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過労死転生した最強悪役令嬢、追放されチートで聖獣とスローライフしてたら冷徹公爵に溺愛された件  作者: 限界まで足掻いた人生
第2章:現実世界侵攻 編

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第98話 摩天楼の洗礼と、次元の「裏口」

四天王たちが、絶望の叫びを上げながら「強制労働施設」へと転送されていく。その阿鼻叫喚を背に、コーデリアは微塵も表情を動かさず、タナカが残した座標データへと手を伸ばした。


「さて、皆さん。ここから先は『出張』扱いになります。準備はいいかしら?」


コーデリアの言葉に、ライオネルたちは引きつった笑顔を浮かべるしかなかった。彼らにとって、この世界の外側にあるという「現実世界」は想像もつかない未知の領域だ。だが、先ほどの四天王への仕打ちを見た後では、「行きません」という選択肢などこの世に存在しないことを理解していた。


「……了解した。この剣が『創造主』に通用するかは分からんが、貴殿に背を向けるよりはマシだ」


ライオネルが苦笑いしながら剣の柄を握りしめると、座標データが眩い光を放ち、空間を侵食し始めた。


世界が反転する。 極寒の氷の塔から一転、一行が降り立ったのは、冷たいコンクリートの感触と、騒音、そして排気ガスの匂いが漂う夜の「東京・新宿」だった。


「……ああ、この排気ガスと、どこかえたアスファルトの匂い。久しぶりね、この感覚」


コーデリアが、どこか懐かしそうに、それでいて忌々しそうに目を細める。元社畜のスタッフたちもまた、「ああ……帰ってきちゃったな、満員電車とサービス残業の街に」と、複雑な表情で周囲を見渡した。


対照的に、裏国家の幹部であるライオネルたちは、完全に腰が引けていた。


「な、なんだここは……!? どこだ、この異界は! 建物が空を刺しているし、地面が石よりも硬いぞ!」 「マナの気配がまるでない。あの光る巨大な板は何だ? 幻術か?」


フルプレートの鎧に身を包んだライオネルたちや、異世界の装飾を施した幹部たちは、深夜の路上で嫌でも目立った。行き交う人々は、彼らを「本格的すぎるコスプレイヤー」か「危険な集団」と見なし、冷ややかな視線を浴びせて露骨に避けていく。


そんな重苦しい空気の中、唯一の例外がリュカだった。この世界の生態系には存在しない、神秘的で柔らかな毛並みを持つリュカは、殺伐とした都会人の心を一瞬で射抜いたらしい。


「きゃー! 見てあの子、超もふもふ! ぬいぐるみ?」 「可愛いー! 写真撮っていいですか?」


仕事帰りのOLたちが足を止め、次々とリュカに駆け寄ってくる。 「あ、触ってもいいですか? 癒やされる……!」 当のリュカは少し戸惑いながらも、女性たちに撫でられ、すっかり注目の的になっていた。


「……解せんな。納得がいかんぞ」 ライオネルが、自分たちに向けられる不審者を見る目と、リュカに向けられる羨望の眼差しの差に唇を噛んだ。 「俺たちのこの威厳ある装備よりも、あいつの毛並みの方が評価されるというのか。……正直、あの獣がうらやましい」 「まったくだ。俺たちの剣の腕よりも、あのもふもふの方がこの街では権力を持っているらしい……」


食卓の騎士たちが口々に嫉妬をこぼし始めたその時、背後から凍りつくような声が響いた。


「……集中して。遊びに来たんじゃないわよ」


コーデリアの「鬼のチーフ」としての圧力が、新宿の喧騒すらも一瞬で沈黙させた。 「ひっ……! 申し訳ありません、コーデリア殿!」


震え上がる騎士たちを尻目に、コーデリアは冷静に視線を前方のビル群へと向けた。 「いい、手順を再確認するわよ。ここは私たちがいた『社畜の世界(中継階層)』。ガラハッド君が向かったのは、さらにその上……この世界すらもプログラムとして管理している、真の『現実世界(神たちの領域)』よ」


コーデリアは端末を操作し、かつて自分が勤めていた「新生ユグドラシル社」の旧本社ビルへのルートを割り出す。


「旧本社にあるメインサーバー室……そこに、創造主たちの階層へ直接アクセスできる『管理用ゲート』があるわ。そこからログインし直すことで、私たちは『神の庭』へと足を踏み入れる。……二度と戻ってこれないかもしれないけれど、不承認のまま世界を終わらせるわけにはいかないの」


「……了解だ。俺たちの命、貴殿に預けよう」


リュカへの未練を断ち切った騎士たちは、覚悟を決め、コーデリアの後に続いて夜の街を駆け出した。

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