二人の少年の過去
いよいよ訪れた、葵と侖が約束した日が、葵は約束の場所に来た。
「来たな、光凪。
――待っていたぜ。」
侖のこの一声に対して葵は
「本当なら僕は君とは戦いたくなかった。
――何で僕を君は倒そうとするんだ?
せめてそれくらい教えてほしい……」
この言葉である。
「それもこれも全てヒカリの為だ!」
侖は強く言う。
「ヒカリちゃんの!?」
「そう、ヒカリ、アイツは死んだ俺の妹に似てんだよ。
――俺が過去に失った一番大切な奴をな……」
侖の過去の出来事……回想……
侖には愛っていう妹が居た。
侖は当時ほぼ毎日学校で喧嘩に明け暮れる日々、愛はその時に侖が負った怪我を治療していた。
「お兄ちゃん、何で喧嘩ばかりするの?」
「……。」
愛の質問に侖は答えられない、侖はそこら辺で喧嘩を売られて、それでもって短気なので、すぐ喧嘩をしてしまうのだ。
「愛……。
お前はこうやって俺の喧嘩を治療してくれるよな。
何でだ?
親にやらせりゃ良いだろ?」
「お兄ちゃんの事が大好きだから、私が治療するの。」
「そっか……。」
侖は愛の頭を撫でた。
「えへへ♪」
愛は嬉しそうに笑っていた、だがこの笑顔が愛の最後の笑顔だった……
何故なら翌日、愛は首を吊って自殺していたのだから。
その死体を見た瞬間
「愛……
――嘘だろ?
返事をしろよ、な?
愛……愛ィイイイイイイ!!」
侖は思いっきり泣いていた、とりあえず悲しみを抑えて学校に行く、そしてその日の昼休み、侖は愛の教室を通り掛かると……
「茅場 愛が死んだ?
ケッ、ざまあねえな。
いっつもアイツ、あたし達の事を見下してたからな、そんでちょっと遊びで鞄に画鋲入れただけでこの様だぜ?」
「お前すげえな!
ウチは靴を隠すしか出来なかったぜ?」
「おいおい……
私なんか校舎裏に呼び出してぼこぼこに殴ったんだよ?
クラスの男共を金で釣ってさ。」
女子三人のゲスい会話が聞こえた。
「アイツら……」
侖は愛の死の真相を知ってしまった、これまで抑えていた悲しみが怒りに変わり、侖が気が付いた時には、すでに、彼女達を含め愛のクラスメイトを皆殺しにしていた。
その日の内に彼は警察に捕まり、大量の男に取り押さえられ、身動きが取れない状態であった侖は、留置所を通り越して刑務所に入れられていた。
裁判もそこで行われるようで、結果は小学生約30人を快楽目的で殺した、とされ、無期懲役が言い渡される。
そしてその日の夜…
「くそぅ……
――愛……何で教えてくれなかった……
何でアイツが死ななきゃ行けないんだ……」
侖は壁を叩いた、その時、侖の怒りが届いたのか、壁はバラバラに崩れた、そう、彼が「バグ」に目覚めた瞬間である。
壁が崩れた瞬間、彼の脳裏にこんな言葉が響いた。
「――答えを知りたいか?」
「誰だ……」
「お前の妹が死ななきゃ行けなかった、その理由の答えを知りたいか?」
「……ああ。」
「なら、ここから脱獄するがいい。
そして、そこから南にずっと進め……
そこで待とう……」
彼は刑務所から脱獄して、南にずっと走り、その結果、黒虎に出会った。
現在に戻る……
「俺は大切な物なんざ当の昔に全部無くしちまった。
だが、俺はヒカリに出会った事で大切な物が出来た。
だが今のままならアイツは俺の方に振り向いちゃくれねぇ……」
「何が言いたいんだ?」
「お前は目障り何だよ!!
俺の大切な物の為にも、お前をここで倒す!!
エンジェルストーン!
その効力を発揮せよ!!」
侖は白い石をぶん投げ、石は光を放ち、後に二人を取り囲む結界となった。
「この結界は勝者しか出れねぇ!
負ければその場で魂を封印されるぜ。」
「……酷い話だ。」
「何!?」
「君も僕も過去に自分にとっての全てを失ってるんだね。」
「お前……
ふざけんな!!
お前に俺の何が分かる!!」
「分からないよ……
でも、僕達は全てを失ってる点では……
似てる。
――僕にも、大切な人が居たんだ……」
葵は悲しそうな目をしていた。
「大切な人…俺にとって、愛みたいな奴か?」
「そう、そしてそれは……
僕の両親だよ……」
葵の過去の出来事……回想
葵は昔、とっても裕福な家庭に生まれ、幸せな暮らしをしていた。
「葵~
夜ご飯~」
葵の母親が葵を呼ぶ。
「はーい。」
葵が夜ご飯の場所へたどり着く、そして夜ご飯が始まった。
「今日ね、テストで100点取ったんだ~♪」
葵は無邪気な笑顔で学校の出来事を話していた。
そんな葵に葵の父親は
「流石……俺のムスコだ……」
喜んでいた。
母親はよくやった、と、言わんばかりの表情で、葵を撫でている。
「えへへ♪」
葵の笑顔はまるで幼い感じの美少女みたいで可愛らしい物である。
その翌日の話だ、葵にとっての悲劇が起こった。
葵が学校から帰ってくると、父親と母親がロープで縛られており、知らない男が三人ほど居た。
「何だよ……
これ……」
男の一人が
「金目の物はねぇのか!?」
と、言うと、男のもう一人が
「おい、ガキがいるぜ?」
とリーダーのような男に言う。
リーダーは突然葵に話し掛けてきた。
そして、最悪の提案を出してきたのだ。
「坊や、今から火災になったら親にこれを持って逃げなさい、とか言われてる物が必ず一つあるはずだよ。
それを30分で持ってきて欲しいな。
それが出来ないなら……」
「葵!
そいつの言うことは聞いちゃダメ!!
逃げて!!」
「女は黙ってろ!」
男の一人が母親を押さえた。
そしてリーダーは続けて話す。
「もし、今言った事が出来なかったら、君はこの親と永遠にお別れすることになっちゃうよ。」
「!!」
葵は一生懸命探した。
しかし、当時の彼はまだ小学生、見つけられる筈もなく、時間切れ。
そして警察が来たのは四十分後であり、強盗は捕まったのだが、葵は親を失って、目が虚ろの状態のまま、一人残されたのである。
そして、そこから何年か後、ヒカリと出会う事になるのだ。
現在に戻る……
「お前……
俺に何を言いたいんだ?」
「僕はね、君と同じでヒカリちゃんの事が大切なんだ。
馬鹿げた話だよ、お互いの大切な物の為に、戦わなきゃ行けない何てさ……
皮肉だよね……
――本当は望んでない、僕は君ともっと別の形で出会いたかったよ。
それが本心だよ。
僕の紛れもない……ね?」
「そうか……
だが、戦いはもう、始まっているんだ!!」
侖は葵に飛び掛かった。




