『速記競技会に臨席するお地蔵様』
掲載日:2026/09/20
ある村の道ばたに、お地蔵様が立っていて、村人は、うっかり固くなったおまんじゅうや、何日か前に握ったまま忘れていたおにぎりなんかをお供えし、それがもとで、狸や狐もお参りするお地蔵さんになっていたのでした。
ある日、あるおじいさんが、たまたま通りかかって、素通りするのも変なので、手を合わせ、先へ進んだところ、砂利を踏むような音がしたので、振り返ってみると、お地蔵さんが歩いているではありませんか。おじいさんが、もし、お地蔵様、と声をかけると、お地蔵様は、いかにもしまったという表情で、見られてしまっては仕方がない。実はちょいちょい抜け出していたのだが、見られたのは初めてだ。お祭りとか婚礼とか葬式とか、速記競技会とか、人が集まる行事が大好きで、そういうことがある日は、じっとしていられないのだ、とおっしゃるので、ほかの村人とも相談し、そういう行事があるときは、お地蔵様を迎えに行って、その場に同席していただくようにしたところ、御自分では歩き回らなくなったということです。
教訓:手に持っていた錫杖をプレスマンにかえてみたところ、話し声に反応するようになったという。




