科学都市あざみ野
科学都市あざみ野にて…
「イヤッハアアアアアアア!!」
一つのタイヤが無く宙に浮くスケボー…
いや、この場合エアーボードに乗って爆走する少年がいた。
この少年の名前こそが、あざみ野の責任者、星影 光だ。
この少年は白衣を身に纏い、子供と見間違えるほど可愛らしい童顔が特徴の16で、身長は165センチである。
彼はエアーボードを発明して、大成功をおさめて、現在妹と二人で暮らしているがあざみ野の責任者としての仕事が忙しく、妹に構ってやれないのが、不満である。
今日もヒカルはエアーボードで人目を憚らず爆走していた。
このエアーボードは最新型で、科学市場に売り出す品物としてのテストも兼ねている。
そんな時、ヒカルの電話が鳴った、流石にエアーボードから降りて通話する。
「もしもし?
あ、優輝?
久しぶりだな!
え?今からあざみ野に来る?
新宿の責任者を連れて!?
分かった、すぐに準備するよ!
(新宿の責任者って僕の苦手な人何だよなぁ…)」
電話の主は波奈崎優輝って言う少年で、ヒカルの幼馴染みである。
まあ、新宿の責任者もヒカルの知ってる人なのだが。
その人はかなり大物で、日本の東側に知らない人は居ないとされるほど。
因みにその人は、尊敬と愛着の意を持って「姉御」と、呼ばれている。
ヒカルの苦手な人でもあり、「姉御」はヒカルを見るとすぐに抱き付いてくる、年下好きな20なのだ。
まあ、ヒカルは3年振りに友達に会えるから、そこは割りきっていたが、やはり「姉御」が怖いようで、自作の重戦車を3台くらい用意して、あざみ野の入口で待った。
残酷に過ぎ行く時の中で、優輝だと、思われる人物がやって来た。
「さっき来たと思ったよ。」
優輝のこの一言に対して
「とんでもない。
待ってたんだ。」
そう言って戦車で優輝の後ろの辺りに爆薬をぶっぱなした。
「うわ…
派手なことするね。
ヒカル、君って奴は。」
優輝はただ呆れるだけであった。
すぐ後ろで大爆発が起こってるのにね。
爆発後の煙が消えるとそこにいたのは…
「久しぶりと言うのに手荒い歓迎では無いかな?
ヒカルきゅん?」
無傷で無事な20代前半の美女…
「姉御」こと、波奈崎千早がそこにいた。
「生きてるよ…
この人おかしすぎる。
優輝の姉だよね?」
「ふふ…」
千早はすぐにヒカルに抱き付いた。
「なっ!?
やめてっ…
ひゃっ!!
それに…千早さんは、何でこんなところに!!??
ひゃんっ!!」
ヒカルが真っ赤になった直後に千早はヒカルの耳の裏をペロリ、外見だけでなく、行動もえろいお姉さん、それが千早なのだ。
しかし、そんな千早が科学の最高責任者であり科学第一都市新宿の責任者でもある。
けど、これじゃ信憑性は無いかも知れない、しつこいようだが千早は年下好きなお姉ちゃんって一面があり、それは彼女にとっての弱味のようなもの。
絶対に側近に知られてはいけない秘密である。
そんな千早が弟の優輝を連れて何故、あざみ野にやって来たのか。
それはヒカルを抱いている状態の千早の口から語られるのだ。
「今、この日本の東側、つまり科学が物を言うこの区域が大変な事になっている。
先ずはこの日本について説明しておこう。」
「姉ちゃん、その体制じゃ良くないよ?
とりあえずヒカルを解放してあげた方が…」
「嫌がってないから良いでは無いか。
それにヒカルきゅんは可愛いのだしな。
ふふ…」
「駄目だ姉ちゃん…
はやく何とかしないと。」
「何か言ったか?」
千早はヒカルを撫でながら、優輝と会話を交わしていた。
千早はヒカルを可愛がっていた。
「話を戻そう。
日本は科学が物を言う東側とオカルト的な事が物を言う西側の、二つの地域が存在する。」
「な、何で…」
「武力衝突を避けるためだ。
昔は科学とオカルトの思想の違いで内戦が起こったからな。
私が3歳の頃…な…
その内戦は多くの人の命を奪った結果日本が二つに分かれる事で落ち着いた。
それでこの日本は平穏になり、あれから13年後だ。
再び日本は混乱しようとしている。
エンジェルなるものを信仰する宗教団体が現れてな。」
「え?
あと、もう離して…」
「ああ。」
「やっとお姉ちゃん、ヒカルを解放したね。」
「で、その宗教団体って何なの?」
「ああ、そうだったな。
その宗教の名前は。」
「名前は?」
二人が同時に名前を聞くと
千早はこう答えた。
「黒虎」
そう、一言で答えたのだ。
「奴等をどうにかしないとまた、日本は混乱する。
だからヒカルきゅん、君の力を借りたいのだ。
良いかな?」
「お願いだよ!ヒカル!」
ヒカルは一分迷ったあと、こう答えた。
「やだ。
僕はそういう面倒事に首を突っ込みたくないんだ。
そう言うの嫌いだから。」
「くっ…
何故だ…
私と君の仲ではないか。
協力して欲しいのだ!
この通り!」
千早は協力を求める時は土下座も躊躇わない。
しかし他者に協力を求める事は滅多に無いがね。
「理由は君が良く知ってるよね?
僕は嫌なんだ。
そう言う事に巻き込まれるのが。」
ヒカルのこの意思は今は揺らぐ事はない。
「用がそれだけなら僕は帰るよ。」
ヒカルはそう告げて帰って行った。
一方その頃
どこかの空間にて…
「断ったね。
君のお兄ちゃんが「姉御」の依頼を断った事で、運命の分岐が大きく変わったね。」
「え?
私のお兄ちゃんにふりかかる運命はどうなるの?
教えてよ。」
「うん、それは君の特権を使えば早いよ。
まあ、困難な道を歩むことになるよ。
まあ、断らない方が楽だったのかもね?」
「お兄ちゃんにどんな運命が…」
「僕には解らないよ。
あざみ野責任者こと、星影光の妹、光ちゃん?」
今の発言で解る通り、謎の少年と会話をしている少女は、ヒカルの妹、星影 光である。