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始業式全日程が終わり、今は帰りのST中。
俺は退屈で何度も聞いた担任の声を聞き流していた。
気がつけば、STは終わり後は帰るだけ…いや、瀬尾の告白を見届けなければならないな。
瀬尾を呼びに席を立ったら、瀬尾が教室に入ってきた。
顔がかなり強張っていた。
俺は面白そうだったから、あえて声をかけなかった。
人の恋路ほど面白いものはない。
「みみみみ、御陵さん。ちょっといいかな?」
おおー、ナイスどもり。
「…えっとなにかよう?」
御陵はぶっきらぼうに言った。
「ここじゃ話し難いから南階段へ来てくれないかな?」
ほほう、よく考えたじゃないか。
南階段はあまり使わないため人がまったくこない。
いわゆる告白スポットなわけだ。
成功率は6割らしい。
…誰が計算したんだか。
御陵はゆっくり頷くと瀬尾と一緒に教室を出た。
俺は着いて行かず、階段の様子が見える場所へ移動した。
さてさてどうなってるんだ。
おお!瀬尾がなんか話してる。
身振り手振りを加えながら必死にやってるな。
んでその告白らしきものに御陵は…
頭を下げた。
瀬尾は何か叫んでる。
ちょっと近くまで行ってみよう。
「どうしてかな?理由を聞きたいんだけど」
瀬尾が言った。
「私恋人よりも今は……友達が欲しいの」
「俺は恋人がいいの!ああもういいよ……やっぱり無理だった」
瀬尾は御陵に背を向けながら去っていった。
可哀相に。
「ちょっと、さっきのは無いんじゃないのか。あれは勇気を出していったあいつが報われないじゃないか」
俺は彼女に話しかけた。
「見てたのですか。貴方のほうこそ良くないんじゃないんですか?人の告白現場を覗くなんて」
毅然とした態度で答えてきた。
それが少し頭にきた。
「偶然通りかかっただけだ。別に悪いとは思っていない。なあお前どうすんだよ?またお前の株が下がっていくぞ。今度は恋愛もしない、男を振りまくってる悪女ってレッテル貼られるぞ。」
「別にどうでもいいわ、そんなの」
「……お前なあ~そんなのだから友達いな
「そんなのわかってるわよ!あなたに言われなくても!」
ぶっきらぼうだった彼女がいきなり怒鳴りだした。
よく聞くと涙声だった。