、君のお兄さん、面倒事に巻き込まれたよ。
(これも僕のシナリオ通りだけどね。)」
「え?
あの宗教に首を?」
「うん。
(もしそうならなかったら、主要都市に別のパラレルワールドから核攻撃でそれを黒虎のせいにすればいいんだけどね。)
前に僕の言った通りになったよ。」
葵の考えてる事が妙に黒いのは気にしてはいけない。
「まあ、僕は間接的に関わる程度であとはここから、見ていようかなって思うんだ。
君もどう?
もう一人のランク7、いや、ヒカリちゃんは?」
今さらっととんでもない事を言ったよ?
葵の奴は。
「うん…
でも、お兄ちゃんにも会いたい。
私にとっての一番の居場所はお兄ちゃんの近くだから。」
「そうだよね。
君にとってそこが居場所なんだよね…
でもね、これだけは忘れないで。
君の近くが、僕にとっての居場所なんだ。」
「え?
それってどういう…」
「そのときが来たら話すよ。
お願い、必ず話すから…」
葵は俯きつつヒカリと、喋っていた。
そんなときヒカリのお腹から、大きな音が鳴り響いた。
「お腹空いた?」
「うん。」
「じゃっ、ご飯にしよっか。」
そう言った葵は近くの場所に穴を開いて飛び込んだ。
「付いてきて」
こう、告げてから。
ヒカリはそれに従った。